雪印メグミルクの特定保健用食品「ガゼリ菌SP株ヨーグルト」は、CMなどで「内臓脂肪を減らすのを助ける」効果を大々的に宣伝していますね。
中性脂肪の数値が高い方にとってはすごく気になる商品ではないでしょうか?
それと同時に、「あれ?それなら普通のヨーグルトにも内臓脂肪を減らす働きはあるの?」という疑問をお持ちになっている方も多いと思います。
メーカーの公表している内容が100%真実であればという前提で結論から簡単に申し上げますと、
ポイント
- ガゼリ菌SP株のヨーグルトを食べると内臓脂肪(内臓にある中性脂肪)を減らすことができる
- ガゼリ菌SP株以外のヨーグルトには直接中性脂肪を下げる働きはない
となります。
そうですよね。だから雪印メグミルクは、「ガゼリ菌SP株ヨーグルト」を「内臓脂肪を減らすのを助ける」メリットを前面に出して販売している訳です。
一方で、先日放送されたNHKのクローズアップ現代+の番組では、疑問点について紹介している部分もあります。
参考:「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情 - NHK クローズアップ現代+
となると、両方の情報を比べてご自身で判断することが必要となってきます。
ちなみに、内臓脂肪と中性脂肪の違いなどについてイマイチよくわからないという方はこちらの記事をお読みください。
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中性脂肪とは?体脂肪・内臓脂肪・皮下脂肪との違いは?
健康診断の検査項目に「中性脂肪」または「「トリグリセライド(TG)」という項目があります。 あなたが健康診断でこれらの数値が高いと分かったとき、「中性脂肪は下げた方がいいの?」「そもそも中性脂肪って何 ...
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また、乳酸菌がガゼリ菌SP株ではない他のヨーグルトは「内臓脂肪を減らすのを助ける」と言えません。
例えば、有名な明治のブルガリアヨーグルトも、実は特定保健用食品(トクホ)ですが、効果が認められているのは「腸内細菌のバランスを整える」「おなかの調子を良好に保つ」であって、「内臓脂肪を減らすのを助ける」という効果の表示は認められていません。
ですから、「ヨーグルトを食べれば中性脂肪を下げることができる」というのは正しくありません。
ただ、中性脂肪を下げることに直接関係はなくても、腸内環境を整える働きがあることは健康的な体に必要なことです。
中性脂肪を下げたい方が乳酸菌やヨーグルトの情報を正しく理解できるように、ガゼリ菌SP株のヨーグルトとその他の乳酸菌のヨーグルトとの比較しながらご紹介していきます。
ヨーグルトでも乳酸菌によって効能が違う!?
雪印メグミルクのガセリ菌SP株について知る前に、ヨーグルトと乳酸菌について少し知っておきましょう。
ヨーグルトに乳酸菌は欠かせない
まず、ヨーグルトについて説明します。ヨーグルトは、乳に乳酸菌を加えて発酵させたものになります。
そのため、ヨーグルトとして認められるには、乳酸菌数が1000万/ml以上という規格が定められています。
このことからも分かるように、ヨーグルトには乳酸菌が欠かせない存在なのです。
乳酸菌の種類と効能
では、これから乳酸菌について詳しくみていきましょう。
乳酸菌は、糖類を分解して乳酸を作る細菌の総称です。
乳酸菌は、ヨーグルトだけでなく、チーズ、みそ、キムチなどの発酵食品に使われています。種類は200種類以上もあるのです。
スーパーやコンビニなどにもいろいろなヨーグルトが並んでいますが、多くの商品がそれぞれ乳酸菌の種類が異なるものになります。
乳酸菌の種類をアルファベットや数字などで記載してあるヨーグルトもありますよね。
すべての乳酸菌が共通してもつ効能としては、腸内環境を整えたり、免疫力を向上させたり、花粉症などのアレルギーの炎症を抑えるなどがあります。
また、さらに乳酸菌の個々の特徴によって、それぞれ違う効能も持ちます。
ガゼリ菌にもいくつか種類があります。今回主に説明している雪印メグミルクの「ガセリ菌SP株」やカルピスの「プレミアガセリ菌CP2305」などがあり、やはり効能が異なります。
「内臓脂肪を減らす」で話題のガゼリ菌SP株
これから、乳酸菌の中でも脂肪を減らす効果が期待できる「ガゼリ菌SP株」について説明していきます。
ガゼリ菌SP株は日本人の腸内から見つかった乳酸菌であるため、日本人には相性の良い乳酸菌であると考えられています。
一般的に、乳酸菌は胃酸に弱いと言われています。しかし、ガゼリ菌SP株は、胃酸などの影響を受けにくいため、生きたまま腸内に届きやすいということも分かっています。
また、腸内で長くとどまるという特徴も持っています。
さらには、ガゼリ菌SP株のヨーグルトを毎日3か月食べることで、体重、皮下脂肪、内臓脂肪が減少したということがヒト試験によって実証されています。
参考:ガセリ菌株SPヨーグルト"の内臓脂肪減少機能 | 恵 megumi | 雪印メグミルクのヨーグルト
この内臓脂肪を減らすメカニズムは、雪印メグミルク株式会社が発表したニュースリリース「ガセリ菌SP株による抗肥満作用のメカニズム」によると、
- 脂質に働きかけて脂肪酸への分解および吸収を抑制すること
- 腸管バリア機能を保護し、炎症物質の流入を抑制すること
の2つです。
一つ目のメカニズムは、簡単に言うと「脂質吸収の抑制」です。
中性脂肪を分解して小腸から吸収するときに膵リパーゼという酵素が働きます。
ガゼリ菌SP株がこの膵リパーゼの働きを抑制することで、小腸からの中性脂肪の吸収を抑制するのです。
二つ目は、脂肪細胞の炎症を抑えることで内臓脂肪を減少させています。
内臓脂肪が多い肥満の状態の人は、マクロファージという免疫細胞が脂肪組織に集まって脂肪細胞が肥大化しての炎症起こしている状態です。
ガゼリ菌SP株はこの炎症を抑えることで脂肪を減少させています。
これらのことから、ガゼリ菌SP株ヨーグルトは「内臓脂肪を減らすのを助ける」効果がある特定保健用食品となっているのです。
効果的なヨーグルトの食べ方
では次に、ガゼリ菌SP株乳酸菌に限ったヨーグルトだけでなく、すべてのヨーグルトに共通した効果的な食べ方を紹介したいと思います。
脂肪を減らしてくれる効果のあるヨーグルトだからといって、過剰に食べてしまうと逆に太ってしまうので注意が必要です。
ヨーグルトにも、飲むタイプのもの、食べるタイプのものがあります。
乳酸菌の量は変わらないのでどのタイプを選んでもOKです。
ただ、飲むタイプはのど越しが良いので、いつの間にか沢山飲んでいたということがあるので、摂り過ぎを防ぎたい方は食べるタイプのヨーグルトをおススメします。
ポイント1:食べ過ぎに注意する
一日の食べる量の目安ですが、多くても200gまでにしましょう。
小さいカップに入ったヨーグルトが約100g程度です。一日1または2カップまでにしましょう。
大きいサイズの場合は、約400gなので、2~4日に分けて食べると良いでしょう。
ポイント2:無糖タイプを選ぶ
また、ヨーグルトには砂糖が入っているタイプ(加糖)と入ってないタイプ(無糖)があります。
できるだけ、無糖を選ぶことで余分なカロリーや糖分を抑えることができるので、中性脂肪の増加を防ぐことができます。
無糖タイプは味がなく食べにくいという方には、フルーツを入れて食べることをおススメします。
朝食にバナナを食べる方は、ヨーグルトと一緒に食べると良いでしょう。
また、砂糖が添加されていないドライフルーツを一晩ヨーグルトにつけておくと、ドライフルーツが水分を含んで、ヨーグルトが濃厚になり美味しいフルーツヨーグルトを食べることができます。
まずは、レーズンなど手軽に入るドライフルーツで試してみてください。
他にも、ヨーグルトをドレッシング代わりに使用することもできます。自分にあった食べ方を探してみましょう。
また、冬になると冷たいヨーグルトを食べると体が冷えるから食べたくない方もいると思います。
その方におススメなのが、電子レンジでヨーグルトを温めて食べるホットヨーグルトです。
電子レンジ対応の器にヨーグルトを入れ、ラップをかけて40~60秒温めてください。あまり温めすぎると乳酸菌が死滅してしまうので注意してくださいね。
ポイント3:食後に食べる
次に、効果的な食べるタイミングについてご説明します。
ヨーグルトは食後に食べることをおススメします。
この理由は上記でも少し触れましたが、乳酸菌は胃酸に弱いので、食事をして胃酸が薄められている状態でヨーグルトを食べることで胃酸の影響を受けにくくするためです。
いつも食後にデザートが食べたくなる方は、ぜひデザート代わりにヨーグルトを食べると良いでしょう。
間食など空腹時に食べたいときには、食べる前にお茶や水などを飲んで胃酸を薄めてから食べれば大丈夫です。
ヨーグルトを使ったレシピ
当サイトで紹介しているヨーグルトを使ったレシピをご紹介します。
まとめ
今回はヨーグルトについて詳しくご紹介しました。
特に、内臓脂肪を減らす機能がある雪印メグミルクのガゼリ菌SP株のヨーグルトは、中性脂肪を減らしたい方は気になっていると思いますので、ガゼリ菌SP株の乳酸菌のヨーグルトと他の乳酸菌のヨーグルトとの比較しました。
最初にご紹介した通り、雪印メグミルク株式会社の公表している内容を信用すると、ガゼリ菌SP株ヨーグルトは中性脂肪対策に使える商品といえますね。
乳酸菌がガゼリ菌SP株ではないヨーグルトには、直接中性脂肪を下げる効果はありませんが、腸内環境を整えたり、免疫力を向上させたり、花粉症などのアレルギーの炎症を抑えるなどの効果は認められています。
乳酸菌は、私たちの体にとって良い働きをしてくれる効能をたくさんもっているのです。
他にも、ヨーグルトにはたんぱく質、カルシウムなど体を作る源やビタミン、ミネラルなど体の調子を整える栄養素を含まれています。
ヨーグルトすべてに共通の食べるときのポイントは、「食べ過ぎに注意する(1日の目安量:100~200g)」「無糖タイプを選ぶ」「食後に食べる」の3点でしたね。
ぜひ、食後や間食のお菓子ではなく、食後や間食をヨーグルトにする習慣をはじめてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:あや
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット・更年期向け向けの食事指導を行っている。