管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

中性脂肪を下げたい方に「ヘンプシードオイル」がおすすめな理由

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今回は食用油の一つである「ヘンプシードオイル」について取り上げてみたいと思います。

ヘンプシードオイルは栄養価が高く、最近はスーパーフードとして再注目されています。

中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす働きがあるEPA・DHAに体内で変換される、必須脂肪酸のα-リノレン酸も含まれています。

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聞き馴染みの少ない食用油だと思いますが、ヘンプシードオイルの栄養素の特徴、効能、そして食事への取り入れ方をご紹介します。

最近は食用油ブームが続いており、様々な食用油を見聞きする機会も多いと思います。

しかし、その注目されている食用油がなぜ体によいのか理解せずに、なんとなく良さそうだから摂っている方も多いと思います。

数ある食用油についてきちんと理解して、その上で自分に合う食用油を見つけることで、より健康な体を手に入れることができます。

食用油として取り入れる一つの選択肢として考えてみてくださいね。

 

ヘンプシードオイルの栄養素

ヘンプシードオイルは麻の種子から抽出された油になります。そのため、別名「麻の実油」とも呼ばれています。

産地はヨーロッパ、カナダ、中国などになります。

色は鮮やかなエメラルドグリーンで、ナッツのような香りが特徴です。また、とろりとした口当たりがあり、口に含むと長く余韻が残ります。

では、ヘンプシードオイルの栄養素について説明していきたいと思います。

 

リノール酸とα-リノレン酸

1つ目は、油を構成している脂肪酸の種類について取り上げてみましょう。

ヘンプシードオイルの脂肪酸の半分がリノール酸、約20%がα-リノレン酸で構成されています。

この2つは必須脂肪酸であり体内で合成することができないため、食事から摂る必要がある脂肪酸になります。

また、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を4:1の割合で摂ることをWHO(世界保健機構)や厚生労働省は推奨しています。

ヘンプシードオイルは、オメガ6系脂肪酸(リノール酸、γ-リノレン酸)とオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)の割合が3:1となっており推奨割合に近いのが特徴です。

また、ヘンプシードオイルは植物油で含まれることが少ないγ-リノレン酸を含んでいます。

γ-リノレン酸は、体の働きを調整するプロスタグランジン系の生体調整ホルモンによって、血糖値を低下させたり、血圧の安定をもたらし、さらには血液中の悪玉コレステロールを減らしてくれる働きを持ちます。

そのため、血栓(血の塊のようなもの)を解消して血液の流れを良くしてくる作用も持ち、生活習慣病の予防をしてくれます。

その他にも、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくにも有効で、海外では治療薬としても使われています。

最近の研究で、月経前症候群の症状のある女性はγ-リノレン酸の血中濃度が低いこともわかり、ホルモンバランスの調整の効果も期待できます。

 

ポリフェノールの一種カンナビシンA

2つ目に、ポリフェノールの一種であるカンナビシンAが含まれます。

ポリフェノールは活性酸素を除去する水酸基をたくさん持っているため、強い抗酸化作用があります。

活性酸素は外部から入ってきた異物を殺菌してくれる役割を持ちますが、一方で必要以上にあると細胞を壊したり、コレステロールを酸化させることで動脈硬化を引き起こす原因になります。

活性酸素を除去してくれる抗酸化作用をもつポリフェノールは、私たちの健康を保つために必要な栄養素になります。

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ビタミンE

3つめは、脂溶性ビタミンであるビタミンEを含みます。これも、先ほどのカンナビシンAと同様に抗酸化作用を持っています。

 

 

ヘンプシードオイルを購入する時の注意点

ヘンプシードオイルを購入するときの注意点を取り上げてみます。

ヘンプシードオイルには、精製しているものとしていないものがあります。精製していないものは鮮やかな黄色をしており、精製タイプは透明です。

精製すると重要な栄養素が抜けるので、なるべく未精製のものを選ぶようにしましょう。

また、α-リノレン酸、γ-リノレン酸は酸化しやすいため、遮光瓶に入っているもの(遮光瓶でない場合は、アルミホイルで包んで保管)を選び、冷暗所に保管するようにしましょう。

開封後は冷蔵庫に保管して、早めに使いきることをおススメします。

酸化を防ぐためにも、少量のものをこまめに買うようにするとよいでしょう。

 

ヘンプシードオイルの上手な摂り方

次に、ヘンプシードオイルの上手な摂り方について紹介してきます。

サプリメント感覚でそのまま飲む方もいますが、食材と合わせて摂るとより吸収率が良くなります。

α-リノレン酸やγ-リノール酸は熱によって酸化しやすいため、生で摂るかもしくは出来上がった料理の仕上げとしてかけて食べるようにしましょう。

ヘンプシードオイルと相性が良い食材としては、牛肉や豚肉があげられます。

牛肉は、脂質代謝を促すL-カルニチンが含まれているため、リノール酸の過多の影響を抑えてくれます。

また、豚肉は糖質代謝を促し、疲労回復効果を持つビタミンB群が含まれています。少しクセのあるヘンプシードオイルの味が気にならない食材にもなります。

ヘンプシードオイルを牛肉や豚肉と一緒に摂るときは、牛肉と豚肉の部位は脂質が少ないもも肉、ヒレ肉を選ぶようにしましょう。

バラ肉は脂質が多く、脂質の摂りすぎになるのでなるべく避けるようにしましょう。

また、汁ものにかけるときは、ミネストローネ、クラムチャウダーなど比較的濃い味のものに入れると美味しくいただけます。

最後に、食べるタイミングについてです。ヘンプシードオイルがもつ抗酸化作用を効率よく利用するためには、朝に摂るのがおススメです。

この理由としては、日中紫外線を浴びたり活動することで呼吸する回数も多く、体内の活性酸素が増え細胞が酸化されやすくなります。

朝に抗酸化作用を持つヘンプシードオイルを摂ることで、細胞の酸化を予防することが期待できます。

朝時間がない方には、サラダやスープにかけるだけでOKです。

 

まとめ

ヘンプシードオイルの特徴、栄養素そしておススメの食べ方について紹介してきました。

他の食用油として違う点は、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の割合が推奨量に近くバランスが良い点や、植物油には他の食品にはあまり含まれないγ-リノール酸が含まれていることでしたね。

摂り方としては、「生」で食べるまたは「出来上がった料理にかける」ことで脂質の酸化を予防して効率よく食べることができます。

また、「朝」食べることで、日中の体の酸化を防止することができます。

ヘンプシードオイルに限らず、油は摂れば良いというものではありません。食品に含まれていたり調理で使われている油など「見えない油」を知らずに摂っています。

脂質の摂りすぎに気をつけるためにも、多くても小さじ1杯程度にして上手に食事に取り入れてみましょう。

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。

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