管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

中性脂肪を下げる超善玉物質「アディポネクチン」を増やす方法

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私たちの身体ぶちって、様々な要因が生活習慣病になってしまうリスクになっています。

特別ひどいことをした覚えがなくても、健康診断で肥満や脂質異常症、糖尿病といった疾患の指摘を受けることは珍しくないわけですが、ふと疑問に思うのは「身体ってそんなに弱いものなのだろうか」ということです。

私たちの身体には防御反応も備わっているはずです。それがちょっとした日常の積み重ねで疾患を発症してしまうなんて、もうちょっとうまくできていても良さそうなものです。

もしかして私たちは自分たちの身体に備わっている機能を上手に使えていないのではないでしょうか?

私たちの身体の働きを調整している物質は「ホルモン」です。

その中でも「やせホルモン」とも言われて話題になっている超善玉物質の「アディポネクチン」というホルモンがあります。

この「アディポネクチン」には、なんと脂肪を燃焼させる働きがあります。このホルモンがちゃんと機能していたら中性脂肪対策になりそうですよね。

今回は「アディポネクチン」という物質に注目してみたいと思います。

 

アディポネクチンとは

アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一つです。

私たちの身体は脂肪細胞から「アディポカイン」という物質を分泌します。これには悪玉と善玉があって、アディポネクチンは善玉のアディポカインの一種です。

アディポネクチンには脂肪を燃焼させる働きがあるので、中性脂肪を減らすことができます。

また、血糖値をコントロールする働きを持つ「インスリン」というホルモンの体内における抵抗性を改善することで、動脈硬化や糖尿病を抑制する作用があるとして、「アディポネクチン」に注目が集まっています。

参考:2.アディポネクチンと糖尿病・心血管病の 分子メカニズム - 日本医学会

アディポネクチンとの上手な付き合い方でヒントになりそうなのが、「脂肪の蓄積が増加すると、アディポネクチンの分泌は減少する」ということ。

分泌のメカニズムについては、全貌が明らかになっているわけではありませんが、内臓脂肪が増えると血中アディポネクチン分泌量は減少するということがわかっています。

アディポネクチンが脂肪細胞から分泌されるからといって、脂肪を蓄えろという意味ではないことがおわかりいただけたでしょうか。

 

中性脂肪を減らすアディポネクチンを増やすには

どうやら良さそうだとわかってきた「アディポネクチン」ですが、ほかのホルモン同様、ホルモンの分泌は身体が自然に行うことであって、自分の意思で出したり止めたりすることができるものではありません。

ですから、アディポネクチンの分泌を増やすためには、体内環境を整えて分泌を促す方法を探っていく必要があります。

体内環境の整え方としては、日々の運動と食生活の改善があります。
適度な運動はアディポネクチンの分泌を増やすことがわかっていて、1日に30分以上の運動を目安にすると良いようです。

運動は単に体重を減らすということだけに注目するとなかなか効果を実感できずに挫折しがちですが、アディポネクチン以外にも血中脂質バランスを整えるなどの効果は得やすいので、ぜひモチベーションにしていただきたいと思います。

ウォーキングやジョギングなど、できることを取り入れたら良いのです。

食生活面では、アディポネクチンとの関係で食べると良いと言われている食材がありますので、ご紹介したいと思います。

 

アディポネクチンを増やす食材

大豆&大豆食品

まずは大豆や大豆食品です。

大豆に含まれている「β-コングリシニン」という成分がアディポネクチンの増加に役立つのではないかと言われています。これは大豆に含まれるたんぱく質の一種です。

大豆や大豆製品はもともと、中性脂肪が気になる方にも意識して摂っていただきたい食材です。

良質なたんぱく質を含みながら飽和脂肪酸の含有量がかさまない点で優秀ですし、レシチン・サポニン・イソフラボンなど機能性成分も含んでいます。

サポニンには脂肪の蓄積を抑えたり、血中のLDL-コレステロール値を下げたりする効果が知られていますし、レシチンも体脂肪を抑えてくれる働きが期待されています。

年齢が上がってきて女性ホルモンの分泌が減少し、血中脂質バランスが崩れてきやすくなる女性には、イソフラボンの女性ホルモンに似た働きもありがたい効果。

加えて今回「β-コングリシニン」にも注目、というわけです。

大豆、大豆製品は豆腐、納豆、豆乳などバリエーションも豊富で取り入れやすいものばかり。意識次第で簡単に食生活にプラスできます。

 

柑橘類

柑橘類に含まれている「ノビレチン」という成分も、アディポネクチンを増加させてくれると期待されています。

シークワーサーなどに多いと言われているフラボノイドで、脂肪細胞の分化や脂肪細胞中の脂肪分解を促す働きがあります。

アディポネクチンの分泌を促すことで、血糖値上昇を抑えるインスリン感受性を高め、インスリンの分泌が抑えられることで糖尿病の予防効果も期待できると考えられています。

 

アディポネクチンを増やす栄養素

アディポネクチンとの関係でわかっているのが、食物繊維の摂取はアディポネクチンの分泌にも効果がありそうとのこと。

日頃から積極的に摂りたい野菜類は緑黄色野菜も淡色野菜もしっかり摂りましょう。摂取目標はあわせて1日350グラムです。

食物繊維は身体の余分なものを排泄する効果や、肥満予防、血糖値の上昇抑制、余分なコレステロールの吸着と、生活習慣病予防とは切っても切り離せない存在。

アディポネクチン分泌にも効果を発揮してくれるとなればなおさらですね。

関連記事:中性脂肪が高い人は食物繊維をたっぷり摂りましょう!

 

まとめ

ちょっと聞きなれない「アディポネクチン」という成分を中心に、中性脂肪との関係を見てきました。

運動習慣をつけることや食生活の改善と細かく見ていくと、やはりこれまで知られていた中性脂肪対策の方法に誤りがなかったことがより強く実証されたと言って良いでしょう。

大豆や大豆製品に含まれている「β―コングリシニン」との関連や、シークワーサーなどの柑橘類に含まれている「ノビレチン」の働きはまだ動物実験レベルでの情報です。

私たち人間の身体でも同じと考えて良いの?どのくらいの量を摂ったらいいの?と考えるには、まだ情報不足の段階かもしれません。

でもこれら特有の成分に固執せずとも、大豆や大豆製品を摂取することの利点や食物繊維の大切さはすでに私たちの知っていることですよね。

関連記事:豆腐や納豆は中性脂肪対策の強い味方です

今までの努力が報われたわけですし、今後の研究の発展を期待しつつ、私たちの身体がせっかく持っている防御反応もしっかり活用できるように、日頃からの運動習慣、食生活の改善を意識していきましょう。

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。

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