季節ごとに美味しい食べ物が手に入る日本は、四季の変化と自然に恵まれた素晴らしい食文化を持っています。便利な時代になった現代では、季節を問わずに手に入る食べ物も多いのですが、やはり料理を通して四季の変化を楽しむことも多いのではないでしょうか。
旬の食べ物は脂がのっていたり、ビタミンCが多かったりと栄養価も高く、価格も手頃です。そんな旬の食材取り入れて、中性脂肪対策にも役立つ季節に合った食べ方をご紹介したいと思います。
春のおすすめ(3~5月)
野菜類
菜の花、たけのこ、にら、キャベツ、レタス、クレソン、グリンピース、ふき、うど、グリーンアスパラガス、玉ねぎ、じゃがいも等
魚介類
あさり、鰆、鯛、鰹、わかめ、もずく等
食べ方
菜の花やたけのこ、グリンピースなど、食物繊維が多い野菜が出回ります。和食の定番の和え物や含め煮など和食で楽しむと、脂質・エネルギーの摂取量も少なくおすすめです。
わかめやもずく等、低エネルギーで食物繊維を含む海藻類も旬になりますから、野菜や他の魚介と組み合わせて汁物や酢の物、和え物、煮物などにも積極的に取り入れていくとよいでしょう。
この時期の鰹は良質なたんぱく質を豊富に含みますが、脂質・糖質ともに少なく低エネルギーです。さっぱりとした味わいをそのまま楽しんだり、旬の新玉ねぎと一緒にサラダ等にアレンジするのもおすすめです。また、低エネルギーな分、多少エネルギーが増えてしまう調理方法(例/片栗粉をまぶして焼く等)に使うというのも一つの手です。
新じゃがは春だけのおいしさですが、通常のじゃがいもと同様、糖質が多いため食べ過ぎには注意しましょう。
夏のおすすめ(6~8月)
野菜類
かぼちゃ、とうもろこし、きゅうり、にがうり、トマト、なす、ピーマン、ズッキーニ、枝豆、さやいんげん、さやえんどう等
魚介類
あじ、ごまさば、紅鮭、めばちまぐろ、きはだまぐろ、太刀魚、たこ等
食べ方
夏野菜は水分が多いものが多く、料理にボリュームを出してくれるので、サラダや和え物など生のまま用いると、料理のかさが増えて満足度が高まります。
この他、ビタミンCやトマトのリコピンのような抗酸化物質が多く摂れる野菜が多いので、動脈硬化予防のためにいも積極的に夏野菜を取り入れていきましょう。
夏野菜の中でもかぼちゃ、とうもろこしは、他の野菜に比べてやや糖質が多い傾向にありますが、芋類のように制限するほどでもないので、偏った食べ方(例/かぼちゃばかり食べる)などをしなければ特に問題はないでしょう。
あじやさば、まぐろといったDHA,EPAを豊富に含む魚も旬を迎えます。これら不飽和脂肪酸は酸化しやすく、高温の加熱調理では過酸化脂質となってしまうため、加熱調理不要で暑い夏も食べやすい刺身や刺身サラダ、カルパッチョなどで食べる方法もよいでしょう。その際は衛生面にも配慮するようにしましょう。
太刀魚は脂質が多くエネルギーが高い魚なので、調理方法や味付けを工夫したり(例/こってり味のソースではなく塩胡椒で食べる等)、献立全体や一日のバランスを意識して取り入れる様にしましょう。
秋のおすすめ(9~11月)
野菜類
さつまいも、さといも、食用菊、しいたけ、まつたけ、なめこ、えのき、しめじ、まいたけ等
魚介類
さんま、いわし、まさば、銀鮭、鰹(戻り鰹)、かれい等
食べ方
食欲の秋とも言われることがありますが、旬を迎えるさつまいも、さといもは糖質が多い芋類なので、食べ過ぎないように注意しましょう。
そして、低エネルギーで食物繊維が豊富なきのこ類も旬を迎えます。現代では安定した価格で一年中手に入るきのこ類ですが、本来の旬を再確認し、季節の味を楽しむ意味でも、積極的に取り入れていくとよいでしょう。
きのこ類は汁物、和え物、煮物、焼き物など、エネルギー控え目な様々な和食と相性がよい食材です。洋風で楽しみたい場合でも、きのこスパゲティやマリネなど、バリエーションは豊富ですから、色々な味を楽しんでいきたいですね。また、さんまや鮭といった旬の魚とときのこを組み合わせた秋らしい炊き込みご飯などもよいでしょう。
この時期は中性脂肪を下げるDHA,EPAが豊富な青魚が旬でたくさん出回ります。さんまやさばは脂質が多いので、シンプルな塩焼きなどの食べ方もおすすめです。戻り鰹は春のかつおに比べて脂質が増えていますが、さんまやさばほどエネルギーが高くないので、安心して献立のバリエーションに取り入れていきましょう。
冬のおすすめ(12~2月)
野菜類
ほうれん草、小松菜、春菊、白菜、長ネギ、人参、れんこん、ごぼう、セロリ、せり、大根等
魚介類
たら、ぶり、かじき、金目鯛、黒まぐろ、かれい、たこ、しじみ、かき等
食べ方
鍋物に合う野菜や魚が旬を迎えますので、旬の野菜と魚を組み合わせた鍋物(例/たらちりやぶりしゃぶなど)がおすすめです。鍋物は調理に油を使わずに済みますし、野菜もたっぷり食べることができて、ボリュームの割に低エネルギーです。
また、魚の中でもたらは低脂質・低エネルギーですが、ぶりは脂質が多めでエネルギーも高いので、調理油を使わずに済む方法(例/魚焼きグリルを使ったり、煮たりするなど)を用いたり、献立全体で調整するなど、適正なエネルギー摂取を意識するようにしましょう。
また、しじみやかきはコレステロールは特別多くありませんが、たこは少しコレステロールが多めです。中性脂肪が高いだけの方も、動脈硬化性疾患予防のためにも、主菜として用いる際には他の魚介と組み合わせたり、副菜として用いるなど摂り過ぎないように注意しましょう。
食事を楽しむことも忘れずに
中性脂肪を下げるためには毎日の食事に気を付けることは大事なことですが、気にしすぎるあまり、食事を楽しめなくなってしまった…というのは少し寂しいですよね。
食事は単に栄養を摂るだけでなく、家族や友人との団欒の場であったり、気持ちが休まるひと時だったりします。そして四季の変化の中には行事食があったり、お祝い事があったりします。
食べ過ぎてしまった場合は次の食事や翌日の量を減らしたり、食べた分、積極的に身体を動かして消費エネルギーを増やしたりするなど、調整すれば大丈夫です。
四季の変化や自然の恵みに感謝して、食事を楽しむということも、大事にして下さいね。
<参考資料>
東京都中央卸売市場、市場統計情報(平成21~25年)
食品成分表(女子栄養大学出版部)
e-ヘルスネット(厚生労働省)