仕事の残業で、どうしても夕食が遅くなってしまう日もありますよね。
昼食から時間が空いてお腹が空いている上、仕事で疲れているので、暴飲暴食に走りたくなる気持ちにもなりがちです。
しかし、夜になると食べたものを体に脂肪として蓄積しやすくなります。そのため、夜遅い時間に食べ過ぎることで、中性脂肪の増加や肥満を引き起こしてしまいます。
では、どのようなことに注意して食事をすればいいのでしょうか。
夜9時(21時)以降に夕食を食べるときに、「どんな食事内容」で「どんな食べ方」をすれば良いのかご紹介します。
そもそもなぜ夜遅くに食べると太るのか?
まず、なぜ夜遅くに食べると太りやすくなるのでしょうか。
それは、あるたんぱく質によって、夜20時以降になると体が脂肪を蓄えやすくなるのです。
あるたんぱく質と言うのは、細胞内にある「BMAL1(ビーマルワン)」です。
このBMAL1は時間帯によって数が変わります。数が多いときに食事を摂ると太りやすく、少ないときは太りにくいです。
BMAL1の数は明け方から減り続け、最も少なくなるのは14時から15時頃です。それ以降は、明け方にかけて増えていきます。
このように、夜はBMAL1の数が多くなるため、食べたものが体脂肪として蓄えられやすい状態になっています。
さらに、最近では夜遅くに食べると「夜食症候群」を引き起こすこともわかってきました。
夜遅くに食事をすることが習慣づくと、食欲を抑える働きを持つレプチンの作用が低下します。食欲を抑えるレプチンの作用が低下すると、過食傾向になり、さらには血糖値や中性脂肪の上昇がみられます。これが「夜食症候群」です。
また、「夜食症候群」はメタボリックシンドロームを引き起こす原因の一つとも言われています。
このように、夜遅い時間に食べると肥満や中性脂肪の増加を招くため、21時以降の食事には特に気をつける必要があります。
それでは、21時以降の食事内容と食べ方についてご紹介していきます。
中性脂肪を増やすリスクを減らす!21時以降の食事内容と食べ方
21時以降の食事内容と食べ方を意識するだけで、夜遅い時間に食事を摂ってもリスクを下げることができます。
まず、食事内容は「低カロリーで満足できる」食事にすることです。
低カロリーを意識すると量が少なくなり、満足できない食事になってしまうケースが多いです。そうなるとストレスがたまり、過食へとつながります。
そのため、上手に食材を選んで「低カロリーだけど満足できる」食事にすることが大切です。
野菜のおかずやスープで満足感を
空腹が続き、またストレスを感じて帰ると沢山食べたいと思ってしまうことがあります。
そんな時は、具沢山みそ汁や野菜スープがおススメです。
温かいものを飲むとリラックスでき、食欲も少し落ち着きます。それに加えて内臓があたたまり、消化酵素が活性化しやすくなり、さらには胃腸も働きやすくなります。
★当サイトで紹介している野菜スープの一例★
また、野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に入っています。
食べたものを効率よく代謝するにはビタミン、ミネラルが必要になります。しかし、ビタミン、ミネラルが不足すると食べたものを代謝することができず、中性脂肪として蓄えられてしまいます。
時間がない時は、野菜とたんぱく質を入れた鍋やスープ、雑炊などを作ることをおススメします。
最近では様々な鍋の素があるので、それを使って低脂質のたんぱく質と野菜を入れて煮込めば、手軽に食事を用意することができます。
野菜を使ったスープのレシピはこちらの記事でもご紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
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また、イカ、エビなどは、低脂質、高たんぱく質です。
自炊する場合は、シーフードミックスを上手に活用してみましょう。
調理法の注意点
注意したいのは、これらの食材を使って調理をする場合、油を多く使う揚げ物などの調理法の料理は避けるようにしましょう。
せっかく食材で低脂質を選んでも、調理する時に油を多く使ってしまうとカロリーの摂りすぎになってしまいます。
糖質は控えめに
糖質とは、ご飯、麺類などの主食に多く含まれます。糖質をたくさん食べることで血糖値が急激に上がり、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが過剰に分泌されます。
過剰に分泌されたインスリンは、糖を脂肪に変えて体に蓄えてしまいます。
特に21時以降の食事では、糖質は控えめにすることが重要になってきます。ご飯の量を少量にして、その分サラダなどの野菜のおかずを一品増やすといいでしょう。
ご飯の量を減らすのに抵抗がある方は、白滝ご飯がおススメです。お米1合に刻んだ白滝を100g入れて炊くと白滝ご飯ができます。
白滝には、水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。そのため、お腹の中で水溶性食物繊維が水を抱え込み、それによって満腹感が得られやすいと言われています。
麺類が食べたいときは、スーパーなどにも置いてあるこんにゃく麺を使って代用するといいでしょう。
また、晩酌する習慣がある方もいると思います。お酒は種類によって糖質が多く含まれているので、夜遅い時間のお酒は控えるか飲んでも少量でやめておくのがベストです。
食べ方にも気を付けるべきポイントがある
次は、食べ方のポイントについて説明していきます。
まず、「はじめの一口目は野菜、きのこ類、海藻類から食べる」ことです。これらの食品には食物繊維が多く含まれます。
食物繊維は糖質や脂質の吸収を緩やかにしてくれるため、先に食物繊維に多い食品を食べましょう。
次のポイントは、「よく噛んで食べる」ことです。目標としては、一口20~30回以上噛むようにしましょう。
よく噛んで食べることで、多くのメリットがあります。
1つめは、満腹中枢を刺激することで食事量を抑えることができます。
2つめは、食べたものの細胞を壊して消化吸収を助けてくれます。そのため、胃腸の負担を減らし、胃もたれなどの予防になります。
3つめは、噛むことでエネルギー代謝が上がり、脂肪が燃えやすくなります。
まとめ
夜遅くにご飯に食べるときでも食べる内容や食べ方に気を付けることで、中性脂肪の増加や肥満を予防することができます。
食事内容は「野菜多め、たんぱく質は低脂質、糖質を控えめ」にすること。
食べ方は「食物繊維が多い食材から食べること、よく噛むこと」を意識しましょう。
また、夕食が遅くなることがわかっているときは、夕方におにぎりなどの主食を食べて、21時以降の食事は軽いおかずだけ食べる分食もおススメです。
自分の生活に合った食事スタイルを選んでみてください!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。