アジ(鯵)は比較的召し上がる機会の多い魚ではないでしょうか。
食べやすい味に加え、一尾の大きさも程よく、アジフライなどのように外食でもメニューにのぼる場合も多い魚です。
ですから、意識して青背の魚(青魚)を取り入れようと思ったら、チャレンジしやすい魚だと思います。
しかも、「アジ」という名前の由来は一説には味が良いからだとする説もあるとのことですので、食べやすいことはお墨付きですね。
アジには中性脂肪対策には欠かせないDHA・EPAも含まれています。
今回はアジの栄養素や上手な食べ方をご紹介しましょう。
アジ(鯵)の種類
アジには「黄鯵型」と「黒鯵型」があります。
「黄鯵型」は浅瀬にいて移動が少ない種類で、「黒鯵型」が深い場所で回遊している種類。
魚も人間と一緒で運動力が多いと筋肉が育ち、運動量が少ないと脂肪が多いということで、一般的に脂がのっていておいしいとされるのは「黄鯵型」です。
アジ(鯵)に含まれている栄養素・成分 どの栄養素が中性脂肪にいいの?
魚介類ですからたんぱく質の供給源となるのは当たり前だとして、「味が良いからアジと名付けられた」と言われるのも、たんぱく質のうちうま味成分のアミノ酸であるグルタミン酸も多いからであるとも言えます。
EPAとDHA
青背の魚に期待する、血中脂質バランスを整えてくれる働きのあるEPAやDHAが摂取できる点はアジにも期待できるのですが、ほかの青背魚に比べると低脂肪で低エネルギーである点もうれしいところです。
EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は中性脂肪を下げる働きを持っています。
EPAとDHAは中性脂肪の合成を抑える働きや、悪玉であるLDL-コレステロールを減らし善玉であるHDL-コレステロールを増やしてくれることで血中脂質のバランスを整えてくれます。
血小板の凝集を抑制してくれるので、脂質異常症で心配な血栓ができにくくなる点でも取っておきたい脂肪酸です。
血栓予防の観点でいけば、さらに摂取したいのがEPA。DHA同様血小板の凝集を抑制する働きに加えて、血栓を溶解させる働きや血管を拡張する効果も期待できます。
EPA、DHAはいずれもn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属します。
摂取しすぎれば当然血が固まりにくくなることが懸念されるものですが、現在の日本人の食生活ではやや不足が指摘される脂肪酸です。
このような理由から、当サイトではEPAの量に注目して、EPAの含有量が多いサプリメントをご紹介しています。
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タウリン
アミノ酸では、タウリンがサバやサンマより多く含まれています。
タウリンには中性脂肪やコレステロールを減らす働きがあります。
他にも、タウリンには様々な働きがあります。血圧を正常に保つ働きをするほか、肝臓で胆汁酸の分泌を促進したり、肝細胞の再生を促進したりする効果があります。
そのため、肝臓の機能を高め、コレステロールが原因となる症状を防いでくれる働きが期待できます。
胆汁酸にはコレステロールを排泄する働きがありますから、胆汁酸の分泌が促進されると体内のコレステロールを減らしてくれます。
アジ(鯵)の選び方と注意点
新鮮なアジを選ぶポイント
アジを一尾、まるのままで買い求める際には、目が澄んでいてきれいか、エラやヒレがピンと張っているか、身にハリがあるか、あまり大きすぎないかといった点を参考にして選ぶようにしてみてください。
アジには特有の「ぜいご」という部分があります。尾に向かってあるかたい部分ですが、新鮮なものではこの「ぜいご」がくっきりしています。
豆アジという5~8センチくらいの大きさのものもあります。まるごと食べることができますので衛生的ですし、栄養的にも損失が少なく摂取することができます。
n-3系脂肪酸(EPAとDHA)の酸化に注意
新鮮なアジは刺身でも楽しむことができます。
ただしn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)は酸化されやすいという特徴がありますから、刺身にしたらあまり空気に触れないように気をつけて、なおかつ鮮度を意識して早めに食べるようにしましょう。
アジは干物でもよく食べられる魚ですが、干物もやはり脂質の酸化が心配。酸化した脂質は油焼けといって風味が落ちます。
包装の具合もチェックして、あまり空気にさらした状態で放置されていないものを求めるようにしましょう。
全体が黒っぽくなっていたり、身から骨が浮いてしまっていたりするようなものは、鮮度に不安があるので避けるようにしましょう。
アジ(鯵)のEPA・DHAを上手に取り入れるコツ
アジに含まれるEPA・DHAを最も効率よく摂るとしたら、ベストな方法はお刺身として生で食べることです。
なぜなら、EPA・DHAは、通常の調理の過程で脂肪と共に流れ出してしまい、煮たり焼いたりすると80%、揚げ物にすると50%に減ってしまうからです。
でも、食事は楽しむものでもあります。いくらEPAやDHAを摂る上で一番良い方法とはいえ、毎回毎回お刺身で食べる気がなくなってしまうのは良くありません。
アジフライなども、もちろんおいしいのでオススメではありますが、やはり揚げ物はエネルギーがかさみがちなので、いつもフライでというわけにはいきませんよね。
アジは青背魚のなかでは低エネルギー、低脂肪である点が利点とも言えますので、さっぱりと食べることのできるレパートリーを増やしたいところ。
同じ揚げ物でも素揚げにして南蛮漬けにすれば衣がない分吸油量が抑えられますし、酢がきいてさっぱりと食べることができます。
また一緒に野菜をたっぷり漬け込めばアジのうま味と合わさって野菜の摂取量も増えるので良いでしょう。
刺身やたたき、「なめろう」のような食べ方もできますし、酢でしめるのもオススメです。
酢でしめるといくらか保存性も高まります。昆布などと一緒にしめればうま味成分がプラスされて相乗効果でますますおいしく食べることができます。
夏の暑い時期には宮崎の郷土料理「冷や汁」もオススメ。干物でも焼き魚でも作ることができます。
アジ(鯵)の開き方
アジは基本的な魚の三枚おろしができればOKです。ほかの魚と違う点は「ぜいご」を取り除くことくらいです。
ぜいごとうろこをとったら、えらぶたから指を入れてえらをつまんで取り出します。ひっぱるとえらと一緒に内臓も取れるので、比較的処理のしやすい魚です。
お腹の部分に切り込みを入れて、取り切れていない内臓も出し、血合いもかきだして洗います。
頭を落として、骨に沿って包丁を入れればおろすことができます。内臓や血合いをかきだしたときにしっかり洗えば臭みが残りにくいので、この状態で焼き魚にしても良いですね。
三枚おろしはちょっと自信がなければ、焼き魚にして身をほぐして冷や汁にするのも良いでしょう。
お魚を開くなんてできないって方は?
お魚をさばく自信がなくて手が出ない方は、お店の人にお願いしましょう。
それだけの理由でせっかくの栄養成分を摂取できないのは、とてももったいないことです。
まとめ
アジというお魚は「あ」から始まるからなのか、身近な存在だからなのか、お魚の本を開けば一番初めのページに出てくることの多い魚です。
写真を見てみるといわゆる私たちのよく知っているお魚の姿ですから、本当に身近な存在なのだと思います。
お魚をあまり食べる習慣のない方にとっても、比較的食べなれている味ですし生臭さも少ないので食べやすいのではないでしょうか。
中性脂肪対策に青背魚を食べようと思っても、なかなか苦手と思われる方は、ぜひアジからチャレンジしてみていただくと良いと思います。
中性脂肪対策ではEPA・DHAを摂るのはとても重要なことです。EPAとDHAを効率良く摂る方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
EPA・DHAを含む食品と上手に摂る3つのコツ
アジ(鯵)以外にもEPAとDHAを多く含むお魚はたくさんあります。いろいろなお魚を食べることで飽きずにEPAとDHAを摂ることができます。
DHA・EPAが豊富ないわし(鰯)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なサバ(鯖)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なサンマ(秋刀魚)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なマグロ(鮪)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なサケ(鮭)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なブリ(鰤)の上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なカツオの上手な食べ方と栄養素・成分
DHA・EPAが豊富なほっけの上手な食べ方と栄養素・成分
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。