管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

もち麦と押し麦、中性脂肪を下げる食事にはどっちがいい?

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大麦はこれまであまり積極的に食べられてこなかった穀類でしたが、最近は健康ブームですっかり注目されるようになってきました。

でもよく考えると、米や小麦と違って「大麦のことをよく知らない」という方も少なくないのではないでしょうか?

大麦のなかでもよく食べられている「押し麦」と、人気急上昇中の「もち麦」をご紹介します。

気になっている方も多い「もち麦と押し麦の違い」も解説します。

中性脂肪対策の食事として上手に使いこなせるようになっていただきたいと思います。

 

もち麦とは

もち麦が最近人気です。名前に「もち」とつくくらいなので、もっちりとした食感を持つのが特徴の大麦です。

もち麦は大麦の加工品のなかでもこれまであまり利用されてきませんでしたが、穀類のなかでも食物繊維の含有率が高いということで最近見直されているのです。

 

押し麦とは

押し麦は大麦製品のなかではわりとメジャーな存在。大麦を蒸気で加熱してやわらかくしてから、平たくしたものです。

大麦の食べ方の一つに麦ごはんがありますが、米に大麦を混ぜて炊く場合、大麦の方がやわらかくなるまでに時間がかかってしまうので、火が通りやすく米と一緒に炊けるように押し麦にしてあるのです。

もち麦のもっちりとした食感と比較すると、押し麦はプチプチとした食感になります。

 

もち麦と押し麦の違い

もち麦と押し麦の違いは、食べてわかる通り食感の違い。
この違いはうるち米(普段炊いて食べているお米)ともち米の違いと理由は同じ。

米やとうもろこしなど穀類には「もち種」と言われる種類があります。大麦にもあるのです。

もち種の特徴はでんぷんの種類。でんぷんには「アミロペクチン」と「アミロース」という2種類があります。

アミロースはブドウ糖が直鎖的につながった構造をしたでんぷん。一方アミロペクチンは、ブドウ糖が網目状の複雑な構造でつながっているでんぷんです。

この構造の違いが食感に影響していて、「もち種」に分類されるもち麦、もち米、もちとうもろこしはでんぷんのほとんどがアミロペクチンです。
もちもちした食感はアミロペクチンによってもたらされるのです。

うるち米をはじめ他の穀類も、もちもちとしているのは当然アミロペクチンを含んでいるため。

でもアミロースも含んでいますので、でんぷんのほとんどがアミロペクチンである「もち種」の穀類とは違った食感となります。

食感の違いはダイエットでは大切です。
しっかりとした噛みごたえやお腹にたまる感覚で満腹感を引き出してくれるので、食べ過ぎの防止に役立ちます。

 

大麦に含まれる栄養素β-グルカンがすごい!

大麦が見直されている大きな理由は、食物繊維のβ-グルカンを含んでいること。

β-グルカンは食物繊維の機能として有名な整腸作用だけでなく、血中コレステロール値低下作用などについても期待を集めている成分です。

β-グルカンがコレステロールから作られる胆汁酸と結合して体外に排泄してくれることで、血中のコレステロール値が低下するのではないかと考えられています。

血糖値に対しても、β-グルカンには食後血糖値の上昇を抑制する作用がわかってきています。

粘性があるので、β-グルカンが糖や油脂と結合して吸収を遅らせることで、血糖値の上昇が抑えられます。

当然血糖コントロールが緩やかであることは食べ過ぎを防いでくれますし、中性脂肪を体に取り入れるのを抑える効果もあります。

さらに、食物繊維の持つ排泄作用によって余分なものを体外に排泄してくれますから、ダイエットに向いている成分として注目が集まっているわけです。

このほかβ-グルカンが身体の免疫力を高めて細菌やウイルスへの抵抗力をつけてくれることで、種々の生活習慣病予防に役立つものと考えられています。

大麦に含まれるβ-グルカンは大麦の種子を構成していて、大麦の成長に欠かせない役割を果たしているものです。そのパワーは私たち人間にとってもありがたいもの。

大麦のなかでも特にもち麦は、食物繊維のβ-グルカンを多く含むことから人気が高まってきたんんですね。

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大麦のおすすめの食べ方

麦ごはん

大麦を日々の食生活に取り入れる手っ取り早い方法は、やはり麦ごはん。日頃食べている主食のごはんの精白米に大麦を混ぜて炊きます。

もち麦でも押し麦でもOK。

精白米はおいしくて喉ごしも良くて食べやすいのですが、精米される過程で食物繊維やビタミンB1が取り除かれてしまいます。

食物繊維は野菜やきのこ、海藻から摂ることのできる栄養素ですが、多くの日本人は野菜1日350グラム摂取という目標に達しておらず不足しがち。

でも日頃から主食に食物繊維をプラスすれば、無理なく摂取量をアップすることができます。

ビタミンB1は胚芽押し麦のように胚芽を残したタイプを混ぜれば補強できます。

糖質の代謝に必要なビタミンB1をごはんと一緒に摂取することで、エネルギー代謝がスムーズとなります。

またお米の一部が大麦に置き換わることでお米の重量は減らせます。
エネルギー的には大差ありませんが、大麦を入れることで噛む回数は確実にアップしますので満腹感が得られ主食量を減らすことにも役立つでしょう。

 

サラダの具材として

もう一つオススメしたいのが、大麦をサラダの具材をして使うこと。

チョップドサラダがブームですが、たくさんの野菜を刻んだら戻した大麦も入れましょう。

押し麦で作ればプチプチとした食感がおいしく楽しめますが、オススメなのはもち麦。

野菜類にはないもっちりした食感がアクセントにもなりますし、ドレッシング類もよくからみますので味わいが単調にならずに食べることができます。

また食べ応えもでるので、サラダをメインとした食事でも満足することができます。

最近の考え方で、糖質を多く含む食品よりも先にサラダなど食物繊維を多く含むメニューを食べましょうという食べ方があります。

もち麦は食物繊維が豊富なため血糖値を上げにくいので、このような食べ方でも心配なく食べることができます。

 

まとめ

大麦にスポットライトを当ててみました。

「押し麦」と「もち麦」、どうしてもどちらか一方しかオススメできないのだとしたらβ-グルカンの豊富さや食べ応えといった点でもち麦をオススメします。

しかし、大麦そのものが優れた食品ですので、まずは食べやすい方からチャレンジなさってみてはいかがでしょうか?

これまであまり使われていなかったことが不思議なくらい、味わいにはクセがなく抵抗なく取り入れられると思いますよ。

ちょっとした工夫で食物繊維摂取量アップ。中性脂肪を減らすのにも役立ってくれるはずです。

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。

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