えのきはクセがない食材なので、どんな素材とも合います。そのため、鍋やお味噌汁など様々な料理に使われている食材です。
また、えのきはカロリーが少ないですが、ビタミンB1、B2、ナイアシン、マグネシウム、鉄、亜鉛などの栄養素が含まれています。
特に、ミネラル類はしいたけ以上に入っています。
その他にも、脂肪の吸収を抑制したり、コレステロールや中性脂肪を下げるなど、体にとって良い働きをする栄養素も含んでいます。
えのきに含まれる栄養素やおススメの食べ方などについて詳しく紹介していきます。
えのき・エノキタケに含まれる栄養素
まず、えのきに含まれる栄養素について説明していきます。
中性脂肪対策の観点で注目すべき栄養素をいくつかご紹介しましょう。
ビタミンB1
冒頭で少し触れましたが、えのきにはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
特に、ビタミンB1の含有量はきのこの中でもトップクラスです。このビタミンB1は、糖質や脂質の代謝を促進してくれます。
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エノキタケリノール酸
エノキタケリノール酸は、体内の脂肪、特に内臓脂肪を減少させる働きを持っています。
エノキタケリノール酸は消化吸収されると脂肪細胞に入ります。すると、アドレナリンが脂肪細胞に集まってきます。
脂肪細胞とアドレナリンがくっつき、脂肪の代謝が活性化することで内臓脂肪を減少させることが報告されています。
キノコキトサン
キノコキトサンには、体内のコレステロール、中性脂肪を下げる作用があります。
そのため、生活習慣病や動脈硬化の予防効果があります。
このように、えのきには中性脂肪を下げる・内臓脂肪を減らしてくれる効果を持っている栄養素が含まれています。
ぜひ積極的に食べたい食材であるということをご理解いただけたかと思います。
もちろん、えのきに含まれる栄養素はこれらだけではありません。
例えば、アミノ酸のGABA(ギャバ)も含まれているため、肝臓や腎臓の働きをよくする作用も持っています。
そのため、疲れている時や食べ過ぎた後、代謝効率を上げるのにぜひ食べたい食材でもあります。
では次に、えのきはどうやって食べると、おいしく、かつ効率的に栄養素を摂ることができるのか紹介していきます。
えのきの選び方と保存方法
まずはえのきの選び方と保存方法についてご紹介します。
全体が白っぽくてハリのあるもの、そしてかさが開いておらず、軸がピンと張っているものを選ぶとよいでしょう。
選ぶポイント
- 白っぽくてハリがある
- かさが開いていない
- 軸がピンと張っている
保存方法は、真空パックのものなら冷蔵保蔵で1週間程度です。
冷凍保存をする時は、根元を切って小分けにして冷凍しておくと便利です。
ポイント
- 根元を切り落として「冷凍保存」がおすすめ!
えのきをおいしく食べる方法
えのきのうまみを最大に引き出して、おいしく食べる方法を紹介します。
方法その1:ゆっくりと加熱する
1つ目は、「ゆっくりと加熱すること」です。これは、えのきに限らずきのこ全般に共通していることです。
きのこのうまみを作る酵素は、70℃以上で働かなくなります。さらに、うまみを壊す酵素は60℃付近で働かなくなります。つまり、60~70℃でうまみの量が急増加します。
そのため、なるべく60~70℃をゆっくりと通過するように加熱するようにしましょう。
きのこをゆでる際は、沸騰水に入れるのではなく、水から入れてゆでることでうまみをたくさん引き出すことができます。火力も弱火でコトコト加熱すると良いでしょう。
方法その2:干す
2つ目の方法は「干す」です。
えのきは「干す」ことでもうまみがアップします。これは、干すことで細胞が壊れてうまみ成分が増加するからです。
干す前と後では、13倍もうまみ成分が増加したという報告もあります。
また、干すことによって食感もアップしますので、干して食べるとメリットがたくさんあります。
干し方ですが、まずえのきを小分けにします。その後2日間天日で干せば、干しえのき出来上がりです。
方法その3:凍らす
3つ目の食べ方としては「凍らす」(冷凍する)ことです。
えのきを凍らすことで細胞が壊れ、うまみ成分が増します。
中性脂肪を減少させるキノコキトサンが増える「えのき氷」の作り方
先ほどご紹介した通り、えのきは凍らせることでうまみが増えて、おいしく食べることができます。
しかし、凍らせるメリットはそれだけではありません。
えのきは、凍らせると、中性脂肪を減少させる作用をもつキノコトキサンが増加するんです。
しかも、長く保存することもできるのでぜひ活用したい技。
という訳で、えのきを凍らせた「えのき氷」について説明したいと思います。
まずは、えのき氷を作る手順を紹介します。
準備するもの
- えのき:200g
- 水:250cc
- ミキサー(またはフードプロセッサー)
- 製氷皿
- 保存袋
作り方
手順1:えのきの石突を1cmほど切ります。残った部分は3cm程度の長さに切ります。
手順2:ミキサー(フードプロセッサー)に切ったえのきと水を入れます。ペースト状になるまで攪拌します。
手順3:鍋に②を入れて沸騰させます。沸騰したら、弱火にして、ときどき混ぜながら煮ていきます。煮る時間は、20分~60分です。
手順4:煮詰めたら、鍋を氷水につけて粗熱をとります。
手順5:4を製氷皿にいれて、冷凍庫で凍らせます。
手順6:凍ったら、保存袋に移して冷凍庫で保存します。密閉した状態で、3か月保存ができます。
ポイント
煮る時間が長いほど、キノコトキサンとうまみ成分であるグアニル酸が増加することがわかっています。
60分以上ではほとんど変わらないので長くても60分までがおススメです。
えのき氷を使うと美味しくなる料理&活用法
では次に、えのき氷を使うと美味しくなる料理を紹介していきます。
えのき氷は解凍しても、凍ったままでも使うこともできます。
肉料理の使い方としては、ハンバーグのたねに入れるとうまみたっぷりのハンバーグができます。
魚料理では、鯖の味噌煮を作るときに、味噌と解凍したえのき氷を混ぜて煮ると良いでしょう。
また、焼きそばや野菜炒めなどの炒め物の味付けに使うこともできます。
えのきのうま味効果により、他の調味料の量を減らすこともでき、減塩にもなります。
また、白和えや胡麻和えなどの和え物には、調味料と一緒に解凍したえのき氷を加えることでよりコクのある一品ができます。
スープに入れるときは、解凍せずにそのまま入れることができるので手軽に使えます。
熱々のスープに入れて混ぜると、猫舌の方にはちょうどいい温度になるのでおススメです。
効果増強!えのきと一緒に合わせて食べると良い食品
えのきの中性脂肪やコレステロールの低下作用を増強する食べ合わせを紹介します。
それは、食物繊維が多いゴボウやこんにゃくと一緒に召し上がることです。
例えば、ごぼう、人参、糸こんにゃく、えのきを入れたきんぴらごぼうがおススメです。
まずは、いつも作るきんぴらごぼうにえのきを足して作ってみてはいかがでしょうか。
えのきの食感がプラスされることで、より噛み応えのあるきんぴらごぼうが出来上がります。
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また、以下にご紹介する手作りなめたけは、食物繊維が豊富な他のきのこ類と組み合わせています。
手作りなめたけのレシピ
冷蔵庫で5日ほど保存可能なので常備菜におすすめです。冷ややっこにかけたり、大根おろしを添えたりして利用できます。
なめこ独特のぬるぬるとしたものはムチン。たんぱく質の吸収を助けて腸の働きを整える効果があります。
中性脂肪やコレステロールを体外に排出する働きのある不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
<材料(作りやすい分量)>
- えのき・・・1パック(100g)
- しめじ・・・1本(100g)
- まいたけ・・1パック(100g)
- かぶなめこ・1パック(100g)
- 水・・・・・150㏄
- めんつゆ(3倍希釈)・大さじ3
<作り方>
- えのきは石づきを取り、長さを半分に切ってほぐしておく。しめじ、まいたけ、かぶなめこは石づきを取りほぐしておく。
- 鍋に水、めんつゆを入れ煮立て、1.のきのこを入れる。全体を混ぜながら中火で熱し、きのこがしんなりしたら火を止める。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:28kcal
コレステロール:0mg
食物繊維:3.2g
脂質:0.4g
食塩:1.1g
当サイトでご紹介しているえのきを使ったレシピ
まとめ
えのきの効能、栄養素、食べ方についてご説明してきました。
えのきは中性脂肪やコレステロールの低下作用を持つだけでなく、うまみ成分も持っています。
そのため、えのきを料理にプラスすることでより美味しい料理が作ることができます。
また、「ゆっくり水から煮る」「干す」「凍らす」など少し手を加えるだけで栄養素をより一層引き出すこともできます。
まずは、できそうなことからぜひ試してみて、中性脂肪対策に役立ててください!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。