抗酸化物質とはどのようなものかご存知でしょうか。
抗酸化物質はフリーラジカルや活性酸素を消去して、動脈硬化、老化、がんなどを予防してくれる働きを持ちます。
私たちの体の健康を維持するのにとても大切な栄養素となってきます。
抗酸化物質の必要性や種類、またどのように摂ると良いのかご紹介していきます。
なぜ中性脂肪が高い人は抗酸化物質を摂る必要があるの?
まずは、なぜ抗酸化物質を摂る必要があるのか説明していきます。
ヒトは、呼吸によって酸素を取り入れて栄養素を酸化分解して、エネルギーを得て生きています。この過程で、酸素の一部が活性酸素に変わります。
過剰な活性酸素は、体内の脂質、たんぱく質、核酸などを傷つけ、私たちの体に悪影響を及ぼします。
また、中性脂肪が高い人は脂質代謝の異常を引き起こします。HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下し、一方LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加します。
悪玉であるLDLコレステロールが増えると、活性酸素により酸化変性して酸化LDLコレステロールになります。
この酸化LDLコレステロールが血管壁に溜まっていくと動脈硬化が進行して、最終的には心筋梗塞や狭心症などを引き起こしてしまいます。
そのため、活性酸素を消去する働きを持つ抗酸化物質を食べ物から摂り、動脈硬化を予防する必要があるのです。
抗酸化物質にはどのようなものがあるの?
次に、抗酸化物質にはどのような種類があるのか紹介していきます。
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンは聞いたことがある方も多いと思います。他にも、ポリフェノールなども抗酸化物質の一つとなります。
これから一つずつ詳しく説明していきます。
ビタミンA
脂溶性のビタミンになります。目の機能に関与しており、目の網膜にある「ロドプシン」の主成分でもあります。
また、皮膚や粘膜の健康を保つのにも重要なビタミンです。強い抗酸化力をもつため、がん予防にも効果的です。
多く含む食品は、レバー、うなぎ、モロヘイヤ、にんじんなどがあります。
ビタミンC
水溶性のビタミンになります。コラーゲンの合成を助け、皮膚の傷ややけどの治りをよくします。過酸化脂質の生成を抑え、動脈硬化を防ぎます。
また、抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンの合成に関わっているため、ストレス時には、ビタミンCの必要量が高まります。
多く含まれる食品は、野菜や果物に多いです。特に多いのは、ピーマン、ブロッコリー、レモン、キウイフルーツ、いちごなどがあります。
ビタミンE
脂溶性のビタミンになります。体内の細胞膜に存在し、不飽和脂肪酸を活性酸素から守る働きをしています。
また、毛細血管を広げて、血行を促す働きも持ちます。多く含まれる食品は、魚介類、緑黄色野菜、ナッツ類、植物油に多いです。
具体的には、うなぎ、モロヘイヤ、赤ピーマン、ひまわり油、アーモンドなどです。
β-カロテン
体内で必要に応じて、ビタミンAに変わります。強い抗酸化力をもち、がん予防に効果があります。また、全身の粘膜を健康に保つ働きを持ちます。
多く含む食品は、主に緑黄色野菜になります。代表的なものとして、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などです。
ポリフェノール
光合成によって作られる植物の色素や苦味成分です。すべてのポリフェノールに体内で発生してしまった活性酸素を除去する働きがあります。
これは、植物が太陽の紫外線から身を守るために持っているものです。主に皮の部分に多く含まれています。
代表的なものは、ブルベリーやなすに含まれる紫色のアントシアニン、そばやぶどうに多いフラボノイド、緑茶に含まれるカテキンなどがあります。
抗酸化物質はどのように摂ると良いの?
これまであげた抗酸化物質を食品からどのように摂るのか、また効率的な摂り方を紹介していきます。
ビタミンAの上手な摂り方
脂溶性であるため、油で炒めたり、脂肪の多い肉や魚と合わせて摂ると吸収率が高まります。
にんじんをサラダで食べるときは、オリーブオイルなどの油を少しかけることでビタミンAの吸収率が上がります。
ただし、油はカロリーが高いため、かけすぎには注意しましょう。
ビタミンCの上手な摂り方
熱に弱いため、ビタミンCを多く摂りたいときは、なるべく野菜や果物は生で食べることをおススメします。
生が無理なときは、さっと茹でるぐらいにするといいでしょう。
じゃがいもやさつまいもなどのビタミンCは、加熱しても壊れにくいのが特徴です。
にんじんには、ビタミンCを壊す酵素が含まれていますが、その酵素は酸性では働きません。そのため、にんじんとビタミンCを含む野菜のサラダを作るときは、酢が入ったドレッシングをかけるようにしましょう。
加熱しても壊れにくいビタミンCを持ったじゃがいものレシピ
おからもちの磯部焼き
じゃがいも=糖質というイメージもありますが、実はじゃがいもは食物繊維も豊富でビタミンCも多く含まれています。
その他、ペプチドが含まれており、中性脂肪やコレステロールを減少させる働きがあります。
おからには中性脂肪を減らす不溶性食物繊維も多く含まれており、じゃがいもと一緒に食べることで相乗効果が期待できます。
<材料(4人分)>
- おから・・・・150g
- じゃがいも・・2個分(約250g)
- 米油・・・・・大さじ1
- 焼き海苔・・・全形2枚
- 調味料A
しょうゆ・・・大さじ2
砂糖・・・・・大さじ2
<作り方>
- じゃがいもは皮をむき、すりおろし水気を軽く切っておく。Aを合わせておく。焼き海苔は1枚を9等分に切っておく。
- ボウルにすりおろしたじゃがいも、おからを入れてよく混ぜる。等分にし、平たい円形に丸める。両面に海苔をつける。
- フライパンを熱し、中火で両面を焼き蓋をして中まで火を通す。Aを全体に絡める。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:135kcal
コレステロール:0mg
食物繊維:5.5g
脂質:4.6g
食塩:1.3g
ビタミンEの上手な摂り方
脂溶性であるため、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。熱や酸にも強く炒めても成分が損なわれません。
同じように抗酸化力が強いビタミンCやβ-カロテンと一緒にとると抗酸化力の効果がアップします。
また、オリーブ油やごま油などの植物油にも多く含まれます。しかし、時間がたつと酸化が進み過酸化脂質を生み出してしまいます。
そのため、植物油はなるべく容量の少ないものを購入して、早めに使いきることが重要です。
β-カロテンの上手な摂り方
こちらも脂溶性であるため、脂肪の多い食品と一緒に食べたり、油で炒めたりすることで吸収率を高めることができます。
動脈硬化の予防の観点から、肉やバターなどの油より、魚や植物油と一緒に摂ることをおススメします。
また、異なるカロテノイド類と一緒に摂ると、相乗効果によって抗酸化力がより高まります。
アスタキサンチンを含む鮭やエビ、リコピンを含むトマトなどと一緒に組み合わせてみましょう。
カロテノイド類は、さまざまな食品に含まれているので、多くの食材を使って食べることで必然的に食べ合わせができます。
アスタキサンチンを含むエビとパプリカのβ-カロテンを組み合わせたレシピ
えびのココナッツレッドカレー
市販のカレールウは手軽に味が決まり便利ですが、脂質も高めです。
カレースパイスには抗酸化力の高いスパイスが豊富に含まれているので、ぜひ手作りのカレーをおすすめします。
ココナッツミルクに含まれる脂質は中性脂肪になりにくい脂質として知られています。
また、えびの赤い部分であるアスタキサンチンは抗酸化力が非常に高く、同じく抗酸化力の高いパプリカパウダーと組み合わせることによって、高い動脈硬化予防が期待できます。
<材料(4人分)>
- えび(殻付き)・・・8尾
- 玉ねぎ・・・・・・・1個
- にんにく・・・・・・2片
- 赤パプリカ・・・・1個
- たけのこ(水煮)・・1/2個(120g)
- しめじ・・1パック(100g)
- トマト水煮缶・・1缶(400g)
- ココナッツミルク缶・・1缶(400g)
- カレー粉・・・・大さじ1
- パプリカパウダー・・大さじ1
- オリーブオイル・・大さじ1
- 塩・・・・・・大さじ1/2
- こしょう・・・・・少々
<作り方>
- えびは殻付きのまま背ワタを取り除き、洗って水けをふいておく。
- 玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。パプリカは乱切りにする。たけのこは薄切りにして、しめじは石づきを取り小房に分けておく。
- 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ弱火で炒める。
- にんにくの香りが立ってきたら玉ねぎを入れ、透き通るまで炒める。
- トマト水煮缶、ココナッツミルク缶を入れ混ぜ、カレー粉とパプリカパウダー、塩こしょうを入れてよく混ぜる。
- 沸騰してきたらえび、たけのこ、パプリカを入れて10分~15分ほど煮込む。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:562kcal
コレステロール:65mg
食物繊維:5.8g
脂質:27.1g
食塩:2.0g
ポリフェノールの上手な摂り方
水溶性であるため、生で食べることをおススメします。スープや煮物などにした場合は、汁まで一緒に飲むと良いでしょう。
多く含まれるのは皮の部分であるため、ブルベリーやりんごなどは皮ごと食べることをおススメします。みかんなどの白い皮にも多く含まれますので、剥がさず食べると良いでしょう。
また、摂取してから3~4時間で排泄されてしまうので、毎食食べることもポイントになります。
まとめ
今回ご紹介した抗酸化物質は、活性酸素を消去して動脈硬化の予防など重要な働きをしてくれます。
特に、野菜、果物、植物性食品に多く含まれていることが分かったと思います。野菜や果物は、彩りも良く食事を華やかにしてくれるのも良い点です。
抗酸化物質を取り入れた料理で、食事を楽しみ、より健康な体を目指していきましょう!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。