管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

DHA・EPAが豊富なサケ(鮭)の上手な食べ方と栄養素・成分

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日本人はサケが好きですね。大変人気のある魚です。

日頃の食生活で魚の摂取量を増やそうと思っても、なかなか難しいといったことはよくありますが、サケによってその悩みが随分と助けられているのではないかと思います。

一般に青背の魚は脂がのっていて、白身の魚は淡泊な味わいと分類されますが、サケは白身魚でありながら比較的脂ののった身をしています。

したがって、中性脂肪を減らすDHAやEPAの摂取をすることも可能なのです。

魚摂取量アップの救世主であり、健康効果も期待できるサケは非常にありがたい存在です。

 

サケ(鮭)の種類

サケは切り身を買って調理することも珍しくないと思いますが、思いのほか種類が多く選ぶのが難しい魚です。

一般に「サケ」として出回っているものはシロサケであることが多いと思います。
そのほかに「ベニサケ」「ギンサケ」「キングサーモン」「サーモントラウト」などが多く見かけるものでしょう。

種類によって身の色の濃さや脂の多さなどに差がありますが、中でも「サーモントラウト」は脂がのっています。
実はニジマスなのですが、サケとマスの区別が難しく、養殖されているので旬がなく大きさも一定で、味わいも安定しています。

さらにサケは基本的に生食できないのですが、サーモントラウトは生食も可能で寿司ネタとしても人気です。

切り身を買う時に悩む、もう一つの区分に「甘塩」「辛塩」があると思います。
塩分濃度で分けていて、甘塩だと3%程度、中辛だと7%程度、辛塩だと11%程度の濃度の食塩水で処理をしています。

食塩摂取量が過多になりすぎである点も生活習慣病対策としては見逃せませんので、注意して選びましょう。

 

サケ(鮭)に含まれている栄養素・成分

アスタキサンチン

サケは白身魚です。白身魚にも関わらず身の色がピンク色なのは、エサとして食べたエビなどのアスタキサンチンという色素によるため。

アスタキサンチンはカロテノイド系色素の一種で、優れた抗酸化作用を持っています。その働きによって過酸化脂質の生成を抑制してくれます。

過酸化脂質は動脈硬化やがんの引き金となるため、抗酸化作用を持つ栄養素や成分によって活性酸素の害から守ることは予防につながるのです。

 

EPA・DHA

脂ののっている身からは、白身魚でありながらEPAやDHAの摂取が期待できます。いずれもn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属し、魚油からの摂取が期待できる脂肪酸です。

脂質は量だけでなく、質を見て選びましょうと言われている昨今、n-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は日本人にとって摂取が足りていない脂肪酸です。

どんな脂肪酸を含んでいようとも脂質は1gあたり9キロカロリーという高エネルギーを持つにも関わらず、n-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に注目が集まるのは、循環器系疾患による死因がいまだ多い日本人にとってこれらの働きに期待が集まるからです。

EPAは中性脂肪を下げる働きがあるのはもちろんのこと、特に血栓を予防する働きに優れています。血小板の凝集や血液流動性の改善は動脈硬化性疾患の予防に非常に有効です。

DHAは脂肪酸の合成に関わる酵素の働きを抑制する作用によって血液中の中性脂肪を減少させると考えられています。また血液中のコレステロール値を調節して、血栓や動脈硬化を予防します。

中性脂肪対策ではEPA・DHAを摂るのはとても重要なことです。EPAとDHAを効率良く摂る方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

関連記事:EPA・DHAの効果と多く含む食材・上手な摂り方

 

ビタミンD

サケは白身魚の中でビタミンDが豊富なことでも知られています。ビタミンDは吸収率があまり良くないカルシウムの吸収を助けてくれる、脂溶性ビタミンです。

サケは乳製品との相性も良いので、カルシウムを含む乳製品とあわせて調理をすることで栄養面でのバランスも整います。

 

サケ(鮭)の選び方と注意点

切り身では、皮が銀色に光り、身の色は鮮明なものを選びましょう。黄色っぽくなっているものは鮮度が落ちている目安です。

身の色が鮮明ということは、それだけアスタキサンチンを多く含んでいるということになります。

切り身を空気にさらしているとEPAやDHAが酸化されてしまいますので、ペーパータオルなどに包んでラップし、冷蔵庫のチルド室で保存すると良いでしょう。

サケは加工品も多く、サケ人気を押し上げているものの一つにイクラがあると思います。もちろんおいしいのですが、いくらをはじめとする魚卵にはコレステロールが多く含まれます。

コレステロールは食事からの摂取ばかりではなく体内で合成されるものも多いので、脂質異常症の診断がついていない方であれば厳しい制限は必要ありません。

とはいえ、食事からのコレステロール摂取量が過多になれば当然血中脂質バランスを崩しやすいので、いくらの摂取はほどほどにしておきましょう。

 

サケ(鮭)のEPA・DHAを上手に取り入れるコツ

中性脂肪の数値のコントロールを考えると、EPAやDHAを上手に摂取しつつ、エネルギーがあまり高くならないような食事を心がけたいということになると思います。

サケは脂がのっているとはいえ、白身魚ということもあってややエネルギーは控えめで、たんぱく質の供給源として有益な食材です。

また素材に脂がのっているため、ホイル蒸しにしたり、酒蒸しにしたりといったシンプルな調理法でもパサつかず、おいしく食べることができます。

もちろん油脂との相性も良いのですが、バターなどの飽和脂肪酸が多いものと合わせるよりも、オリーブオイルのような一価不飽和脂肪酸と合わせる方がおすすめです。

いずれにしても油脂の使い過ぎはエネルギーが高くなりやすいので注意が必要です。

脂質が豊富なサケと、脂溶性ビタミンの豊富な緑黄色野菜を合わせて蒸し物にするのはどうでしょうか。

脂溶性ビタミンの吸収が促進されますし、β-カロテンやビタミンEには抗酸化作用もあるので、EPAやDHAのような酸化しやすい脂肪酸の欠点をカバーしてくれます。

ここに同じく抗酸化作用を持つビタミンCをプラスすると相乗効果が期待できますので、レモン汁などをかけて食べると良いでしょう。

 

サケ(鮭)を使ったレシピ

当サイトでご紹介しているサケ(鮭)を使ったレシピです。

さけの缶詰でもDHA・EPAがちゃんと摂れます。調理も簡単なのでおすすめです!

 

まとめ

サケの優秀なところは、その栄養価だけでなく、調理が比較的容易なことと合わせる食材を選ばないこと、和洋中のいずれの料理にも使えることなどが挙げられると思います。

酸化されやすい脂肪酸であるEPAやDHAとの相性が良い、強い抗酸化作用を有しているアスタキサンチンを含んでいるという点はサケ独自の長所と言えるでしょう。

魚料理になかなか手が伸びない方でもサケは比較的取り入れやすい魚だと思いますので、上手に利用して中性脂肪対策をしましょう。

サケ(鮭)以外にもEPAとDHAを多く含むお魚はたくさんあります。いろいろなお魚を食べることで飽きずにEPAとDHAを摂ることができます。

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。

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