「にんにく」に対してどのようなイメージをお持ちですか?
にんにくを食べると「元気になれる」「疲れがとれそう」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
にんにくはパワーがでるだけでなく、脂肪燃焼(中性脂肪を増加させない)や動脈硬化予防の効果が期待できる栄養素も入っています。
また、調理方法によってはさらに効果を得ることができます。
にんにくの栄養素や効能、そしてにんにくの上手な食べ方についてご紹介します。
にんにくの栄養素
まずは、にんにくに含まれるパワーの源や健康に良いとされる栄養素とその効果についてみていきましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるときに働く酵素の手助けをする補酵素になります。
糖質をしっかりと分解して十分なエネルギーを作るため、体を元気にし、体内に乳酸などの疲労物質が貯まることを防いでくれます。
糖質が上手くエネルギーに代謝されないと、余分な糖質は脂肪として体に蓄えられてしまいます。
つまり、ビタミンB1は中性脂肪を増加させないためにも必要な栄養素になります。
ビタミンB2
ビタミンB2は、脂質とたんぱく質の分解に働きます。
脂質を燃焼してエネルギーにする際に必要な栄養素です。
ですから、こちらも中性脂肪を減少させるためには重要な栄養素になります。
ビタミンB群は中性脂肪対策に欠かせない栄養素です。
ビタミンB群についてはこちらをご覧ください。
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中性脂肪を下げるにはビタミンB群を摂ることが重要です
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アリシン
にんにくは生のままではにおいはしません。おろしたり、刻んだりすることで特有のにおいがします。
これは生のにんにく含まれる「アリイン」というたんぱく質が、にんにくに含まれる「アリイナ―ゼ」というたんぱく質分解酵素によって「アリシン」へと変化するためです。
「アリシン」はにんにくの特有のにおい成分になり、またにんにくパワーの源にもなるのです。
では、アリシンの効能について詳しくみていきましょう。
殺菌・抗菌作用
風邪のウイルスや水虫菌を弱めたり、殺したりすることができます。そのため、風邪や水虫予防になります。
新陳代謝の亢進
血液の流れをスムーズにしてくれるため代謝を高める効果もあります。そのため、冷え症や不眠症の方にも効果があります。
体力増強・疲労回復
体にコンスタントにエネルギーを補給するには、エネルギー代謝が重要になってきます。
先ほどご紹介しましたは、エネルギー代謝に欠かせないのがビタミンB1です。
しかし、ビタミンB1は水溶性であるため吸収率が低いです。
ところが、アリシンとビタミンB1が結合すると「アリチアミン」になり脂溶性に変化します。
そして、脂溶性に変化することでビタミンB1の吸収率が高くなり、体内に蓄えやすくなります。
そうなると、よりエネルギー代謝が円滑になるので、体力増強や中性脂肪増加を抑える効果が発揮されます。
アホエン
アホエンはアリシンを加熱することで作られます。
アホエンは、血栓(血の塊)を作りにくくする働きを持ち、そのため動脈硬化や心筋梗塞の予防効果を持ちます。
その他にも老化防止、アルツハイマーの予防にも効果があると言われています。
にんにくの効果的な食べ方
にんにくの効果的な食べた方についてご紹介します。
アリシンを発生させるには「すりおろし」がベスト
にんにくは、すり下ろしたり、みじんぎり、スライス、ひび割れ、叩くなど様々な下ごしらえの方法があります。
にんにくは、スライスよりみじん切り、さらにすりおろして使うのが効果的な使い方になります。
にんにくの細胞がより細分化され、より多くのアリシンを生み出すことができるためです。
しっかりとにんにくのパワーをとりたいときは、「すりおろし」て使うのがおススメです!
みじん切りをするときは、まな板ににんにくを置き、包丁の腹で押し潰します。潰したにんにくを端から刻むと簡単にできます。
また、たまねぎと同じ要領で、横と縦に包丁を入れておいて端から刻む方法もあります。
にんにくの芽は調理のときに焦げやすいため、取り除いておくと良いですね。
にんにく有効成分を効率的に摂る方法
にんにくの有効成分を効率的に摂る方法を紹介します。
アリシンを効率的に摂る方法
細胞を壊すことによって生まれる「アリシン」は揮発成分です。そのため、下ごしらえしてから20分くらい放置すると空気中に逃げてしまいます。
下ごしらえは調理直前にするようにしましょう。
すぐ調理しない場合は、下ごしらえしたにんにくをすぐに油に溶かし込んでアリシンをキープすることが重要です。
また、油に溶け込むと一部のアリインはアホエンという成分に変わります。
アホエンを効率的に摂る方法
アホエンを多く生成する方法もあるのでご紹介しますね。
にんにくのみじん切りとオリーブオイルを合わせておきます。それを沸騰したお湯で湯煎し、自然に冷めるまで3時間ほど放置します。
出来上がったオイルは、冷蔵保存して1週間程度で使いきるようにしましょう。
炒め物ににんにくを使うときの注意点
炒め物ににんにくを使うときには注意点があります。
フライパンや鍋に油とにんにくを入れてから火をつけて、弱火でゆっくりと加熱しましょう。
高温の油の中にいきなり入れると、たんぱく質分解酵素である「アリイナ―ゼ」が失活してしまうため、アリシンの生成がされなくなってしまいます。
余っちゃう?にんにくをムダなく上手に保存する方法
最後に、ムダなく上手に保存する方法をご紹介します。
皮をむいてしまったにんにくは、「冷凍保存」か「にんにく調味料」にしましょう。
冷凍するときは、丸ごと、または薄切りかみじん切りにして1回使う分に小分けしてラップに包んで保存します。
にんにく調味料は、作っておくと様々な料理に使うことができて便利です。
にんにくのオイル漬け
- オイル漬けは、にんにく(100g)をみじん切りするかすりおろします。
- にんにくを耐熱瓶に入れて電子レンジで600W1分加熱します。
- その後、オリーブ油(1カップ)を注いで蓋をします。
- 常温保存で1年保存できます。
にんにくの醤油漬け
- 醤油漬けは、にんにく(1玉)を皮をむく。
- 耐熱瓶に入れて電子レンジで600W1分加熱します。
- そこにしょうゆ(1カップ)を注いだら出来上がりです。
- 漬けたにんにくは、刻んで薬味として使えます。
にんにくを使った中性脂肪を下げるレシピ
にんにくのきいたほうれん草ともやしのナムルにひじきの入った牛そぼろが相性のよいビビンパ丼です。
食物繊維が豊富なひじきともやし、緑黄色野菜のほうれん草など、お野菜もたっぷり摂れる一品です。
<材料(4人分)>
- ご飯・・・・・・4膳分
- 牛ひき肉・・・150g
- ひじき・・・・・ドライパックのもの50g
- ほうれん草・・1束
- 大豆もやし・・1パック
- キムチ・・・・・適量
<そぼろ調味料>
- ごま油・・・・小さじ1/2
- しょうゆ・・・・大さじ1
- みりん・・・・大さじ1
- 砂糖・・・・・小さじ1
- にんにくすりおろし・・1/3かけ分
<ほうれん草・もやし用調味料>
- ごま油・・・・各小さじ1/2
- すりごま・・・各大さじ1
- にんにくすりおろし・・各1/3かけ分
- 塩・・・・・・・少々
<作り方>
- フライパンにごま油を熱して牛ひき肉を炒め、色が変わってきたらひじき・にんにくすりおろし・しょうゆ・みりん・砂糖を加え、水分がなくなるまで炒め煮する。
- ほうれん草は熱湯でさっと茹でて水に取り、水気をしっかりと絞ってごま油・すりごま・にんにくすりおろし・塩を加え混ぜる。
- 大豆もやしは豆が軟らかくなるまで6分程茹でてざるにあげ、ごま油・すりごま・にんにくすりおろし・塩を加え混ぜる。
- 丼にご飯をよそい、1.~3.をバランスよく盛り、キムチを添える。
まだまだあります!にんにくを使ったレシピ
当サイトでご紹介している「にんにく」を使ったレシピをご紹介します。
まとめ
にんにくはたくさんの健康パワーを持っていることを理解していただけたでしょうか。
疲れにくい体、脂肪を燃焼しやすい体を手に入れるためには、ぜひ取り入れたい食材ですね。中性脂肪対策にもなります。
効能を効果的に得るには、「すりおろす」「調理直前に下ごしらえをする」「炒めるときは、弱火でじっくりと」でした。
いくら体によいからといって生で大量に食べると、胃に穴が空いてしまうことも分かっています。生の場合は1粒程度にしましょう。
覚えておいて頂きたいのは、にんにくは大量に食べたからと言って効果が高くなるわけではありません。大切なのは毎日続けて食べることです。
適量を食べ続けることで、にんにくの効果は24時間続いてくれます。
ぜひ、ほどほどの量を料理に取り入れて楽しく食べてみてくださいね!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。