「日本人はマグロ好き」とは、よく言われることですよね。肉食が増えて魚介類の消費量が減ったと言われている中にあっても、マグロ人気は衰えることを知りません。
健康のためには他の魚介類もぜひ食べていただきたいと思いますが、毎日の食事も健康のことばかりでなく、やはり好きなものを召し上がりたいですよね。
もし好きなマグロを食べることで中性脂肪の数値はもちろん、健康のためにもなるのなら一石二鳥ですね。
でも、マグロは部位によって含まれる栄養素や量が違いますので、中性脂肪を下げたい!EPAとDHAを摂りたい!という目的で食べる際には部位選びに注意が必要です!
今回は上手なマグロの取り入れ方を考えてみたいと思います。
マグロ(鮪)の種類
マグロといっても、日本で食べられている種類は6種類あるとされています。
メバチマグロ・キハダマグロ・ビンナガマグロ・クロマグロ・ミナミマグロ・コシナガマグロの6種類です。
お値段を考えて日常的に食べやすいのはメバチマグロです。
また、キハダマグロやビンナガマグロはツナの缶詰などで口にしていると思われる種類です。
一方クロマグロは「マグロの王様」なんて言われることもあるくらいの高級品。「大間のマグロ」なんてブランド魚もあって、一本釣りされたクロマグロがビックリするような高値で取引されたなんてニュースもたまに目にしますよね。
このようにマグロには種類が意外と豊富。それから部位によっても扱われ方が大きく変わる魚でもあります。
必ずしも高級品ばかりではなく、手軽に入手できる種類や部位もありますから、日頃の食事に加えていくのも決して困難ではありません。
マグロ(鮪)に含まれている栄養素・成分
トロ(脂)の部分にDHAとEPAが豊富
マグロが人気なのも、モノによっては肉にも劣らない食べごたえや口どけが味わえるからではないでしょうか。
人気なのは脂ののったトロ。お腹側の脂質の多い部分で、脂質が多いものから大トロ・中トロと分けられます。
この脂にはもちろん、魚油に多く含まれるDHAやEPAが豊富に含まれています。
中性脂肪を下げる働きのあるEPAの量に注目すると、青魚のサバやサンマよりよりも多く含まれているんです。(可食部100gに含まれる量で比較)
ただ、マグロといってもどの部位にもDHAとEPAが多いという訳ではなく、赤身にはあまり含まれていません。
こちらの記事でも、中性脂肪を下げる食品としてマグロのトロの部位をご紹介しています。
関連記事:中性脂肪を下げる食品
中性脂肪対策ではEPA・DHAを摂るのはとても重要なことです。EPAとDHAを効率良く摂る方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
赤身は良質なたんぱく質
一方中骨に近い部分で脂身が少ない赤身部分もよく食べられている部位です。
こちらは脂質が少ないためエネルギーが抑えられ、良質なたんぱく質の摂取源として優秀な部位になります。
トロ部分も含めてマグロも魚介類の一種ですから、そもそもはたんぱく質の摂取源として期待される食材ですが、脂が多いとどうしてもエネルギーも高くなります。
いくらEPAやDHAが豊富だからと言って、食べ過ぎは肥満の原因にもなりかねません。赤身部分も上手に活用したいところですね。
ミオグロビン
赤身でさらに期待できるのは、鉄分の摂取。赤身の色素はミオグロビンという色素たんぱく質です。
ミオグロビンは鉄とたんぱく質の両方を持っていますし、吸収率があまりよくない鉄の中でも吸収率の良い形で含まれているため、貧血予防などの目的で鉄を摂取するのに適しています。
さらに造血作用を持つビタミンB12も合わせて摂取することができます。
タウリン
また、タウリンも含んでいます。タウリンはアミノ酸の一種で、血合い部分などに多く、魚介類から摂取しやすい成分です。
タウリンには中性脂肪やコレステロールを低下させる作用があります。
また、タウリンには肝臓では胆汁酸の分泌を促進したり、細胞膜を安定化させたりする作用があるとされています。
胆汁は体内で脂質の消化を行う際に役立つ消化液で、肝臓で作られ胆のうから分泌されます。胆汁の原料となるのが胆汁酸です。
この胆汁酸にはコレステロールを排泄する作用があります。そのためタウリンが肝臓での胆汁酸分泌を促進してくれると、体内のコレステロール量を減らしてくれることが期待できるのです。
さらに、タウリンには交感神経を抑制する作用があると考えられています。
自律神経のうち、日中の活動を活発に行うために優位に働いている交感神経は、活発すぎればいわゆる「興奮状態」になるわけで、血圧なども高くなりがちです。
これを沈めてくれる作用があるため、血圧が正常に保たれ、高血圧が原因となる脳卒中や心臓病などの血管障害の予防につながると考えられます。
マグロ(鮪)の選び方と注意点
マグロは柵になったものを買い求めることが多いのではないかと思います。
魚は目のにごりやえらのハリなどで鮮度を見分けることも多いので、切り身の状態で鮮度を判定するのは難しいところもありますが、切り口の角がしっかりしているかというところでも鮮度の見極めをすることができます。
肉質はキメの細かさを確認して、色があせていないようなものを選ぶようにしましょう。
冷凍モノも多いので、気をつけたいのがドリップ。赤い汁がトレイに多く出ているようなものは鮮度が落ちているので避けた方が良いでしょう。
冷凍モノは良品なのかどうか迷うこともあると思います。魚介類は比較的冷凍劣化の少ない食品群であるとされています。
さらにマグロについては釣り上げたときから非常に策がとられていて、船上で急速凍結にかけられているものもあります。冷凍モノについてはこれらの処理が上手にされたかどうかで品質が左右されると言われています。
ご家庭でも長い期間冷凍していては当然品質も落ちますから、冷凍とは言えあまり期間を置かずに食べるようにしましょう。
また一度解凍したものを再凍結すると解凍によって鮮度や味が落ちますので不適当です。解凍したものを購入してご家庭で再度冷凍庫に入れるのはやめましょう。
マグロのEPA・DHAを上手に取り入れるコツ
EPA・DHAは酸化に注意しましょう!
マグロはぶつ切りにしたものや切り落とし、ネギトロに加工したものも多く出回っていますが、EPAやDHAは酸化に弱いので、空気にはできるだけ触れないようにしたいものです。
ご自宅での調理もできれば柵で購入して食べる直前に加工した方が良いでしょう。
抗酸化作用のある栄養素と組み合わせよう
また酸化に弱い脂(EPA・DHAのことです)を守るために、抗酸化作用のある栄養素を合わせて摂取するのも良い方法です。
抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンA・ビタミンE・ビタミンCなどがあります。
緑黄色野菜には体内でビタミンAとして働くβ-カロテンが多く、色の淡い野菜からもビタミンCの摂取が期待できます。
たっぷりの野菜と柵から薄切りにしたマグロをカルパッチョのようにして食べるのはどうでしょうか。
β-カロテンやビタミンEは脂溶性ビタミンですから、マグロの脂と一緒に摂ると吸収率も高まります。
味わいのみならず栄養バランスとしても、また栄養効率の面からも整った食べ方になります。
生以外で食べる時の注意点
すぐに食べられない場合に漬けにするのも、マグロではよくされる食べられ方です。
塩分摂取の面からはあまり塩辛くならないように気をつけたいところではありますが、焼く・揚げるといった加熱調理にしてしまうと、脂の豊富なマグロにさらに油が加算されてしまいます。
生のまま楽しむことができる意味では、漬けも良い食べ方でしょう。
まとめ
マグロは人気だけあって楽しみ方のバリエーションが豊富な魚です。
EPAやDHAの摂取としても取り入れやすいのでうれしいところではあります。
部位や調理法をきちんと見極めて、エネルギーコントロールを意識しながら上手に取り入れていきましょう。
マグロ(鮪)以外にもEPAとDHAを多く含むお魚はたくさんあります。いろいろなお魚を食べることで飽きずにEPAとDHAを摂ることができます。
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この記事を書いた管理栄養士さん
名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。