中性脂肪対策の食事の基本

肉のおかずは脂肪を摂らない・減らす工夫をしましょう

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shokuji06

よく「肉は太る!」「ダイエット中だから肉は食べない」なんて話を聞くのではないでしょうか。

でも、実際に避けるべきなのは肉ではなく、肉の脂肪です。その理由と、中性脂肪を下げるために役立つ脂肪を減らす工夫についてお伝えしたいと思います。

 

脂肪は高エネルギー

牛肉、豚肉、鶏肉……これらは私たちが日ごろ馴染みある肉類です。栄養素の含有量はそれぞれ異なりますが、どれもタンパク質源として役立つ食べ物です。

例えば低脂質・高タンパク質で知られている鶏肉のささみは100gあたり105カロリーですが、同じ鶏肉でも脂肪を多くふくむ鶏肉の皮がついたむね肉は100gあたり191カロリーです。

これは鶏肉に限った話ではなく、牛肉、豚肉でも同様です。脂質が多い肉を食べることが、エネルギーの過剰摂取につながってしまうのです。エネルギーを摂りすぎると、余った分は内臓脂肪として蓄えられ、中性脂肪を増やしてしまいます。

 

肉類は部位を選んで

肉の脂肪には魚油のように中性脂肪を下げる働きはなく、DHAやEPAといった脂肪酸もほとんど含まれていません。むしろ、コレステロールを上昇させる飽和脂肪酸を多く含んでいます。

「中性脂肪だけが高く、コレステロールは高くない」という方も、動脈硬化性疾患の予防にもなりますし、エネルギーを抑えるためにも肉類との付き合い方を少し考えましょう。

肉類は良質なたんぱく質や鉄分やビタミンB1なども摂れる食品で、決して悪者ではありません。ただ、魚と違って、食べる時には少し工夫が必要になるというだけなのです。

肉類を脂肪量で分類すると、以下のようになります。

<脂肪10%未満の部位>
牛もも、牛ヒレ、牛心臓、牛レバー、豚もも、豚ヒレ、豚レバー、豚腎臓、豚心臓、鶏ささみ、鶏もも(皮なし)鶏むね(皮なし)、鶏レバー、砂肝

<脂肪10~20%の部位>
牛肩、牛肩ロース、牛ばら、輸入牛リブロース、輸入牛サーロイン、和牛ヒレ、豚肩、豚肩ロース、豚そともも、豚ひき肉、豚舌、豚足、鶏もも、鶏手羽、鶏むね、鶏ひき肉、鶏心臓、鶏腸

<脂肪21%以上に部位>
和牛リブロース、和牛サーロイン、牛ひき肉、牛舌、牛尾(テール)、牛腎臓、豚肩ロース(大型種)、豚ばら、鶏皮

なるべく脂質が少ない部位を選んだり、目に見えて脂肪が多い場合は除いて使ったりすると、脂質の摂取量を減らすことができます。

同じひき肉であっても、赤身のひき肉は脂質・エネルギーが少ないので、できれば赤身を選びましょう。

また、上記の表からもわかるように、鶏肉の皮は脂質が多く、もも肉やむね肉は皮を剥ぐだけでも、かなりエネルギーと脂質を抑えることができます。

 

◆調理方法による油の変化

食品衛生の観点からも、肉類は加熱して食べることが望ましいのですが、その際の調理方法によって、エネルギー・脂質量は異なります。

中性脂肪を下げるためにエネルギーを抑えたい、脂質量を抑えたい……そんなときにはどのような方法がよいのでしょうか。

一般に、加熱することで肉のタンパク質が変性し、肉汁が押し出されたり、脂肪細胞を包むコラーゲンが熱で溶解するため脂肪も流出します。

調理方法には<茹でる・煮る・蒸す・焼く・炒める・揚げる>等があります。この中で、調理に油を使う方法である<焼く・炒める・揚げる>は、レシピにもよりますが料理として摂取する際に油の量が増えて、エネルギーが多くなる傾向があります。

中でも揚げ物は食品中の水分が蒸発した分、代わりに油を吸収しているので、特に高カロリーになるので、エネルギーを抑えたい場合には揚げ物は控える・揚げずに揚げ物風を楽しむレシピを取り入れるなどの工夫が必要です。

また、この中で<焼く>調理方法に関しては、オーブン焼きや網焼きなど、特に油を使用しない方法もあり、網焼きは食材から油が落ちるため、むしろ油を減らせる調理方法と言えるでしょう。

湿式調理操作に分類される<茹でる・煮る・蒸す>は、茹でる・煮ることによって食品中の脂肪も一緒に出て行きます。この中であれば蒸し料理が一番脂肪の流出が少ないのですが、うま味の流出も少ないという特長もあります。

以上のことから、肉料理の調理方法による工夫のポイントは①調理油を控える②食品中の脂肪が出て行く焼き物、茹で料理、煮物、蒸し物などが効果的です。

ただし、このように工夫しても、味付けの際にエネルギーの高いタレやドレッシングを使ってしまうと、結局エネルギーを増やすことにつながってしまうので気をつけましょう。

 

油を減らしても肉類を美味しく食べる工夫

個人の嗜好にもよりますが、肉類は加熱することで筋原線維タンパク質は収縮し、筋形質タンパク質は豆腐状に固まるため、固くなります。一般に、脂肪の少ない肉類はぱさついて硬い傾向があります。「脂肪は減らしたいけど柔らかい肉が食べたい」という方のために、肉を柔らかくする方法をお伝えします。

・機械的方法
筋細胞に対して直角に薄切りしたり、ひき肉にする。結合組織(すじ)を切断したり、肉叩きで叩いて、筋肉を崩す。

・酵素
タンパク質分解酵素を含む生姜、パインアップル、キウイフルーツ、パパイア、梨の利用。すりおろした食材に漬けたり、汁をかけたりする。

・調味料に漬ける
肉はタンパク質の等電点のpHで最も硬くなるため、酸性またはアルカリ性にして保水性を向上させる。ワイン、酒、味噌、醤油などの調味料に漬けたり、マリネにするとpHが低下するため軟化する。

・長時間水煮
結合組織の多い肉を長時間水中で加熱するとコラーゲンがゼラチン化するため、ほぐれやすくなり軟化する。

こうして見ると、日常生活に取り入れられそうな工夫ばかりですね。
肉類の脂質を抑えても美味しく食べることはできますので、工夫しながら食事を楽しんでいけるといいですね。

 

<参考資料>
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012(動脈硬化学会)
食品成分表2015
『健康・調理の科学』和田淑子・大越ひろ(建帛社)
『栄養科学シリーズNEXT調理学』南出隆久・大谷貴美子(講談社サイエンティフィク)

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