代表的なきのこのひとつである「しいたけ(椎茸)」は、馴染みのある食材のひとつではないでしょうか。
しいたけはうまみ成分を含み美味しくて香りがよい食材になります。
それだけでなく、体にとって良い働きをする栄養素もたくさん含んでいるのです。
食べたものをエネルギーに変えるときに必要なビタミンB群、骨の形成に必要なビタミンDなどを豊富に含んでいます。
また、肥満予防に効果的な食物繊維や免疫細胞を活性化させるβ-グルカン、中性脂肪や悪玉コレステロールを低下させる作用をもつエリタデニンなどうれしい効能をもつ栄養素も持っています。
しいたけがもつ栄養素、効果的な食べ方や食べ合わせについて紹介していきます。
しいたけの栄養素
まず、しいたけがもつ栄養素について説明していきます。
ビタミンB群
ビタミンB群は、三大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)をエネルギーに変えるときに働く酵素を助ける働きをします。
そのため、ビタミンB群が不足すると太りやすく、また疲れやすくなります。
ビタミンB群の中でも、「ナイアシン」は三大栄養素のすべての代謝を助ける働きを持ちます。
また、血行促進作用もあるため、代謝を亢進してより脂肪燃焼の効果が期待できる栄養素です。
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食物繊維
食物繊維は、体内で水を含んで膨張するため、満腹感を与え食べ過ぎ防止の効果があります。
また、余分なコレステロールなどを排出したり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
そのため、肥満防止には強い味方の栄養素となります。
β-グルカン
βーグルカンは、腸を刺激して腸内をきれいにする働きを持ちます。また、免疫機能を高めてがん細胞の増殖を抑える効果もあります。
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エリタデニン
「エリタデニン」には、中性脂肪や血圧を低下させる作用があることが報告されています。
また、悪玉コレステロールを低下させ、一方善玉コレステロールは上昇させる働きを持ち、コレステロールの調整をする作用もあります。
このことから、動脈硬化の予防効果が期待できます。
また、きのこ類では、しいたけとマッシュルームにしか含まれていない貴重な栄養素になります。
しいたけの選び方
次にしいたけの選び方をご紹介します。
全体的によく乾いているもの、軸が太く、短いものを選ぶといいでしょう。
かさの部分は、肉厚で閉じて丸まっているものが良いです。裏のひだは、きれいで白く変色や傷がないものほど新鮮なしいたけになります。
旬は春と秋に2回あり、春のものは身が締まっておりうま味が強く、秋のものは香りが良いと言われています。
旬のものは栄養価も高く安価でもあるので、特に食べる機会を増やすと良いでしょう。
また、干ししいたけの場合は、乾燥がしっかりできているものを選びましょう。
しいたけの下処理と保存方法
次に、しいたけの効果的な食べた方について紹介していきます。
下処理
しいたけは、水で洗うと風味や栄養素が落ちてしまいます。
汚れが気になるときは、湿らしたキッチンペーパーでふき取る程度にしておきましょう。
かたい石づき部分はとりますが、軸はコリコリとした食感がよいのでぜひ捨てずに食べましょう。
保存方法
しいたけは湿気に弱いので、水気をしっかりと吸収できるようキッチンペーパーに包んで、容器に入れて冷蔵保存するのが良いでしょう。
冷凍保存の場合は、食べやすい大きさにカットしてから密閉袋や容器に入れると使うときに便利です。
冷凍することで、うま味や栄養素が増加するのもメリットになります。
長期保存させたいときは、乾燥させるのがおススメです。
ザルなどに重らないようにして並べて、天日で干してみてください。夏場であれば、1週間ほどで完成します。
完成した後は、乾燥剤と一緒に保存袋に入れて、暗所で保存しておくといいでしょう。
しいたけの効果的な調理方法
次に調理方法について説明していきます。
しいたけはうま味成分があるので、料理に使用することでより美味しい一品を作ることができます。
シンプルに焼く
しいたけのうま味や香りをそのまま味わって食べたい方におススメなのは、シンプルに焼いて食べることです。
まず、石突をとり、軸の部分を上に向け、十字に切れ目を入れておきます。こうすることで火が通りやすくなります。
魚グリルやオーブンなどに軸を上に向けてのせアルミホイルをかぶせます。すると、熱が全体に通り、よりしいたけのうま味がでます。
切り込みに水滴がでてきたぐらいがちょうど良い焼き加減です。
塩や大根おろし、レモンなどを付けて食べるといいでしょう。
とうがらしと一緒に食べ合わせる
また、しいたけととうがらしを一緒に食べ合わせると、とうがらしのカプサイシンによるエネルギー代謝を亢進させて体脂肪の分解作用が期待できます。
この組み合わせで簡単にできる料理を一つ紹介します。
まず、しいたけを食べやすい大きさに切り、種を除いた唐辛子、おろしにんにく、ごま油、塩、コショウと一緒に混ぜます。
次に、ラップをかけ電子レンジで1分30秒程度温めたら出来上がりです。
お好みに合わせて醤油で味を調整してみてください。
干ししいたけの種類と使い方
次に干ししいたけについて説明します。
干ししいたけは冬菇・香菇・香信の3種類に分けられています。
冬菇はカサに巻き込みがあります。しっかりとした歯ごたえがあるため、筑前煮、おでん、シチューなどによく使われます。
香菇は肉厚でボリューム感もあり、和食や中華でよく使われています。
香信は、カサが開いていて、肉質が薄いのが特徴です。そのため、水にもどしやすく、味も染み込みやすいです。
調理としては、酢豚、野菜炒め、ちらし寿司などに使用されます。
干ししいたけの水もどしは、低温でじっくり行えばその後の加熱でうま味成分のグアニル酸がアップするため、食感の良い美味しい料理に仕上がります。
水に干ししいたけを一晩水につけておけば、翌朝には美味しい出汁ができています。
急ぎの時は、ぬるま湯に砂糖を入れて、電子レンジで温めると早くもどすことができます。
その戻し出汁にはうま味成分がたっぷりと入っているので、その出汁を使って煮物を作るといいでしょう。
戻したしいたけは、煮物の最後に投入すると、食感も残り美味しく味わうことができます。
干ししいたけのうま味成分のグアニル酸は、昆布のうま味成分と組み合わせることで「味の相乗効果」によりうま味をより強く引き出すことができます。
水で戻すときに干ししいたけと昆布を一緒に戻すとよりうま味の強い戻し出汁ができるのでおススメです。
しいたけを使ったレシピ例
次のレシピは「干ししいたけ」を利用したレシピです。
まとめ
しいたけには、脂肪燃焼を促進する「ナイアシン」、中性脂肪の低下作用をもつ「エリタデニン」が含まれています。
そのため、中性脂肪を減少させる強い味方の食材であることが分かっていただけたと思います。
また、うま味成分も持つため、料理を美味しくしてくれるのもうれしいですね!炒め物や煮物にしいたけを入れるだけでうま味がアップします。
干ししいたけは保存期間も長いので、ぜひ家に常備して上手に使ってみましょう。
最初にも申し上げましたが、しいたけに限らず、きのこ類は中性脂肪対策になる栄養素が含まれた食材です。
しいたけに限らず、簡単に手に入る「えのき」や「舞茸」も積極的に活用しましょう。こちらも参考にしてみて下さい。
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この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。