身体に良いとされる「青背魚」。これは動物学的な分類ではなくて、表皮の背中あたりが青光りしている魚をグループにした呼び名です。
サバ(鯖)はその代表格とも言える存在で、日頃から召し上がる機会も多いのではないでしょうか。
サバには中性脂肪を下げるEPA・DHAが豊富に含まれている魚ですから、中性脂肪対策として積極的に摂りたい食材の一つです。
脂がのっている点がおいしく好きな人にはたまらない魅力ながら、青背魚が苦手な方にはそのあたりが気になる様子。
サバは加工品も多いので、好きな人&苦手な人両者のリクエストに応えやすい食材です。
今回はそんなサバ(鯖)について詳しく見ていきましょう。
サバ(鯖)の種類
「サバ」というのはサバ科の海水魚の総称で、一般にサバという時はマサバを指すことが多いのですが、そのほかにもゴマサバ、タイセイヨウサバという種類があります。
マサバは秋から冬に旬を迎え、この頃に脂質含有量が高くなる種類です。
ゴマサバはお腹に小さい黒い斑点があるのが特徴で、その特徴がゴマのようであることからゴマサバと呼ばれています。
年間を通して味がほぼ一定に保たれることから、ゴマサバも多く流通しています。
タイセイヨウサバはサバとして売られているもののうち、外国産のものの大半を占めていて、背中にくっきりとした紋があるのが特徴です。
マサバはものによっては高値が付くこともあるので、安いものや加工品にはタイセイヨウサバが利用されることが多くあります。
サバ(鯖)に含まれている栄養素・成分 どの栄養素が中性脂肪にいいの?
魚ですから良質なたんぱく質が摂取できることはもちろん、うま味成分のイノシン酸も多く含まれます。
サバはサバ節にされるくらいですから、味が良いのはよく知られていること。
さらに魚油の摂取に適しているとされる青背魚の中でも、サバは特に脂質を多く含んでいることが特徴です。
魚からの摂取を期待したいEPAやDHAがたくさん摂れるということですから見逃せませんね。
DHA・EPAは、血中中性脂肪や血中LDL-コレステロールの低下や、血栓予防といった働きが期待でき、動脈硬化のリスクを低減してくれます。
中性脂肪対策ではEPA・DHAを摂るのはとても重要なことです。EPAとDHAを効率良く摂る方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
血合い部分には鉄分や、エネルギー産生栄養素の代謝に欠かせないビタミンB群も含まれていますから、貧血の防止やエネルギー代謝にも活用できます。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含んでいますので、骨の健康にも寄与します。
サバ(鯖)の選び方と注意点
「さばを読む」という言葉の語源にもなったと言われるサバ。足が早いので鮮度劣化しないうちに急いで数を数える際に数をごまかしたことから、「さばを読む」という言葉が生まれたとされています。
その話の通り、サバは鮮度劣化が早い魚です。選ぶ際には皮が青光りして鮮やかであるかを確認しましょう。身には弾力と透明感を求めます。
サバで気をつけたいのが、アレルギー症状。豊富に含まれるアミノ酸が酵素によってヒスタミンに変化すると、これがアレルギーのような症状を引き起こすのです。
鮮度に注意したいのは、摂取を期待するEPAやDHAにも関係しています。EPAとDHAはいずれもn-3系多価不飽和脂肪酸に属しますので、「酸化されやすい」という特徴を持っています。
空気に触れている時間が長ければそれだけ酸化が進んでしまいます。酸化してしまった油は下痢を起こしたり、腸管を傷つけたりします。さらには動脈硬化のリスクを高めてしまう心配も。
本来EPAやDHAに期待していた働きと真逆のことになってしまいますので、サバは選ぶ際にも保存の際にも鮮度を意識することをお忘れなく。
サバのEPA・DHAを上手に取り入れるコツ
サバはいろいろな食べ方ができる魚です。刺身や塩焼きなどのようにシンプルに味わっても、脂質の多さからおいしく味わえます。
刺身で食べるには少し脂っこさが気になるという方は、かんきつ類などとあわせると食べやすくなるでしょう。
味噌煮なども定番の調理法ですよね。和食ばかりでなくソテーやリエットのようにも利用できます。
このように、案外サバを日々の食生活に取り入れるのは難しくないのではないでしょうか。
鮮度が良いものを刺身で食べることができるなら、調理に油がプラスされないので良いですね。すでにサバには脂質はたっぷり含有されていますから、あまり調理の油は追加したくありません。
また、EPA・DHAは、通常の調理の過程で脂肪と共に流れ出してしまい、煮たり焼いたりすると80%、揚げ物にすると50%に減ってしまう点だけは知っておいて下さい。
ただ、調理によってEPA・DHAが減ると言っても、食べない(摂らない)よりは良いので、可能な範囲で注意するといった感じで良いと思います。
サバ缶がおすすめ!
さらにオススメしたいのが、サバ缶。サバの味噌煮のように調理済みのものもありますが、利用の幅が広いのがサバの水煮缶です。
比較的安価なうえ、コンビニエンスストアなどでも取り扱われていることが多く、入手も容易な点もうれしいですね。
水煮されて缶に入っていれば酸化の心配は薄く、あらかじめ火が通されていることで別の料理へのアレンジも短時間で簡単に行えます。
アレンジに困るようであれば、いつもツナ缶でしていたようなことをそのままサバの水煮缶に置き換えてみるだけでも良いでしょう。
サバからの摂取を期待している、EPAやDHAが水煮の汁に流出している場合でも缶詰であれば汁ごと利用することで損失を抑えることができます。
サバ缶に関する関連記事はこちら
EPAたっぷりの「サバ缶」は中性脂肪を下げたい人の味方!
簡単に作れるサバ缶のレシピはこちらでご紹介しています。
さばの缶詰レシピ
サバ(鯖)を使ったレシピ
サバ(鯖)のみぞれ煮
EPA・DHAが豊富なサバ(鯖)を使った料理。
サバ(鯖)を軽く揚げてからたっぷりの大根おろしで煮るので、コクがあるのにさっぱりした味わいです。
<材料(4人分)>
- サバ(鯖)・・・・・4切れ
- 大根・・・・・正味100g
- 三つ葉・・・・1/3束
- 片栗粉・・・・適量
- 揚げ油・・・・適量
- だし汁・・・・2カップ
- しょうゆ・・・大さじ3
- みりん・・・・大さじ1
- レモン汁・・・レモン1/2個分
<作り方>
- 大根はおろして軽く水気を切っておく。
- 三つ葉は3㎝幅に切る。
- 鯖に片栗粉をまぶし、フライパンに1㎝くらいの油を熱して表面がカリッとするまで揚げ焼きする。(火が完全に通らなくてもよい)
- 鍋にだし汁・しょうゆ・みりんを入れ煮立たせ、揚げた鯖を加え5分程弱火で煮る。
- おろした大根とレモン汁を加え、一煮立ちしたら火を止める。
- 器に鯖を盛り、たっぷりと煮汁をかけ、三つ葉を添える。
さばのガーリックソテー
さばなどの青魚に多く含まれるEPAやDHA。さばのEPAは青魚の中でもトップクラスです。
焼き魚として魚焼きグリルで焼いてしまうと、脂と共に流れ出てしまいますので薄力粉でコーティングし、効率よく食べれるようなレシピにしました。
酸化しやすい栄養素ですので、出来たてをいただくのをおすすめします。
<材料(4人分)>
- さば切り身・・・・1尾分
- 塩・・・・・・・・少々
- 黒こしょう・・・・少々
- おろしにんにく・・小さじ1
- 薄力粉・・・・・・大さじ2
- オリーブオイル・・大さじ1
<作り方>
- さばは食べやすい大きさに切り、水気がある場合はふいておく。塩、こしょう、おろしにんにくを全体にからめ、薄力粉をまぶす。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、1.を中火で両面焼く。
<栄養素(一人分あたり)>
エネルギー:222kcal
コレステロール:46mg
食物繊維:0.2g
脂質:15.6g
食塩:0.4g
サバ(鯖)の臭みが気になる方は
青背魚が苦手な方にとっては、特にサバの匂いは気になるかもしれません。
サバの臭みを消すコツは、お酒などを利用する方法があります。そのほかにも、唐辛子やしょうが、にんにくなど香辛料を使うのも手です。
また牛乳には臭みを消してくれる作用がありますので、下準備に使用してみても良いでしょう。
サバにはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれていますので、実はカルシウム豊富な牛乳・乳製品との相性は、味わいのみならず栄養面でも好相性なのです。
EPAやDHAの効率的な摂取でオススメしたサバ缶は匂いが気になる方にも比較的オススメです。生魚よりはクセもマイルドになっています。
まとめ
魚定食の定番メニューといったら、サバの塩焼きは外せないのではないでしょうか。
いろいろな調理法があるとはいえ、サバのおいしい食べ方と言ったら、個人的にはやはり塩焼きが群を抜いているように思います。
最近ではコンビニエンスストアで、レンジアップするだけで食べられるサバの塩焼きやサバの味噌煮も売られるようになってきました。
サバ缶だけでなくこれらの加工品も含め、日頃の食生活に青背魚を取り入れたいと思っている方には手軽に始められる良い商品が揃ってきているように思います。
身体に良いとは思っても、生魚を買ってきて調理するのはハードルが高いとお思いの方は、加工品からチャレンジなさってはいかがでしょうか。
サバ(鯖)以外にもEPAとDHAを多く含むお魚はたくさんあります。いろいろなお魚を食べることで飽きずにEPAとDHAを摂ることができます。
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この記事を書いた管理栄養士さん
名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。