管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

DHA・EPAが豊富なサンマ(秋刀魚)の上手な食べ方と栄養素・成分

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サンマ(秋刀魚)は漢字表記で「秋」がつく通り、古くは秋に多く獲れる魚でした。

現在では初夏から出回っていますが、秋に旬を迎えるイメージは依然として強いのではないでしょうか。

「目黒のサンマ」の落語も有名で、秋にはお祭りになるほどです。

サンマは焼き魚で食べる機会も多いと思いますが、焼いているそばから脂がしたたってくる様子が目に浮かびます。

青背魚の一種であり、中性脂肪対策として魚油(EPAやDHA)の摂取にはもってこいの魚です。

 

サンマ(秋刀魚)の特色

サンマは最近にはめずらしく、天然物のみが出回っている魚です。

そしてすべてが国産。今や海外から運ばれてきたものや、養殖物で通年食べられるようになった魚ばかりですから、貴重な存在とも言えます。

初夏のころから秋にかけて太平洋側を北上するものと、冬から春にかけて日本海側を南下するものとがあります。

初夏の解禁日になると、待ちわびているためか高値がつくこともありますが、秋が深まることには価格も安定して、秋の味覚として充分楽しむことができます。

旬を迎えると価格が安定するだけでなく、脂ものっておいしさも増してきます。魚油の摂取を期待して食べる場合にも、この時期は適していると言えます。

 

サンマ(秋刀魚)に含まれている栄養素・成分

EPAとDHA

サンマの脂はEPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)を多く含みます。

現在の日本人の食傾向として、不足しがちでバランスを考えて摂りたいとされているn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)。EPAやDHAはその代表的なものとして挙げられる脂肪酸です。

EPAやDHAは中性脂肪を下げる働きがあります。

他にn-3系多価不飽和脂肪酸に注目が集まる理由は、生活習慣病予防効果。

たとえばEPAでしたら、血小板の凝集を抑制する効果で血栓ができるのを予防してくれるだけでなく、血栓を溶解してくれる効果も知られていることから、動脈硬化のリスクを低減してくれるとされ、生活習慣病予防につながると考えられます。

血小板の凝集を抑制するとはつまり、血液の粘度が上がりにくい状態と考えられるわけですが、現在の日本人にこれらの摂取が少ないということは血液の粘度が出てしまったり、血栓ができてしまったりしている問題が多発しているということ。

血液には当然適度な粘度も必要なわけですが、現在の食傾向を考えると、やや粘度上昇傾向が強いということ。その他の脂肪酸とのバランスが取れていれば「程よい粘度」が保てるはずなのです。

DHAは血中脂質のバランスを整えてくれます。悪玉であるLDL-コレステロールを減らし、善玉といわれるHDL-コレステロールを増やしてくれます。

また私たちが食事から摂取しなければいけない脂肪酸の一つに「アラキドン酸」があります。

これがもし過剰に摂取されていると、動脈硬化や高血圧、あるいは炎症などが引き起こされることが知られており、「適度な」摂取が求められています。

EPAやDHAには、このアラキドン酸の作用を抑制する効果も知られています。

このようにEPAやDHAは血中脂質バランスを整えてくれる働きを持っているので、中性脂肪が高めでバランスが崩れてしまっている人にはぜひ意識して摂取していただきたい脂肪酸なのですが、サンマからはこれらの摂取が期待できるのです。

中性脂肪対策ではEPA・DHAを摂るのはとても重要なことです。EPAとDHAを効率良く摂る方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

関連記事:EPA・DHAの効果と多く含む食材・上手な摂り方

 

タウリン

さんまにはアミノ酸の一つであるタウリンも多く含まれています。

タウリンにも中性脂肪を減らす働きがあります。

また、肝臓の機能を高める効果も期待できます。タウリンが肝臓で胆汁酸の分泌を促進、肝細胞の再生促進、細胞膜の安定化などの働きをします。

胆汁酸にはコレステロールを排出する働きがありますから、血中脂質バランスの是正にはタウリンも働きかけてくれるのです。

 

ビタミン類など

さらにサンマは血合い部分に造血作用のあるビタミンB12や、鉄も含んでいますから、貧血予防にも良いでしょう。

内臓部分にはビタミンAやビタミンDといった脂溶性ビタミンも含んでいます。

脂溶性ビタミンは脂質と一緒に摂取すると効率の良い吸収ができますので、脂ののっているサンマは単独でその役割もこなしてくれます。

 

サンマ(秋刀魚)の選び方と注意点

サンマは刺身で食べることもありますが、焼き魚が圧倒的に多いのではないでしょうか。

一尾の姿で求めることが多いと思われますので、選び際には形をよく観察しましょう。

脂がのっているとされているものは、肩が張っていて、背が盛り上がっているような形状をしています。

頭が小さく見える形状なので、これもよく脂ののっているサンマの特徴に挙げられるポイントです。

身はふっくら張りがあるとおいしいでしょう。くちばしの色はきれいな黄色やオレンジ、えらは鮮やかな紅色であるかも観察すると鮮度の見極めに役立ちます。

冷凍技術も進歩していますから、旬を外した時期には生魚を求めるよりも、冷凍品の方がおいしいものを入手できると言われています。

鮮度管理には気をつけて、頭と内臓を取り除いたら、洗って水気を拭き取り、ペーパータオル、ラップで重ねて包んで冷蔵庫のチルド室で保管しましょう。

EPAやDHAは酸化されやすい脂肪酸ですから、処理は手早く行い長く空気に触れることのないような保管を心掛けましょう。

 

サンマ(秋刀魚)のEPA・DHAを上手に取り入れるコツ

お魚全般を苦手とする方の中には、特にお魚の皮が嫌だとおっしゃる方も少なくありませんが、EPAやDHAを含むサンマの脂は、とくに皮の下に多いのでぜひ皮を取り除くことなく召し上がっていただきたいと思います。

生臭さが気になるような場合には、焼く5分くらい前に塩を振ると抑えられます。
これもあまり長時間塩を振ったまま置いてしまうと、水分とともにうまみが流れ出てしまいますから、注意しましょう。

焼く際に、弱火で長時間焼くと脂がどんどん落ちてしまいます。強火で一気に焼いて、良質な脂をしっかり摂取できるようにしましょう。

 

まとめ

冷凍物も候補に入れるなら通年楽しむことができるとはいえ、やはり季節感を感じさせてくれるうえ、旬の時期に格段においしさが増すサンマは、食べる楽しみのある魚ですよね。

日頃から青背魚を取り入れようと思うと、サンマ以外にもアジやサバ、イワシなど候補はいくつかありますが、秋にはぜひ安価でおいしいサンマを満喫して、EPAやDHAを含む良質な脂質を摂取していただきたいと思います。

サンマ(秋刀魚)以外にもEPAとDHAを多く含むお魚はたくさんあります。いろいろなお魚を食べることで飽きずにEPAとDHAを摂ることができます。

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この記事を書いた管理栄養士さん

名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。

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