あなたが最近食べた食事に海藻類は入っていましたか?
海藻類は、意識して摂らないと意外に料理に使われてないことも多い食材です。
一方で、海藻類は、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂るのにとても大切な食材になります。
さらに海藻には、中性脂肪対策のみならず、肥満防止、生活習慣病の予防、デドックス効果などをもつ栄養素も入っているため、ぜひ積極的に食べたい食材です。
わかめ、昆布、ひじきなどの海藻類に含まれる栄養素や、おススメの食べ方をご紹介していきます。
海藻類に含まれる栄養素
まずは、海藻類に含まれる栄養素について説明しましょう。
海藻類は、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれている食品です。
ビタミン、ミネラルは、食べたものを効率よく代謝するために必要不可欠な栄養素です。
ビタミン、ミネラルが不足すると代謝がうまくいかず、食べたものが中性脂肪に変わりやすい体になってしまいます。
また、ビタミン、ミネラルは体内でほとんど作られないものが多いため、食品から摂る必要があります。
例えば、中性脂肪対策の視点からはビタミンB群の摂取が大切ですが、海藻にも野菜同様にビタミンB1、B2が含まれています。
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そして、ビタミン、ミネラル以外にも、中性脂肪対策になる栄養素として食物繊維が含まれています。
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海藻類に含まれている中性脂肪対策になる3つの栄養素
中性脂肪対策になる海藻に含まれる3つの栄養素について詳しく説明していきます。
アルギン酸
アルギン酸は、わかめ、昆布に多く含まれている食物繊維の一つです。
アルギン酸の主なはたらきは以下の通りです。
1.高血圧の予防
アルギン酸がアルギン酸ナトリウムとなって、ナトリウムを体外に排出してくれます。
2.中性脂肪やコレステロールの低下作用
アルギン酸のぬめりによって、余分な中性脂肪やコレステロールを包んで体外に排出してくれます。
3.腸内環境を整える
食物繊維の一種であり、腸内に溜まった老廃物を体外へ排出してくれます。そのため、便秘予防に効果があります。
腸内環境を整えたり、便秘を予防したりすることも、中性脂肪対策として大切なことです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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フコイダン
フコイダンは、わかめ、めかぶ、昆布に多く含まれている食物繊維の一つです。
1.コレステロールの吸収抑制
ぬめりが強く、胃の粘膜を保護します。そのため、コレステロールの吸収も抑えてくれます。
2.免疫力の向上
腸内には、体内の免疫細胞が60~70%集まっています。
フコイダンは、腸内の免疫細胞に働きかけ、免疫力の向上に効果を持つと言われています。
3.抗アレルギー作用
アレルギーを発症させる過度な免疫反応を抑えてアレルギーを予防します。
「内閣府認証 特定非営利法人 NPOフコイダン研究所」のHPでは、フコイダンの期待される効能・効果に中性脂肪の低下作用を挙げています。
(参考)NPOフコイダン研究所|体重増加抑制、血清コレステロール低減、血清中性脂肪低減作用
また、コレステロール増加・低下と中性脂肪は関係があります。
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フコキサンチン
フコキサンチンはカロテノイドの一種で、昆布、わかめ、アラメに多く含まれます。
1.動脈硬化の予防
抗酸化作用をもつため、活性酸素から身を守る働きを持ちます。
2.糖尿病の予防
血糖値を低下させ、糖代謝を促進させることから、糖尿病の予防の効果を持つと言われています。
3.脂肪燃焼の促進
余分な脂肪を燃焼させる働きをもつたんぱく質(UCP1)を発現させることが報告されています。
海藻類の上手な食べ方
次に、海藻類の上手な食べ方について説明します。
海藻類でよく食べられているものとしては、わかめ、昆布、ひじきなどがあります。
その中でも特に「とろろ昆布」は、昆布を細かく裁断しているので効率よく体内に栄養素を取り入れることができます。
とろろ昆布をお湯につけるととろみがでます。それは、ネバネバ成分であるアルギン酸が表面にでているためです。
また、うまみ成分であるグルタミン酸も表面に出ているので、だしをとらなくてもすぐにうまみも味わうことができます。
特に、料理をする時間がない方にはおススメの食材になります。
当サイトでご紹介している「とろろ昆布」を使ったレシピです。
とろろ昆布については、フジッコ株式会社のHPでも以下のように紹介されています。
昆布食品のなかでも特に高い健康効果が期待できるのが、とろろ昆布です。
昆布には血中の中性脂肪の上昇を抑える作用がありますが、とろろ昆布にはより高い作用があることがフジッコと矢澤一良教授との共同研究により明らかになっています。
とろろ昆布の加工は煮炊きをしないため、栄養成分の流失がほとんどありません。
また、独特の切削工程でとても薄く削られるため、消化管内でミネラルや食物繊維がより多く溶けだし、血中中性脂肪の上昇を抑制してくれるのです。
とろろ昆布、中性脂肪対策に取り入れたい食材ですね!
海藻類を食べる際の3つのポイント
海藻類を食べる3つのポイントを紹介していきます。
ポイント1:海藻類はなるべく食事の一口目に食べましょう。
海藻類には、食物繊維、アルギン酸、フコイダンなどの栄養素が含まれていることを上記でお伝えしました。
海藻類を食事の一口目に食べることによって、アルギン酸やフコイダンのぬめりが胃などの消化管に膜をはり保護してくれます。
さらに、食べる糖や脂質の吸収を抑制してくれる効果もあります。
特に朝食では、夕食からの時間が空いている場合が多いので、より栄養を吸収しようという力が強まっています。
ぜひ、朝食の一口目はお味噌汁のわかめなどの海藻類から食べることをおススメします。
また、海藻類には食物繊維も多く含まれています。朝食で食物繊維を摂ると、昼食時の血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
ポイント2:酢や納豆と一緒に食べましょう。
海藻類のぬるぬるの正体であるフコイダンは、酢に含まれる酢酸によって食物繊維が柔らかくなり吸収されやすくなります。
そのため、海藻類と酢を一緒に摂ると相乗効果により、さらに中性脂肪やコレステロールの吸収を抑制してくれます。
わかめの酢の物やもずく酢などがおススメです。
乾物の海藻サラダとスライスしたたまねぎに鰹節とポン酢をかけたサラダも手軽に作ることができる一品です。
また、納豆にはナットウキナーゼという酵素が含まれており、血栓を溶かす働きを持ちます。
そのため、海藻と一緒に食べ合わせることで中性脂肪やコレステロールの増加が原因である動脈硬化の予防につながります。
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ポイント3:乾物を上手に使いましょう。
わかめ、ひじき、昆布など、スーパーには乾物として売ってあります。一度買っておくと、保存がきくので好きなときにすぐ使うことができます。
時間がないときにおススメの即席すまし汁に大活躍してくれます。
作り方は、器に切干大根、わかめ、とろろ昆布、鰹節を入れます。そこに熱湯を入れ、最後に醤油をお好みの量を加えれば出来上がりです。
とろろ昆布や鰹節のうま味を感じることができます。
保存袋に乾物の具を入れてお弁当と一緒に会社に持っていけば、会社でも美味しいすまし汁を飲むこともできます。
とろろ昆布は、すぐ水に溶けてうま味がでるので、うどんやそばなどに入れるとうま味をプラスできます。
また、ご飯のお供としても食べることができるので、家に常備しておきたい食材です。
ひじきは煮物などのイメージが強く、時間がかかる料理にしか使えないと思いがちです。
簡単に食べる方法としては、まず水に浸して戻します。戻したひじき、豆腐、胡麻ドレッシングで和えて、レタスなどを付け合わせるとひじきのサラダとして食べることができます。
海藻を使ったレシピ例
海藻たっぷりサラダ
海藻がたっぷり入ったヘルシーなサラダです。くるみとごまドレッシングでコクがアップします。
糖質や脂質の吸収を抑える働きがある食物繊維たっぷりの「海藻」と「野菜」で中性脂肪対策!
<材料(4人分)>
- サニーレタス・・・4枚
- 海藻ミックス・・・10g
- ブロッコリー・・・1/2株
- ローストくるみ・・8個
ドレッシング材料
- 白ねりごま・・・大さじ2
- 白すりごま・・・大さじ1
- マヨネーズ・・・小さじ1
- 牛乳・・・・・・大さじ2~3(ねりごまのかたさによって調節)
- しょうゆ・・・・小さじ1
- にんにくすりおろし・・1/4かけ分
- 塩・・・・・・・ひとつまみ
- 粗挽きブラックペッパー・・・ひとつまみ
<作り方>
- サニーレタスは一口大の大きさにちぎる。
- 海藻ミックスは表示の通り水でもどす
- ブロッコリーは小房に分けてから塩茹でする。
- くるみは食べやすい大きさに砕く。
- ドレッシング材料は全て混ぜ合わせる。
- 1.~4.のサラダ材料を器に盛り、食べる直前にドレッシングをかける。
切り昆布とえのきのさっと煮
えのきには肝臓の働きを高めるギャバが豊富に含まれています。
また、切り昆布にはアルギン酸というぬめりのある食物繊維が含まれ、コレステロールや中性脂肪の上昇を抑えてくれます。
しょうがの辛み成分であるジンゲロンには体を温めて代謝をアップする効果があります。
<材料(4人分)>
- 切り昆布(生)・100g
- えのきだけ・・・1/2袋(100g)
- しょうが・・・・15g
- しょうゆ・・・・大さじ1
- みりん・・・・・大さじ1
- だし汁・・・・・大さじ2
<作り方>
- 切り昆布は水でさっと洗い、食べやすい長さに切る。
- えのきだけは根元を切り落とし、長さを半分に切っておく。生姜は皮をむき、千切りにする。
- 鍋にだし汁、しょうゆ、みりん、1.と2.を入れ火にかけ、煮立ったら弱めの中火で汁気がなくなるまで煮る。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:23kcal
コレステロール:0mg
食物繊維:3.1g
脂質:0.2g
食塩:0.9g
わかめとトマトの甘酢サラダ
トマトの赤い色素のリコピンは強い抗酸化作用があり、動脈硬化の予防が期待できます。
またクエン酸もたっぷり含まれており、血糖値の上昇を抑えてくれるはたらきがありますので体内の中性脂肪の生成を抑制する働きがあると言えます。
お酢に含まれるクエン酸も一緒に摂ることで、相乗効果が期待できます。
<材料>4人分
- トマト・・・・・1個
- 塩蔵わかめ・・・30g
- しらす・・・・・20g
- ゆで大豆・・・100g
- 調味料A
酢・・・・・・・大さじ2
しょうゆ・・・・大さじ1
砂糖・・・・大さじ1/2
<作り方>
- トマトは2cmの角切りにし、塩蔵わかめは塩を洗い流したっぷりの水で戻して食べやすく切る。
- ボウルにAを合わせ、トマト、わかめ、しらす、ゆで大豆を入れ和える。5分ほど味をなじませる。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:66kcal
コレステロール:12mg
食物繊維:2.1g
脂質:2.6g
食塩:0.6g
まだまだあります!当サイトで紹介している海藻を使ったレシピ
「わかめ」を使ったレシピ
「ひじき」を使ったレシピ
まとめ
海藻類には、ビタミン、ミネラル以外にも、アルギン酸、フコイダン、フコキサンチンなど体にとって良い働きをしてくれる栄養素が入っています。
今回の記事を読んで下さった方は、これから海藻類を積極的に食べようと思ってくださった方も多いと思います。
海藻類は外食などではなかなか摂りにくい食材のひとつでもあります。ぜひ、家で食事するときは意識して少しずつ料理に使ってみてください。
まずは、乾物のカットわかめ、ひじき、とろろ昆布を買って家に常備し、料理に取り入れてみましょう。
そして、「食べるときは一口目に食べる」、「酢や納豆と一緒に食べる」というポイントも忘れずに、上手に海藻類を食べていきましょう!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。