管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

蒸し大豆を中性脂肪対策の食事に取り入れよう

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大豆は、たんぱく質、食物繊維、ビタミン類、ミネラルなど豊富な栄養成分を含みます。必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質なたんぱく源でもあります。

また、コレステロールを含まないため、肉や魚のたんぱく質に比べてヘルシーです。

大豆製品には、豆腐、納豆、豆乳、醤油、味噌、水煮大豆、蒸し大豆など様々な種類があります。

これらはそれぞれ製品工程が違うので、含まれる栄養成分の量に違いがみられます。

大豆製品の中でも注目したいのは「蒸し大豆」。蒸し大豆は、特に中性脂肪が高い方におススメしたい食材です。

今回はなぜ蒸し大豆が中性脂肪対策に良いのかを詳しくお伝えしていきます。

 

なぜ”蒸した”大豆が良いのか?

大豆の水煮は長時間お湯の中につけるため、水溶性の栄養成分が溶け出しやすいです。一方、蒸し大豆は蒸気によって加熱するので、栄養成分が逃げにくいという特徴があります。

さらには、大豆のうまみ成分であるグルタミン酸も水溶性の成分であるので、ゆでるより蒸すほうが豆に残ります。

その他の栄養成分である大豆たんぱく質、ビタミンB群、ミネラル、食物繊維、大豆イソフラボンも水煮大豆をはじめ、豆腐、豆乳、納豆に比べて、蒸し大豆により多く入っていることがわかっています。

 

大豆に含まれる中性脂肪に効く栄養素

では、大豆のどんな栄養素が中性脂肪が高い人に良いのかご説明します。

 

大豆たんぱく質

大豆たんぱく質には、コレステロールを低減させる作用があります。

大豆たんぱく質はコレステロールとくっつく性質があり、コレステロールの吸収を抑制して体外に排出させます。

この作用は、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールだけに働き、善玉コレステロールは減らさないため、コレステロールのバランスを整えてくれます。

大豆たんぱく質の主成分であるβ-コングリシニンは、血中の中性脂肪を減らす作用を持つことがわかってきています。

これは、β-コングリシニンが肝臓内で中性脂肪のもととなる遊離脂肪酸を減らす働きがあるためと考えられています。

 

大豆サポニン

大豆をゆでると泡立ちますが、この泡の正体は大豆サポニンです。

強い抗酸化力を持っており、脂肪の吸収、蓄積を抑える働きがあると言われています。

 

食物繊維

食物繊維は、食べたものの消化吸収を緩やかにしてくれる働きを持ちます。

そのため、食後の血糖値の上昇を緩やかにすることで、体内に脂肪を蓄積するのを予防する効果が期待できます。

また、食物繊維は水分を含むと膨張するため、満腹感も得やすく食べ過ぎ防止にもなります。

100gあたりの蒸し大豆には8.8gの食物繊維を含み一方水煮大豆は6.7gです。

この点からも、中性脂肪を減らしたい方やダイエットをしたい方には「蒸し大豆」がおススメです!

 

蒸し大豆の作り方

次に蒸し大豆の作り方をご説明します。

1.乾燥大豆を水で良く洗って、約10倍量の水を加え、一晩浸します。(約8時間程度)

2.大豆の水気を切ったら、蒸し器に入る耐熱ボールなどに大豆を広げまきます。それに、空気が逃げないようにしっかりとラップを巻きます。(裏面も重なるようにしっかりと)

3.蒸し器に水を入れて沸騰させ、②を蒸し台の上に置いて蓋をして、強火で40~50分蒸します。

4.ラップの上から大豆を指で押して、軟らかくなっていれば、そのまま冷やして出来上がりです。(ラップはすぐはがさないことがポイントです。ラップで密閉されていると内側の水分が浸透してしっとりと仕上がり、甘味も増します。)

この作り方は、ラップを使わずに蒸し大豆を作るよりも糖質は低く、その他の栄養成分が上回っていることがわかっています。
うま味成分であるグルタミン酸も増えるので、おいしさもアップします。

(参考資料:糖質制限ダイエットに最適!蒸し大豆で満足レシピ江部 康二【監修】/太田 静栄【料理】河出書房新社)

 

蒸し大豆はスーパーなどでも購入できます

蒸し大豆を作る時間がない方は、市販品を使用すると良いでしょう。

小分けパック、有機大豆など様々なタイプのものがあるので、自分のお好みの蒸し大豆をさがしてみましょう。

 

蒸し大豆の上手な食べ方

最後に、蒸大豆の食べ方についてご紹介します。

蒸し大豆はそのまま食べても美味しいので、手軽に1品作ることができます。

いつも食べるサラダにのせたり、みそ汁、胡麻和えなどに加えるだけもOKです。
また、切干し大根の煮物やひじきの煮物にも入れると、より食べ応えがありボリューム感のある1品になります。

では、蒸大豆を朝食、昼食、夕食にどのように取り入れたら良いのか具体例を挙げて説明していきます。

 

朝食に取り入れる

朝はご飯を作る時間がなく、パンと飲み物だけになってしまうときもありませんか。そんなときに、おススメするのが「蒸し大豆トースト」です。

パンに蒸し大豆、あればブロッコリーやトマトを角切りにしたものをのせて、マヨネーズをかけます。最後に、とろけるチーズをのせてトーストしたら出来上がりです。

朝食がご飯派の方には「蒸し大豆ごはん」がおススメです。ご飯に、塩と蒸し大豆を混ぜたら出来上がりです。

 

昼食に取り入れる

お昼は、日中活動するのでしっかりと食べたいですよね!

お弁当の具にもぴったりなピーマンの肉詰めに蒸し大豆を入れてみてはいかがでしょうか。ひき肉の半分を蒸し大豆を粗みじん切りしたものに変えるだけでOKです。

お肉よりヘルシーな大豆を使うことで、カロリーをダウンすることができ、食感はもっちりと食べ応えがでます。

同様にハンバーグや餃子のひき肉の一部を蒸し大豆に変えてみるのもいいですね!

また、時間がなくコンビニで昼食を済ますこともありますよね。おにぎりとサラダだけでは、たんぱく質が不足しています。

その時は、買ったサラダに蒸し大豆をプラスすることでバランスの良い食事に近づけることができます。

また、昼食をしっかり食べることができなかったときは、間食として蒸し大豆を召し上がるのもよいでしょう。

蒸し大豆はうま味があるので、そのままおやつ代わりとして食べることもできます。ヨーグルトにトッピングして召し上がるのもいいですね。

 

夕食

夜は、簡単にできる蒸し大豆グラタンはいかがでしょうか。

玉ねぎ、きのこ類、鶏肉、蒸大豆を炒めて、さらに薄力粉も一緒に炒め合わせます。さらに、コンソメ、牛乳を加えて煮詰めたら、耐熱皿に移し、とろけるチーズをのせてオーブンで焼いたら出来上がりです。

トマトソースのグラタンにしたいときは、薄力粉、牛乳の代わりに、トマト缶を使えばOKです。

夜ご飯が遅くなり軽い食事で済ませたい時は、お味噌汁やスープに蒸し大豆を加えて食べるのがおススメです。
食べ応えがあるため、少量でも満足感を得ることができますよ!

 

蒸し大豆を使ったレシピ

たっぷりお豆のドライカレー

たっぷりお豆のドライカレー

蒸し大豆(蒸し豆)がたっぷりと入ったスパイシーなドライカレーです。

カレールウを使わないのでカロリーを控え目にできます。

<材料(4人分)>

  • 豚赤身ひき肉・・・150g
  • 玉ねぎ・・・・・・大2個
  • トマト水煮缶・・・1カップ
  • 蒸し大豆or蒸しミックスビーンズ・・・200g
  • にんにく・・・・・1/2かけ
  • サラダ油・・・・大さじ1/3
  • カレー粉・・・・大さじ1
  • ブイヨン・・・・・2カップ
  • 塩・・・・・・・・小さじ1/2

<作り方>

  1. 玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。
  2. 鍋にサラダ油とにんにくを入れて弱火にかけ、香りが出てきたら中火にして豚ひき肉を加え炒める。
  3. 肉の色が変わってきたら玉ねぎを加えてしんなりするまで炒め、カレー粉を加えて粉っぽさがなくなるまでしっかりと炒める。
  4. トマト水煮缶、蒸し大豆(蒸しミックスビーンズ)、ブイヨンを入れ、中火で玉ねぎがトロリとし、水分がなくなるまで煮詰め、塩で味を調整する。

*しっかりと水分を煮詰める事がポイントです。

 

大豆とじゃこの炊き込みごはん

大豆とじゃこの炊き込みごはん

米と大豆を一緒に食べることで、糖質の吸収を緩やかにし、中性脂肪の産生を抑える効果が期待できます。

<材料(4人分)>

  • 精白米・・・・・・2合
  • 蒸し大豆・・100g
  • じゃこ・・・・・・20g
  • 塩・・・・・・・・小さじ1

<作り方>

  1. 米は洗米しておく。
  2. 炊飯器に炊飯器の2合の目盛りのところに水、分量の塩を入れよく混ぜておく。蒸し大豆を加え炊飯する。
  3. 炊き上がったらじゃこを加え、蓋をしてしばらく蒸らす。全体をよく混ぜ合わせる。

<栄養素(一人分あたり)>

エネルギー:319kcal
コレステロール:12mg
食物繊維:2.1g
脂質:3.3g
食塩:1.4g

 

まとめ

蒸し大豆は、保存容器に入れて持ち運び、そのまま食べることもできるのも魅力的ですね。

クセがないので、和洋中のどの料理にも合うので、料理にも取り入れやすいです。ぜひ、一度食べてみてはいかがでしょうか。

蒸し大豆に限らず、大豆製品は中性脂肪対策の食事に積極的に取り入れて頂きたい食品です。

こちらでも大豆製品の栄養素や中性脂肪対策の食事として取り入れる方法をご紹介しています。

関連記事:豆腐や納豆は中性脂肪対策の強い味方です

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。

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