自分たちに必要な栄養素を自ら作り出すことのできない私たちは、食べ物を食べることで生命を維持しています。
つまり私たちの身体は、私たちの食べた物でできているのです。
日々の食事から必要な栄養素を摂取して、栄養という「営み」によって身体を維持しています。
血中の中性脂肪が高いという結果は、栄養という営みの結果の産物です。
当然体質なども関係してはきますが、やはり一番の要素は日々の生活習慣の一つである「食事」。この影響が大きいことは否めません。
逆を返せば、もし現在血中中性脂肪が高値である状態でも、食生活を見直すことで改善する糸口はあるのです。
ご自身の食事を振り返ってみましょう。
中性脂肪が高くなるのはこんな食習慣チェックリスト
中性脂肪値が高くなりやすい食事に関する習慣のチェックリストにしました。
ご自身はいくつあてはまるでしょうか?
- いつもお腹がいっぱいになるまで食べている。
- 脂っこいものが好きで、よく食べる。
- 食べ物に好き嫌いが多くて、食べる食品に偏りがある。
- 早食いの方だと思う。
- 間食をよくする。
- 甘い物が好き。
- 夜遅い時間に食事をすることが多い。
- 朝食は抜きがち。
- アルコールを毎日摂取している。
食生活を振り返ってみましょう
食事のタイミング
チェックリストを見ると、朝食を抜いていないか、間食はしているか、夜遅くに食べていないかといった、要するに「規則正しい食生活が送れているか」を確認する項目がありました。
1日3食を規則正しく食べているかということは、肥満を遠ざけるうえで大切な確認ポイントになります。
1日3食が規則正しく食べられている方は血糖値の変動が緩やかです。
一方、食事のタイミングがバラバラだったり、その合間に空腹を満たすために間食をしてしまったりすると、大食いや早食いの原因にもなりますし、身体は次にいつ入ってくるかわからないエネルギーを大切に使おうとします。
その結果、省エネ体質になりやすく、わずかなエネルギーでも太りやすい体質となってしまうのです。
特に朝食は大切です。一日のスタートで身体を目覚めさせることができるかどうかは、朝食をきちんと摂っているかということと関連が深いことがわかっています。
さらに私たちは寝ている間にもエネルギーを消耗していますから、夕食を食べ終えた後何も食べることのできていない朝は、エネルギーが枯渇している状態です。
このときにきちんとエネルギーを補ってあげないと、昼まで持たずに間食が増えてしまったり、昼を食べたタイミングで血糖値が急速に上がり身体に負担をかけてしまったりします。
また、これから活動をするためのエネルギーを補う朝食は、3食の中でもたとえ食べ過ぎたとしてもリカバリーできる食事です。ですから、しっかり摂るようにしましょう。
朝食をしっかり摂るためには、前日の最後の食事があまり遅くならないことも大切。
遅い時間に食べ消化をしきれないままに眠りに就くようでは、当然翌日の朝食をしっかり食べることは難しくなります。
食の好み
基本的に、食品の中で食べてはいけないものはないはずです。ただしどれも大切なのは適量であることです。
でもどうしても好きなものに偏りがちです。好き嫌いが多く食べる食品に偏りがある場合、野菜や海藻、きのこ類といった食品があまり食べられていないことが考えられます。
低エネルギーなうえ、食物繊維も多く含むこれらの食品を適度に食べながらほかの食品も食べることができていれば、エネルギーが過剰になることは避けやすいです。
一方で、エネルギーをしっかり含んでいる食品でいつもお腹を満たしているということだと、やはりエネルギーが過剰になりがちです。
また、食べる食品に偏りがある方の場合、多くは肉を好み、魚を敬遠しがちな傾向も見られます。
同じ動物性食品でも脂肪酸組成の異なる、肉と魚。肉ばかりでなく魚を上手にとり入れると、血中脂質のバランスも整えやすくなります。
さらに、揚げ物や甘いものを好む傾向が強ければ、肥満になりやすく、血中中性脂肪値が高くなりやすいのは致し方ないと言えるでしょう。
アルコールの摂取も気にしたいポイント。アルコールそのものにエネルギーがあることはもちろん、一緒に食べる食事はエネルギーの高いものが多く、さらには夜遅い時間帯にまで飲食が続くことも考えられます。
翌日起きれなくて朝食を抜くようでは何重にも良くない習慣が重なっています。アルコールの分解には肝臓を使います。適量を超えたアルコールは肝臓を疲れさせ、中性脂肪もつきやすくなります。
食べ方
早食いかどうか、いつもお腹いっぱい食べているかどうかといったポイントは、どうして中性脂肪と関係があるのでしょうか。
早食い習慣のある方は、脳が満腹を認識する前にお腹を満たす以上の食事を摂ってしまうリスクが高まります。そのため、どうしても過食になりがちです。
いつもお腹いっぱい食べているという方は、日々の食事で食べ過ぎ習慣がついてしまっている可能性があります。
摂取エネルギーを適正に保つ一番簡単な方法は、あくまでも食べ過ぎないことです。
目が欲しがるままに勢いよく食べて、食べ終わってから「お腹が苦しくて動けない」なんて状態にある方は、見直しが必要だと言えるでしょう。
食事以外にも気をつけたいこと
もちろん、血中中性脂肪値が高い理由は食事だけですべてを説明することはできません。
ほとんど運動する習慣がないとか、ストレスが溜まっているなんてことは、血中脂質バランスに限らず多くの生活習慣病リスクを上げる要因です。
健康管理のために毎日体重を測る習慣をつけるだけでも、食べ過ぎ防止や運動不足解消への意識付けにもなります。
体重管理は食習慣ではありませんが、食習慣とは密接な関係にあると言えますよね。
まとめ
チェックリストを一つ一つ考えてみると、実は全くどの項目にもチェックがつかない人の方が珍しいのではないかと思います。
つまり誰にでもあてはまるような生活習慣のほんの少しのゆるみが、中性脂肪を増やすことにつながってしまうのです。
返して言えば、ほんの少しの気配りや意志の強さで状況を好転させることも可能です。
大切なのは、まず意識を高く持つこと。できることから少しずつはじめてみましょう!
この記事を書いた管理栄養士さん
名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。