あなたは毎朝気持ちよく起きることができていますか?
朝すっきりと目覚めることができない人は、質の良い睡眠がとれていない可能性があります。
また、睡眠不足の状態では、日中の代謝低下や食欲が増すことがわかっています。
「中性脂肪を下げるには何をすべき?中性脂肪を減らすために必要は3つのこと」の記事で、中性脂肪を下げるには「食生活(食事)の見直し」「運動」「生活習慣の見直し」が必要であることをご説明しました。
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中性脂肪を下げるには何をすべき?中性脂肪を減らすために必要な3つのこと
「中性脂肪の数値が高いけどどうすればいいの?」「中性脂肪を下げるにはどうしたらいいの?」と悩んでしまう人もいますよね。 中性脂肪が高いのなら、脂肪というイメージから油の食べる量を減らせばいいのかなと思 ...
そしてこの記事の中で、生活習慣の見直しの一つとして「睡眠」を挙げました。
中性脂肪を下げるためには質のよい睡眠をとることが必要になってきます。
これから睡眠について一緒にみていきましょう。
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睡眠の役割とは
人は、人生の3分の1は眠ってすごす時間と言われています。あなたは、眠っている時間がもったいないと思い、睡眠時間を削っていませんか。
わたしたちにとっては睡眠も大切な活動の1つになります。
ここで4つの睡眠の働きについてみていきましょう。
脳や身体の休息
疲れたとき、少し横になると体が楽になりますよね。横になることで身体は休むことができます。
しかし、脳はどうでしょう。大脳は意識があるときは常に稼働しています。
睡眠をとることで大脳をしっかりと休ませてあげましょう。
ホルモンの分泌
睡眠中は、新陳代謝を活発にする「成長ホルモン」や心を安定させる「セロトニン」など、細胞の修復や疲労から回復してくれるホルモンが多く分泌されます。
記憶の整理
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類の眠りがあります。
レム睡眠は浅い眠りで身体は休んでいますが、脳は動いている状態です。
一方、ノンレム睡眠では、深い眠りで記憶の整理や定着が行われ、日中に学んだことをインプットします。
ストレスの消去
深い眠りであるノンレム睡眠のときに、記憶を消去する働きがあります。
そのため、ストレスの原因となる記憶をやわらげることが期待できます。
さらに、睡眠中にストレスと戦うホルモンであるコルチゾールの分泌も行われます。
サーカディアンリズムを整えるための睡眠の重要性
サーカディアンリズムとは人間の生体リズムで、昼と夜を作り出す1日のリズムのことです。簡単に言うと「体内時計」になります。
サーカディアンリズムは、目覚め、睡眠、体温、ホルモン、自律神経などをコントロールして、約25時間周期で変動しています。
1日は24時間ですので、このズレを調整する必要があります。そして、この調整をしてくれるのが「太陽の光」です。
朝起きて太陽の光を浴びることで、自律神経がバランスよく働きはじめるのです。
ホルモンはさまざまな種類のものがありますが、その中には食欲に関係するものがいくつかあります。
ホルモンはサーカディアンリズムでコントロールされているため、サーカディアンリズムが乱れると、食欲に関するホルモンも乱れます。
効率よく中性脂肪を下げるためには、サーカディアンリズムを整える必要があります。
サーカディアンリズムを整えるには、就寝時間と起床時間を一定にすることが大切です。
仕事などで帰宅時間がバラバラで就寝時間を一定にするのが難しい方は、起床時間だけでもそろえるようにしましょう。
そして、起きたら太陽の光を浴びて、心地よく体を目覚めさせるようにしましょう!
睡眠不足は太る原因になる?!
睡眠不足だと、1日体がだるくてシャキッとしないですよね。また、いつも以上に食べ過ぎてしまうことはありませんか。
睡眠不足は生体リズムをつかさどる自律神経が乱れます。そのため、日中の活動量が低下して、消費エネルギーが低くなります。
さらには、食欲を調整するホルモンのバランスも乱れるため、食欲が亢進してしまいます。
夜遅くまで起きている生活を送っていると、食欲が旺盛になる「グレリン」というホルモンが昼間以降に多く分泌され、夕食を暴食してしまったり、代謝の低下をおこしてしまいます。
また、その他のホルモンの分泌も乱れるため、代謝異常がおこり、中性脂肪が高くなったり糖尿病を引き起こす原因にもなります。
では、どれぐらいの睡眠をとればいいのか気になりますよね。
睡眠時間は7時間程度が良いと言われています。ある研究では7時間より短くても長くても死亡率が高くなるという結果がでました。
快適に過ごせる睡眠時間は個人差はありますが、睡眠時間は7時間程度を目安にすることをおススメします。
質の良い睡眠をとる方法
次に、限られている睡眠時間の中で、どうやったら質のよい睡眠をとることができるのかみていきましょう。
食事
食事も睡眠の質を左右するポイントのひとつになります。3回の規則正しい食事は、生体リズムを整えてくれます。
特に、朝食は大切です。毎朝、同じ時間に食事をとることで、自然と1時間前から胃腸が動き始め、からだが自然と目覚めはじめます。
また、夕食は寝る3時間前までに済ませておくのがベストです。寝るときにまだ消化されていない食べ物が残っていると、寝ている間も内臓は働き続けます。そのため、十分に体を休ませることができず睡眠の妨げになります。
残業などで夕食の時間が遅くなるときは、揚げ物などの油が多いものは控え、消化によい食事をとることを心掛けましょう。
寝室
質のよい睡眠をするためには、睡眠環境も大切になってきます。寝室の光や音、温度、湿度などを一度見直してみましょう。
眠るときの明るさは、真っ暗にするか、豆電球などのほのかなあかり程度の暗さにしましょう。
眠りやすい温度は18~22度、湿度は50~60%になります。季節によって、エアコンなどを使って調整しましょう。
エアコンを一晩中つけるか途中で切るかは、自分が朝まで心地よく眠れる方法を選択して調整してみてくださいね。
寝具
寝るときの姿勢は人それぞれです。自分が一番落ち着いて眠ることができる姿勢がベストです。
寝具を選ぶときは、自分が寝る姿勢のことも考えて選ぶとよいでしょう。
また、寝ている間ずっと同じ姿勢でいることは少なく、寝返りをします。仰向け、横向きなどでも心地よく、寝返りもスムーズにできるものも選ぶポイントになります。
また、寝るときに着るパジャマは、肌触りが良いゆったりとしたものがよいでしょう。寝ている時に汗をかきやすいので、通気性や吸湿性のよい素材にすることも大切です。
あなたは大丈夫?!「睡眠時無呼吸症候群」
「睡眠時無呼吸症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
バスの運転手が「睡眠時無呼吸症候群」で、運転中に居眠りをしてしまい、大事故をおこしてしまったというニュースも見かけた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「睡眠時無呼吸症候群」は、軟口蓋や舌が気道をふさいでしまうことで、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気のことです。
10秒以上呼吸が止まった状態が、1時間に15回以上繰り返されると、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。
無呼吸で眠りが浅いため、昼間に強い眠気のおそわれます。最近、熟睡できていないと感じている人も睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
また、内臓脂肪型肥満の人は、「睡眠時無呼吸症候群」になりやすいことも分かっています。
最近では、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症の「死の四重奏」に睡眠時無呼吸症候群をくわえて、「死の五重奏」とも言われることもあります。
生命の危険性もあるので、自覚症状がある方は、一度医療機関を受診してみることをおススメします。
まとめ
質のよい睡眠は、代謝を良くしたり、食欲をコントロールしたりと、健康を維持するためには大切であることを理解していただけたでしょうか。
睡眠時間は、人生をよりよくしてくれる活動という意識をもちましょう。
質のよい睡眠をするために、一度「食事」「寝室や寝具などの環境」を見直してはいかがでしょうか。
◆参考文献◆
- 「よくわかる中性脂肪」 栗原毅 ㈱学習研究社 2009
- 「最新版 本気で治したい人のメタボリックシンドローム」 宮崎滋 ㈱学研パブリッシング 2013
- 「キレイをつくる 睡眠の基本と習慣356」 大沼敦 文化出版局 2009
この記事を書いた人
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット向けの食事指導を行っている。