最近、ココナッツオイルは健康に良いと雑誌やTVで取り上げられていますね。
そのため、一度は「ココナッツオイル」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。
ココナッツオイルはすぐにエネルギーに変わって消費されるため、中性脂肪が生成されにくいオイルです。
その他にも、健康管理に気を使っている方が一度は試してみようと思わせてくれる効能をたくさん持っています。
ココナッツオイルがなぜ身体によい効能を持つのか、特徴や栄養素について紹介します。
ココナッツオイルってどんなオイル?
まず、ココナッツオイルの正体をみていきましょう。
ココナッツオイルは、ココヤシの果実「ココナッツ」の種からとれる油です。
「ヤシ油」と呼ばれることもありますが、ヤシ油にはココヤシではなく、パームヤシから取れるパームオイルも含まれているので、「ココナッツオイル」「パームオイル」と区別して表記するのが望ましいと言われています。(参照:ヤシ油 - Wikipedia)
ココナッツオイルは、産地の東南アジアなどでは「命のオイル」と呼ばれてきました。
料理だけでなく、虫刺されの塗り薬、風邪予防薬として生活に欠かせないものとして使われています。
ココナッツオイルの特徴
次に、ココナッツオイルの特徴について説明します。
ココナッツオイルは、ココナッツから抽出される植物性油になります。
植物性油としてよく知られているのは、オリーブ油、ごま油などがあります。
これらの植物性油とココナッツオイルは含まれる脂肪酸の種類と特性に違いがみられます。
違いその1:脂肪酸の長さ
1つ目の違いは脂肪酸の長さです。
油の構成成分である脂肪酸は分子が鎖のようにつながった構造をしており、その長さによって分類されます。
多くの食用の植物性油は分子の鎖が長い「長鎖脂肪酸」で構成されています。
一方、ココナッツオイルは長鎖脂肪酸よりも分子の鎖が短い「中鎖脂肪酸」がより多く含まれています。
この中鎖脂肪酸は、母乳や牛乳にも少量含まれていますが、ココナッツオイルには60%以上も含まれています。
違いその2:脂肪酸の飽和度
2つ目の違いは脂肪酸の飽和度です。
鎖状につながっている炭素分子が水素で飽和されている脂肪酸を「飽和脂肪酸」、炭素の鎖に二重結合や三重結合を持つ脂肪酸を「不飽和脂肪酸」に分類されます。
一般的には、動物性脂肪は「飽和脂肪酸」を多く含み、植物性油のほとんどは「不飽和脂肪酸」を含みます。
しかし、ココナッツオイルは植物性油であるにもかかわらず、飽和脂肪酸を多く含んでいるのです。
飽和脂肪酸は熱に強く酸化しにくいというのが特徴になります。
熱などによって酸化された油は、悪玉コレステロールを増加させて動脈硬化の原因になります。
ココナッツオイルは酸化されにくいため、加熱調理にもおススメできる油となります。
なぜ飽和脂肪酸なのにおすすめなの?
ここで「あれ?飽和脂肪酸って摂り過ぎない方がいいんじゃなかった?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
「中性脂肪が気になる人のための油選び方・摂るべき油と減らすべき油」でも、飽和脂肪酸は摂り過ぎないように説明しています。
これは何がどう関係しているのかというと「炭素数」が関係しています。
ココナッツオイルは飽和脂肪酸なのですが、上で説明した特徴1で説明した通り「中鎖脂肪酸」です。
中鎖脂肪酸の炭素数は5~12です。
そして、消費者庁が公開している「脂質と脂肪酸のはなし - 消費者庁」というpdfの5ページ目で次のように、説明しています。
飽和脂肪酸
- 飽和脂肪酸を摂りすぎると、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やす(心疾患のリスクを高める)ことが報告されています。
- 飽和脂肪酸の炭素の数(12個・14個・16個もしくは18個)によってコレステロールに与える働きが異なることも報告されています。
そして、下記の表をご覧ください。
項目 | 分量(g) |
---|---|
脂肪 | 100 |
飽和脂肪酸 | 86.5 |
8:0(カプリル酸) | 7.5 |
10:0(カプリン酸) | 6.0 |
12:0(ラウリン酸) | 44.6 |
14:0(ミリスチン酸) | 16.8 |
16:0(パルミチン酸) | 8.2 |
18:0(ステアリン酸) | 2.8 |
一価不飽和脂肪酸 | 5.8 |
18:1(オレイン酸) | 5.8 |
多価不飽和脂肪酸 | 1.8 |
18:2(リノール酸) | 1.8 |
(ヤシ油 - Wikipediaより引用)
ココナッツオイルの脂肪酸は、12個のラウリン酸が44.6%、14個のミリスチン酸が16.8%、16個のパルミチン酸が8.2%ですね。
つまり、約70%がコレステロールに与える働きが異なる脂肪酸が含まれている飽和脂肪酸ということです。
これが、動物性油の飽和脂肪酸とココナッツオイルの飽和脂肪酸の違いで、ココナッツオイルの飽和脂肪酸は、体脂肪になりにくいという理由です。
ココナッツオイルの効能
ココナッツオイルの効能について紹介していきます。
ココナッツオイルは中性脂肪をためにくいオイルと言えます。
エネルギーとして素早く使われる
その理由の1つ目は、素早くエネルギーとして使われやすいためです。
一般的な油の主成分である長鎖脂肪酸は、小腸から吸収された後、リンパ管から静脈を通って、必要に応じて各組織でエネルギー源として使われます。
それに対して、中鎖脂肪酸は小腸から吸収された後、直接肝臓へ運ばれ、すぐに分解されてエネルギー源として利用されます。
そして、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて消化されるスピードは4倍速く、摂取してから10時間以内にはほとんどが分解されてしまいます。
そのため、脂肪が吸収されにくく体脂肪として蓄積されにくいのです。さらに体内にある脂肪の燃焼もしやすい効果まで持っているのです。
満腹感を早く感じやすくなる
2つ目は、満腹感を早く感じやすく、食べ過ぎ防止や間食を減らす効果があるためです。
実際に、食事の中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の割合を変えることで、食事の総量とカロリーの摂取量の変化を調べる研究が行われました。
その結果は、中鎖脂肪酸の割合が高いと食事の総量が減り、それに伴ってカロリー摂取量も減るという報告があります。(参考文献:ココナッツオイル健康事典)
代謝を向上させる
さらに、中鎖脂肪酸には代謝を向上させる作用もあります。
代謝が上がることで、エネルギーの消費量が増えるため、燃焼するカロリーが増えて体脂肪は減少します。
このように、ココナッツオイルは中性脂肪を減らしたいという方におススメの油であることがわかります。
その他の効能としては、アルツハイマー型の認知症予防、糖尿病予防、免疫力を高めるなどが知られています。
中鎖脂肪酸については、こちらのサイトで分かりやすく紹介されています。
(外部サイト)MCTサロン - 体脂肪になりにくい中鎖脂肪酸
ココナッツオイルの選び方
ココナッツオイルの選び方についてです。
ココナッツオイルを購入するときは、「エキストラバージン」「バージン」などの表示が入ったものを選ぶようにしましょう。
バージンココナッツオイルは40℃以下の低温圧搾で搾り化学的な処理を行っていないため、ココナッツオイルの天然成分が残っています。
本来のココナッツオイルの効能を得ることができるためおススメします。
ココナッツオイルの使い方
ココナッツオイルの使い方についてご説明します。
ココナッツオイルは24.5℃を下回ると固まり始め、20℃以下になると白くカチカチに固まります。夏は液体、冬は固体と形状が変わります。
ココナッツオイルは酸化しにくいため、保存は常温でOKです。
固まったオイルを液体として使用するときには、容器ごと湯煎して溶かすとよいでしょう。液体と固体を繰り返しても品質に大きく影響することはありません。
大きい容器で購入した場合は、小さな瓶に小分けすると便利に使用できます。
また、水分が入るとカビや劣化の原因になるので水分が入らないように気をつけましょう。
ココナッツオイルの食べ方
ココナッツオイルの食べ方について紹介します。
ココナッツオイルはココナッツの特有の甘い香りがあります。そのため、和食以外の料理と特に相性が良いようです。
ココナッツオイルは、熱に強く酸化しにくいため、加熱料理に使う油として使うのもおススメです。
例えば、食パンにココナッツオイルを塗ってトーストしてはちみつを塗ったハニートーストは、ココナッツの香りも加わりより美味しく食べることができます。
その他には、スープに加えてみるのもおススメです。かぼちゃや人参のポタージュスープに入れるとよりコクのある濃厚スープになります。
●かぼちゃ&人参のポタージュスープの作り方
- 熱した鍋にココナッツオイルを入れて、かぼちゃや人参を炒め、蒸し煮にします。
- その後に、水を加えてコンソメ、そして牛乳や豆乳を入れます。
- 最後に塩、こしょうで味付けをしたら出来上がりです。
その他には、ヨーグルトに果物とココナッツオイルをかけて召し上がるのも手軽でおススメです。
まとめ
ココナッツオイルが身体に良いオイルである理由は、構成される脂肪酸が「中鎖脂肪酸+飽和脂肪酸」であることがポイントでしたね。
ココナッツオイルはエネルギーとして利用されやすいため、脂肪として蓄積されにくいことが長所の1つです。
ですから、中性脂肪が気になる方は上手に活用したいオイルですね!
ただ、食べ過ぎてしまうと脂肪として蓄えられてしまいます。摂取量の目安は1日大さじ1~2杯程度にしましょう。
そして、ココナッツオイルは酸化されにくいため加熱調理にも使えます。様々な料理に使ってみてくださいね!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。