日本人の生活には欠かせない、そして長く親しまれている「緑茶」。
そんな普段から飲む機会が多くて身近な緑茶で最近注目されているのが健康効果。
コレステロールや中性脂肪対策にも効果が期待できる成分が含まれています。
しかも、その成分を引き出す淹れ方にも重要なポイントがあります。
食後にひといき入れるならぜひ緑茶を。その一杯でもちゃんと中性脂肪対策になります。
その理由を詳しくご説明していきたいと思います。
緑茶に含まれるカテキンの種類と効果
緑茶を飲んでいただきたい最大の理由は「カテキン」を含んでいるからです。
「カテキン」は耳にする機会の多い成分かもしれません。
でも、緑茶に含まれるカテキンについて、どのようなものなのかはわかっていない方もおられるのではないでしょうか?
カテキンとは
カテキンはポリフェノールの一つであるフラボノイドに分類されます。緑茶の渋味の成分です。
お茶の中には茶葉を発酵させる種類とさせない種類がありますが、緑茶は茶葉を発酵させません。
カテキンは発酵によって減ってしまうので、カテキンを摂取するのに緑茶は向いているというわけです。
緑茶にも種類がありますが、カテキンは日光にあたることで作られるので、玉露やかぶせ茶よりも煎茶に多く含まれます。
日照時間の長い夏に作られる番茶が、カテキンを一番多く含んでいると言われています。
カテキンの種類
緑茶に含まれているカテキンには、いくつかの種類があります。
「エピカテキン」「エピガロカテキン」「エピカテキンガレート」「エピガロカテキンガレート」という4種類が主なカテキンです。
この4つの中でも、「エピガロカテキンガレード」が最も多く含まれています。
名前を見てみると「ガレート」という言葉がつくものとつかないものがありますね。
ガレートとつくのは「ガレート型」と呼ばれる種類で、脂肪やコレステロールの吸収を抑える働きを持つのは、この「ガレート型」のカテキンなのです。
カテキンの効果
カテキンは体内でさまざまな作用をします。なかでも油脂に対する抗酸化作用は古くから言われてきました。
エピガロカテキンガレートはとくに抗酸化力が強いことで知られています。
ヒトを対象とした臨床研究では、内臓脂肪を低減させる効果がわかってきました。
これは高濃度のカテキン摂取を継続的に行ったことで確認されたものです。
今では特定保健用食品(トクホ)でも利用されている商品がありますが、そのメカニズムは、カテキンによって肝臓や筋肉で脂質代謝が活発になり、脂肪がエネルギーとして燃焼しやすくなるのではないかというものです。
カテキンにはこのほかにも、血中コレステロール低下作用や動脈硬化抑制作用、抗菌・殺菌作用など数多くの作用が期待されています。
カテキンを引き出す緑茶の淹れ方
カテキンをしっかり抽出するには、お湯出しが向いています。
先ほどご説明したエピガロカテキンガレートはお湯出しで多く抽出されます。お湯出しでしっかり渋味のあるお茶が入るイメージわきやすいですよね。
ということは、中性脂肪対策をメインに考える場合は、お湯で淹れた緑茶が良いってことです。
でも、水出しのお茶もまろやかでおいしいですよね。
水出しだとエピガロカテキンガレートの抽出は少なくなりますが、エピガロカテキンは多く抽出されます。
エピガロカテキンは免疫力を高めてくれる働きが期待できるので、風邪をひいたときには水出し緑茶の方が向いているなんて使い分けも。
さらに、水出しの場合はカフェインが出にくい点もうれしいところです。
話題の「スーパー緑茶」って?
お茶の淹れ方では、「スーパー緑茶」なるものも注目です。
これは煎茶と青じそをあわせてすり鉢でペースト状にして、少し時間を置いてからお湯で抽出するもの。
これ、ただおいしいというだけでなく、エピガロカテキンが抽出されるうえにテアフラビンというポリフェノールも含まれていて、免疫力アップの強い味方となってくるのです。
緑茶からはカテキン以外にどんな成分が摂取できる?
カテキンの効果をたくさんご紹介すると、カテキンはサプリメントで摂取すれば十分なのではないかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かにサプリメントでも摂取できますが、できれば緑茶からの摂取をオススメしたいと思います。
それは、緑茶に含まれているのはカテキンだけではないからです。
ビタミンB、C、Eが摂取できる
緑茶は茶葉を発酵させないため、ビタミンB群やビタミンC、ビタミンEといった栄養素を含んでいます。
ビタミンB群は相互に助け合いながら、体内の代謝を行っていく大切な栄養素。
たとえしっかり食べていても、代謝に必要なビタミンB群が不足していると、食べ物がエネルギーにうまく変換されません。
ですから、緑茶を飲むことでビタミンBを摂れるメリットは中性脂肪対策としては見逃せません。
また水溶性のビタミン類なので、抽出液から摂取するのは理にかなった方法でもあります。
ビタミンB群と中性脂肪の関係については、「中性脂肪を下げるにはビタミンB群を摂ることが重要です」で詳しく解説していますので、ぜひお読みください。
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テアニンが摂取できる
興奮作用のあるカフェインは緑茶にも含まれます。でも緑茶が優秀なのは、テアニンという成分も含んでいるところ。
緑茶のうまみ成分の一つで、アミノ酸の一種であるテアニン。
テアニンには、カフェインの覚醒作用と拮抗する精神安定作用があるので、カフェインの影響に神経質にならずとも緑茶を楽しむことができるのです。
玉露にはカテキンは少ないのですがテアニンは豊富。ゆったりしたいときには玉露がオススメというわけです。
緑茶の「飲む以外」の活用法
緑茶の葉にはβ-カロテンやその他のビタミン類、さらにはカリウムをはじめとするミネラル、食物繊維が豊富です。
お茶として飲むだけにとどまらず、ぜひ茶葉も摂取していただきたいと思います。
「茶葉をそのまま食べるなんて」と思われるかもしれませんが、やり方は意外といろいろあります。
簡単な取り入れ方は、天ぷらの衣に茶葉を混ぜる方法。
また、細かくしてふりかけに混ぜるといった利用法も良いでしょう。お茶漬けにするくらいですから、あわないわけがありません。
紅茶の茶葉の利用法を思い浮かべれば、パンや焼き菓子の生地に混ぜ込むという方法もありますね。
主食がわりのパンケーキに混ぜてみるなんて方法なら、手軽に試せそうです。
もちろんバリバリと大量に食べなくても大丈夫。大さじ半分くらいの3グラム程度と考えてください。
まとめ
緑茶の魅力は奥深いですよね。高級なものから手軽なものまで茶葉の種類も多くありますし、淹れ方でおいしさもぐっと変わってきます。
最後の一滴までしっかり湯呑に注ぐようになんて言われますね。
でも奥深い魅力はおいしさにとどまりません。様々な健康効果があるだけでなく、淹れ方によって利用効率が変わってくるのですから、ますます探求したくなります。
そして忘れてならないのが、緑茶の与えてくれるリラックス効果。ストレスを和らげてくれたり、疲労回復にも役立ったりとうれしいことがたくさんです。
やはり食後の一杯は緑茶で決まりですね!
中性脂肪対策に効果が期待できるお茶は緑茶だけではありません。他のお茶も取り入れてみてもいいですね。
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この記事を書いた管理栄養士さん
名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。