管理栄養士の中性脂肪対策食事講座

野菜ジュースには中性脂肪を下げる効果はありますか?

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野菜は身体に良いとわかっていても、なかなか毎日しっかり食べるのは難しいですよね。

野菜不足を補うために野菜ジュースで代用しているという方もおられるのではないでしょうか?

でも、野菜ジュースは野菜を食べる代わりになるのでしょうか?

また、栄養機能の効果は期待できるのでしょうか?

身体のためを思って追加している野菜ジュースですから、効率的な摂り方を考えてみたいと思います。

 

野菜ジュースで食物繊維は摂れるのか?

野菜は1日350g食べるのを目標値とされています。さまざまな種類の野菜をおり交ぜて350g摂取することができれば、1日に必要な食物繊維もほどほどに摂取できると考えられています。

1日で摂取したい食物繊維は、男性で20g以上、女性で18g以上が目標値と設定されています(ともに18~69歳の値。日本人の食事摂取基準2015年版より)。

食物繊維と言えばまず浮かんでくるのが、便秘解消効果。余分なものをきちんと排泄することは、ダイエットにも大切なことで、中性脂肪対策にも結び付きます。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれの役割でいずれも腸の調子を整え、便秘解消に働きかけてくれます。

なおかつ水溶性食物繊維は水と合わさり粘度を増しながら体内を移動していきますから、満腹感を維持してくれますし、血糖値の上昇も緩やかになり食欲のコントロールに最適な栄養素です。

粘性を持っていることで余分なコレステロールを吸着して体外に排泄してくれるので、血中脂質の調整役としてもぜひ摂りたい栄養素なのです。

さて、必要な食物繊維は野菜ジュースで摂れるのでしょうか?

市販の野菜ジュースの多くは、同量の生野菜を摂取したときに比べると摂取量は落ちると考えられます。

これはジュースをなめらかに仕上げるために漉している工程が入るためです。

ですから家庭で作るスムージーのようにまるごとの野菜や果物をミキサーで回して作るタイプのジュースは、比較的食物繊維の摂取に貢献してくれるものと考えられます。

 

抗酸化ビタミンは野菜ジュースで取れるのか?

ビタミンACE(エース)とも呼ばれる、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンEの脂溶性ビタミンと、水溶性ビタミンであるビタミンCは、いずれも抗酸化力の強いビタミンとして知られていて、野菜からの摂取が期待できる栄養素です。

単独でも抗酸化力を持っていますが、組み合わせて摂取すると相乗効果でさらに効果が期待できるとされています。

血中脂質のバランスが崩れている状態は動脈硬化のリスクが高まります。

このリスクに対峙するためには抗酸化作用を持つ栄養素や成分も意識して摂取していきたいところです。

これらのうち、特にデリケートなのがビタミンC。調理による損失が大きい栄養素です。熱にも弱く、空気と触れることもできるだけ最小限にとどめたいので、なかなか配慮が必要なのです。

市販の野菜ジュースの場合殺菌工程で加熱が入るため、ビタミンCの損失は激しいと考えられます。

独自で栄養素を比較した調査などを行った消費者団体の調査でも、野菜ジュースから生野菜と同等のビタミンCを摂取するのは困難であるとの結論が出されています。

β-カロテンやビタミンEについての詳細データはありませんが、いずれも抗酸化力が強いということは、出来てから時間が経てば経つほど抗酸化力を発揮して成分の酸化防止に働くということ。

その後に摂取しても、期待する働きを体内で得ることができるかというと、自信を持ってオススメできるものではありません。

ご自身でミキサーを回してジュースを作る場合にも、ミキサーを長く回せばそれだけ摩擦熱が加わりますので、できるだけ短時間で仕上げるのもポイントの一つでしょう。

 

野菜ジュースの利点・問題点

市販の野菜ジュースのパッケージには、一日に摂りたい野菜の重量を使用した旨が記載されていることもあります。

同量の野菜を生野菜で摂取したときと同等の栄養素摂取は期待できないという点をきちんと把握して、惑わされないことが大切です。

しかし、もちろん野菜ジュースにも利点はあります。

最大の利点は、生野菜で食べようと思ってもなかなか食べきれないほどのボリュームを、飲むことで比較的楽に摂取できる点ではないでしょうか。

実際に1日350g摂取目標は多くの方がクリアできていません。
足りない分を食べずに済ませてしまうくらいなら、せめて野菜ジュースでもプラスして、少しでも補おうとするのは正しい姿ではないでしょうか。

「野菜ジュースを飲んでいるから大丈夫」ではなく、「せめて野菜ジュースくらい飲んでおこう」というスタンスで上手に利用していただきたいと思います。

 

野菜ジュースの効率的な摂取方法

野菜ジュースの効率的な摂取方法は、

  • できるだけ熱が入らないように調理をする
  • 出来上がったら、できるだけ早く飲む

という2点に気をつけていただきたいと思います。

これらの条件を満たすことができることを考えると、やはりご自身で作るジュースを出来たての時に飲むのが良いように思われます。

ご自身でお作りになるときに注意をしたいのが、甘みのつけ方や乳製品の加え方です。

野菜の味わいだけでジュースにしようと思うと少し飲みにくい場合もあるので、甘味料を加えることもあると思います。

でも、健康を意識して野菜ジュースを取り入れるのであれば、やはりあまりたくさんは加えたくないところ。

これは市販の野菜ジュースにも言えることで、飲みやすさのために糖や食塩を添加しているものもありますから、選ぶ際には表示をきちんと確認しましょう。

それから、牛乳やヨーグルトとあわせてミキサーにかけることもあると思いますが、カルシウムの摂取などの栄養面の補強ができる反面、エネルギー摂取にもつながることを意識して利用しましょう。

毎日の習慣化にした場合に、健康のために摂取していたらかえって体重が増えていたということにもなりかねません。

氷とミキサーにかけても作ることができますし、無脂肪や低脂肪の乳製品を使うのも一つでしょう。

 

まとめ

「野菜ジュースは野菜の代わりになりますか?」という質問はよく受ける話題です。

答えは足りていない分を補おうならOK、ジュースを野菜の代わりにして野菜を食べなくなるならNG。

まずは目標値の1日350gを把握して、ご自身の食生活を見直してみましょう。

どうしても今の生活では目標クリアが難しそうであれば、注意点をチェックしながら、野菜ジュースを取り入れることも選択肢の一つに加えていただければと思います。

 

この記事を書いた管理栄養士さん

名前:Chika
保有資格:管理栄養士
フリーの管理栄養士。食関連資格の教材作成や専門学校講師などの仕事をしています。

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