パスタは炭水化物だから太りそうと考えている方も多いと思います。
確かに炭水化物は糖質が多く含まれるため、過剰に食べると脂肪として蓄積されやすいです。
しかし、生きるために必要なエネルギー源であるため、食べないわけにはいきません。
炭水化物には、白米、パン、麺類(パスタ、そば、うどんなど)などがあります。
その中でもパスタは、よく主食として食べている白米に比べると中性脂肪が増えにくい炭水化物です。
これから、パスタがなぜ中性脂肪が増えにくい食材なのか、またおススメの食べ方をお伝えしていきたいと思います。
GI値の低い食品はなぜ中性脂肪を下げたい人に向いているのか?
各食品の血糖値を上昇させるスピードを数値にした指数をGI(グリセミックインテックス)と言います。
GI値が高いということは、血糖値の上昇するスピードも速くなります。血糖値が上昇すると、インスリンによって血液中や筋肉、肝臓に糖が運ばれ、血糖値が下がります。
しかし、各臓器に蓄えられる量を超えてしまうと、余った糖は中性脂肪として蓄積します。
また、インスリンには、肝臓や脂肪細胞に蓄積された脂肪を分解することを抑制する働きもあります。そのため、インスリンが多く分泌することは中性脂肪を増やしてしまう原因となります。
中性脂肪が増えにくい食事のコツは、GI値が低い食材を選んで食べることです。
パスタを含む炭水化物のGI値
では、主食で食べる炭水化物のGI値を比較してみましょう。
食品名 |
GI値 |
---|---|
精白米 |
84 |
食パン |
91 |
うどん(乾) |
85 |
うどん(生) |
80 |
そば(生) |
59 |
そば(乾) |
54 |
パスタ(乾) |
65 |
全粒粉パスタ |
50 |
精白米のGI値は84、食パンのGI値は91、うどんのGI値は80~85、パスタのGI値は50~65となります。
比較してみるとわかるように、パスタは炭水化物の中ではGI値が低い食材なのです。さらに、全粒粉パスタはGI値が50とさらに低くなります。
全粒粉パスタは小麦粉の粒を丸ごとひいてできており、精白された小麦粉と違い、ふすまと胚芽の栄養素がプラスされています。
そのため、ビタミン類、ミネラルも豊富に含まれているため、エネルギー代謝も円滑にしてくれます。
麺類の中でパスタよりGI値が低いのは「そば」です。そばについてはこちらで詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
関連記事:うどんかそばか迷ったら!?中性脂肪が気になる人は低GI値のそばを!
中性脂肪を下げたい人のためのパスタの食べ方
次に、パスタの食べ方についてご紹介します。パスタは、オイル系、トマト系、クリーム系などがあります。
その中でも、中性脂肪を増やしにくい「トマトソース」「オイルソース」の2つがおススメです。
トマトソースのパスタ
トマトは、赤色のもととなる成分であるリコピンが含まれています。
このリコピンは、カロテノイドの一種で、ビタミンEの100倍もの抗酸化力があると言われています。
中性脂肪やLDLコレステロールが高い方に発症しやすい動脈硬化の予防に役立ちます。
その他にも、毛細血管を強くするムチン、余分な塩分を排泄してくれるカリウム、そして脂肪燃焼作用をもつ13-oxo-ODAが含まれています。
13-oxo-ODAについては、13-oxo-ODAを摂取したマウスは、高脂肪食に伴う中性脂肪の上昇を抑さえて、脂肪燃焼が亢進したことが実験で確認されています。
参考資料:トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認 京都大学
トマトソースの栄養分を効率よく摂る方法
では、トマトソースのこれらの成分を効率よく摂るためのポイントをお伝えしていきましょう。
リコピンを効率よくとるには、加熱調理と油を使った調理法で食べましょう。
加熱することで、細胞膜が壊れてリコピンが吸収されやすくなります。また、リコピンは脂溶性であるため、油と一緒に摂ることでリコピンの吸収率がアップします。
尚、リコピンに量についてですが、生のトマトよりトマトの水煮缶の方がリコピンが多く含まれています。
ここで、リコピンが効率よく摂れるトマトソースパスタの作り方を簡単にご紹介しましょう。
【トマトの水煮缶を使った簡単レシピ】
- フライパンに、つぶしたにんにく、赤唐辛子、オリーブオイルを入れ、弱火にかけます。
- 香りが立ってきたら、トマトの水煮缶を加えて水分を飛ばします。
- 茹で時間より1分ほど早く引き上げたパスタをフライパンに移し、ソースと絡めます。
- 最後に、塩やコショウで味を整えたら出来上がりです。
13-oxo-ODAは、トマトジュースに多く含まれることがわかっています。トマトジュースでも美味しいパスタを作ることができます。
【トマトジュースを使った簡単レシピ】
- まず、玉ねぎは薄切り、なすは棒状に食べやすい長さに切ります。
- フライパンに、オリーブオイルとたまねぎを入れて、よく炒めます。
- 玉ねぎが薄く色づいたら、なすを入れて炒めます。
- なすに火が通ったら、トマトジュースを注ぎ、5分程度煮詰めます。
- とろみがついてきたら、塩やコショウで味を整えます。
- そこに茹でたパスタとパルメザンチーズを加えて絡めたら出来上がりです。
オイルソースのパスタ
油はカロリーが高く避けた方が良いと思いがちですが、腹持ちがよくなり間食防止にもなるので「適量を摂る」のはおススメです。
油の中でも、パスタと相性が良いオリーブオイルがおススメです。
オリーブオイルは、加熱調理でも酸化されにくい特徴をもっています。さらに、善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールだけを減らす効果もある優秀な油です。
ペペロンチーノは、オリーブオイルをベースとしたパスタになります。
特に、アスパラガス、キャベツ、きのこ類など食物繊維を豊富に含んだ具材が入ったペペロンチーノを食べると良いでしょう!
食物繊維が多く入っている食材は噛み応えもあり噛む回数が多くなるため、満腹感を得やすくなります。
また、食物繊維は水分を含むと膨らむ性質もあるため、胃の中でカサが増えることでも満腹感を与えてくれます。
ペペロンチーノは作り方もシンプルで簡単です。
【ペペロンチーノの簡単レシピ】
- フライパンにオリーブオイルとにんにく、赤唐辛子を入れ、香りが立つまで弱火で加熱します。
- 別の鍋でパスタをゆで、ゆであがり1分前に野菜やきのこ類も一緒に入れてゆでます。
- ゆで終わったら、ゆで汁を大さじ1から2杯先ほどのオリーブオイルとにんにく、赤唐辛子と混ぜます。
- さらにパスタと野菜も加えて、塩コショウで味付けをしたら出来上がりです。
また、オイルサーディン(いわしをオリーブオイルなどの油に漬け込んだもの)の缶詰を使うとオ、リーブオイルだけでなくたんぱく質も手軽にプラスすることができます。
さらに、魚に含まれる必須脂肪酸(EPA、DHA)も摂ることができるのでおススメです。EPA、DHAには、血液のサラサラ効果や中性脂肪を下げる効果が期待できます。
当サイトではオイルサーディンを使った和風のパスタのレシピをご紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
関連レシピ:オイルサーディンで作る「オイルサーディンの和風パスタ」
まとめ
パスタは、血糖値の上昇が緩やかで中性脂肪をためにくい主食の1つになります。
また、食べ方を工夫することで、さらに中性脂肪をためにくい体を作る手助けをしてくれることがわかっていただけたでしょうか。
パスタは、缶詰やジュースなどを使うことでお家でも簡単に作ることができます。自分で作ると油や野菜の量なども調整することができるのでおススメです!
今度の週末にパスタランチを手作りしてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。