管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

中性脂肪を下げたい方に「えごま油」がおすすめな理由

更新日:

「えごま油」は、最近ではスーパーの油コーナーにも普通に並べられていることも多いので、見かけた方も多いと思います。

テレビの健康番組などで紹介されてブームになったのがきっかけだったと思います。

注目された理由は、「オメガ3系脂肪酸」が多く含まれている油であるということ。

オメガ3系脂肪酸には、血液中の中性脂肪を下げたり、血栓を予防して血液をサラサラにしてくれる効果をもつことがわかってきたためです。

また、アレルギー症状も緩和する効果があるともいわれています。

 

油というと「太る」というイメージがあり、ダイエットというと「減らす」「摂らない」とい風に考える方もいらっしゃると思います。

ヒトの健康を維持するのに不可欠である3大栄養素には、炭水化物、たんぱく質、脂質があります。

その中でも、脂質は細胞膜の材料となり、血管や体温維持などの役割を持ちます。

さらに、脂質は脳の神経物質の材料となるため欠かすことができない栄養素になります。

そうです。「脂質」つまり油は健康にとって必要なものなのです。

体に不可欠である脂質を摂るときに、数ある食用油の中から正しく選んで食べることでより健康な体をつくることができます。

良質な油のひとつであり、オメガ3系脂肪酸や抗酸化作用をもつ栄養素などを含む「えごま油」の健康パワーについてお話ししていきたいと思います。

 

えごま油とは

えごま油は、シソ科の一年草「えごま」の種子を搾って作られた油です。

えごまの原産地は主に東南アジアです。

よく語感からのイメージで「ごま油」と混同されやすいですが、えごま油はシソ科、ごま油はゴマ科であり全くの別物です。

また、「しそ油」という名称で売られている油がありますが、これは「えごま油」と同じものになります。

ポイント

「えごま油」と「しそ油」は同じ油です!

 

えごま油の栄養素

次に、えごま油の栄養素について紹介していきます。

まずは、えごま油に含まれる「脂肪酸」について取り上げていきましょう。

えごま油の脂肪酸は、6割以上がオメガ3系脂肪酸である「α-リノレン酸」です。

食用油の中で最も多くα-リノレン酸が含まれているのが特徴になります。

ポイント

「えごま油」にはα-リノレン酸が豊富!

 

冒頭でも少しオメガ3系脂肪酸の健康効果について紹介しましたが、オメガ3系脂肪酸は生活習慣病や認知症などを予防してくれる効果を持つことも知られています。

オメガ3系脂肪酸である「α-リノレン酸」は、体内に入ると血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしてくれます。

また、α-リノレン酸は体内で余分なコレステロールや中性脂肪を減らす効果を持つDHAやEPAに変化します。そのため、血液の質が良くなり代謝も良くなることが期待できます。

中性脂肪対策に必要なEPA・DHAの効果と多く含む食材や上手な摂り方についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

EPA・DHAを含む魚
EPA・DHAの効果と多く含む食材・上手な摂り方

中性脂肪を下げるにはどのような栄養素がいいのかな?と調べたことがある方は、「DHA・EPA」というキーワードをよく見かけたのではないでしょうか。 また、トクホや機能性表示食品、サプリメントの広告などで ...

続きを見る

その他にも、免疫機能の正常化、アレルギー炎症の抑制、脳細胞の活性などさまざまな体に良い効能を持つことが報告されています。

ポイント

α-リノレン酸は中性脂肪対策に有効なDHA・EPAに変化する!

 

2つ目のえごま油がもつ栄養素の特徴として、抗酸化作用を持つポリフェノールであるロズマリン酸やルテオリンが含まれていることです。

中性脂肪が高い方は、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが高い方が多くみられます。

LDLコレステロールが酸化されて、酸化LDLコレステロールになると血管壁に付着して血管が狭くなり動脈硬化を引き起こしてしまいます。

抗酸化作用を有するポリフェノールには、LDLコレステロールの酸化を防ぐ働きを持つため、動脈硬化の予防効果が期待できます。

そのため、ポリフェノールは中性脂肪が高い方にはおススメの栄養素の一つになります。

中性脂肪が高い人は動脈硬化対策に抗酸化物質も摂りましょう

抗酸化物質とはどのようなものかご存知でしょうか。 抗酸化物質はフリーラジカルや活性酸素を消去して、動脈硬化、老化、がんなどを予防してくれる働きを持ちます。 私たちの体の健康を維持するのにとても大切な栄 ...

続きを見る

さらに、ビタミンの一種であるビタミンEも含んでおり、抗酸化作用や血流が良くなる効果もあります。

ポイント

えごま油には、抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれている。

 

えごま油の上手な摂り方

えごま油の上手な摂り方についてご紹介します。

えごま油の一日の摂取量の目安は小さじ1杯(約4g)程度になります。

健康効果が期待できるからたくさん食べようと思いがちですが、あくまでも油です。

カロリーは1gで9kcalあります。適量を守って摂るようにしましょう。

ポイント

えごま油の摂取量の目安:1日小さじ1杯(約4g)程度

 

それでは、食事への取り入れ方について説明していきます。

えごま油はさらっとした食感で、えごま特有の風味があるため、青菜や納豆などのクセや苦味のある素材と相性が良いです。

青菜のお浸しにかけたり、納豆和えに混ぜてみましょう。

納豆などの大豆製品は中性脂肪対策におすすめの食品です。納豆とえごま油の組み合わせは効果があるもの同士の組み合わせですね!

豆腐や納豆は中性脂肪対策の強い味方です

豆腐や納豆などの大豆製品は、中性脂肪対策の食事を考えるときに強い味方になってくれるものです。 「強い味方」になる大きな理由は2つあります。 一つ目は、大豆に含まれる栄養素や成分に、脂肪の吸収を抑えたり ...

続きを見る

 

また、良質なたんぱく質である卵やヨーグルトと一緒に組み合わせると、えごま油に含まれるビタミン類が効率よく摂ることができます。

温かいご飯に、卵、醤油、えごま油をかけて卵かけご飯にして食べるのもおススメです。

 

その他にも、ドレッシングやソースとしても使えます。シンプルに、えごま油と塩をサラダにかけるだけでもOKです。

コクのあるドレッシングがほしい時は、絹ごし豆腐、酢、塩、すりごま、えごま油を一緒に混ぜればクリーミーなドレッシングの完成です。

時間がある時は、滑らかになるまで泡だて器やブレンダ―で混ぜるとより美味しく出来上がります。

 

えごま油は、酸化しやすく、加熱するとα-リノレン酸が効率よく摂ることができないと考えられていました。

しかし、最近の実験結果で、100℃、10分程度の加熱ではα-リノレン酸の効果が変わらないことがわかってきました。

そのため、生食だけではなく、加熱後一旦火を止めて最後にえごま油を回しかけたり、100℃を超えないように湯煎で行う調理方法をすることで加熱調理にも使えます。

肉や魚の料理、煮物にも一旦火を止めて最後に回しかけることで、料理に風味やコクをプラスすることができます。

さらには、シチューやみそ汁などの汁ものにかけて食べるのもいいですね。

このように、「料理にかけるだけ」は、手軽に取り入れることができる方法なのでおススメです。

 

えごま油を購入する時の注意点

えごま油を購入する時の注意点について説明しましょう。

オメガ3系脂肪酸は、熱や光によって酸化しやすい性質を持っています。そのため、遮光瓶に入っているものを選ぶようにしましょう。

遮光瓶でないものを購入した場合は、アルミホイルで包んで遮光して保管することをおススメします。

お店で直射日光や照明が当たらないところに陳列してあるものを選ぶとよいでしょう。

ポイント

えごま油を購入するときは「遮光瓶」に入っているものを選びましょう!

 

まとめ

えごま油の栄養素、効能、そして摂り方について説明してきました。

今まで何気なく摂っていた油を見直して、一部の油をえごま油に置き換えることで、健康に必要な栄養素を摂ることができます。

和食などにも合う味と香りであるため、ふだんの食生活にも取り入れやすいのも魅力的です。

特に、血液の中性脂肪を減らしたりLDLコレステロールの酸化を予防してくれるので、中性脂肪が高い方にはぜひおススメしたい食用油になります。

料理に手軽にそして幅広く活用できるので、ぜひ食事にえごま油を取り入れてみてはいかがでしょうか。

えごま油の理解が深まり、日々の食事に取り入れてみようと思っていただけたら嬉しいです。

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。

このレシピor記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

注目のおすすめ記事

1

  中性脂肪の数値を下げて正常値に戻すために必要なのは、「食生活の改善」と「適度な運動」です。 でも、これらをちゃんと毎日できますか? きっと毎日きちっちりできる人なんてそうそういません(笑 ...

-管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

Copyright© 中性脂肪対策食堂 , 2024 All Rights Reserved.