中性脂肪対策の食事の基本

野菜をたっぷり食べて食物繊維を摂りましょう

更新日:

shokuji09

野菜や果物、きのこ、海藻、こんにゃく、豆などに多く含まれている食物繊維ですが、これを多く摂取することが中性脂肪低下のためにも役立ちます。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも、食物繊維の摂取量を増やすようにと指示されています。

この食物繊維はどういった形で役立ってくれるのでしょうか?野菜をたっぷり食べるメリットについて考えていきましょう。

 

食物繊維とは?

食物繊維はヒトの消化酵素で消化されない成分であり、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。前者にはペクチンやグルコマンナン、アルギン酸ナトリウムなどがあり、後者には植物性のセルロース、リグニン、イヌリンなどがあり、動物性のキチン、キトサンなどがあります。

食物繊維のうち、大腸に達して完全に発酵されるものは1gあたり2kcal、発酵を受けないものは0kcalとされています。どちらにせよ、脂質(1g9kcal)や糖質(1g4kcal)よりも低エネルギーであることがわかります。

かつては、食物繊維は栄養にならない不要な成分と考えられていましたが、コレステロールの吸収抑制、糖質の消化・吸収抑制、腸内有用細菌の増殖効果など、様々な機能性が解明され、注目を集めています。

食物繊維の働き

食物繊維には主に保水性、吸着性、発酵性、粘性の4つの働きがあり、その機能は、以下のようなものがあります。それによって<>内のような疾病の予防や改善に効果が認められたり、期待されています。

  • 咀嚼回数の増加:唾液量の増加による摂食量抑制、<虫歯、肥満>
  • 食事のカサの増加:食物の過剰摂取の抑制、飽満感の増加と持続<肥満>
  • 胃内滞留時間の延長:糖吸収の遅延、インスリン分泌の節約<糖尿病>
  • 脂質ミセル化の阻害:コレステロールの吸収量の低下、脂肪消化の抑制と吸収量の低下<脂質異常症、動脈硬化症、虚血性心疾患>
  • 食事成分の消化、吸収への影響:脂肪消化の抑制と吸収量の低下、デンプン消化の抑制と糖拡散の抑制、ミネラル吸収の低下<肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧>
  • 胆汁酸の吸着による腸肝循環の減少:血清コレステロールの低下<高コレステロール血症、動脈硬化症>
  • 整腸作用:便の停滞阻止<便秘、大腸がん>

 

食事摂取基準での食物繊維の摂取目標量

厚生労働省が出している食事摂取基準2015では、食物繊維の目標量を成人男性20g/日以上、成人女性18g/日以上としています。食物繊維の摂取不足が心筋梗塞や循環器疾患、糖尿病などの疾患に関連していることから設定されています。

しかし、理想的には24g/日以上、できれば14g/1000kcal(一日2000kcalを摂取する人は28gの食物繊維の摂取)が目標量とすべきとのことですが、実際の摂取量がかなり少ないため、先ほど述べた数値が目標量とされました。

動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも食物繊維の積極的な摂取を推奨しており、食物繊維の摂取が多いためにリスクが増す生活習慣病は報告されていないことからも、野菜など食物繊維を多く含む食品をたっぷりと摂ることが望ましいでしょう。

ただし、食物繊維が病気の予防によいからと言って、サプリメントなどで目標量を超える大量の食物繊維を摂取しても、より多くの健康利益があるという根拠もないので、その点にも注意しておきましょう。

 

食物繊維が多い野菜

食物繊維は魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれておらず、野菜の他、豆や果物、きのこ、海藻などに多く含まれています。

中性脂肪が高い場合は、芋類と果物は制限されてしまいますが、野菜だけでなくきのこ、海藻はエネルギーも低いので積極的に取り入れていくとよいでしょう。

生野菜の中でも特に食物繊維が多く、一回の摂取量も多めの食材をピックアップしてみました。()内は100g中の食物繊維総量です。

  • グリンピース(7.7g)
  • モロヘイヤ(5.9g)
  • ごぼう(5.7g)
  • あしたば(5.6g)
  • 芽キャベツ(5.5g)
  • オクラ(5.0g)
  • 枝豆(5.0g)
  • ブロッコリー(4.4g)
  • 菜の花(4.2g)
  • かぼちゃ(3.5g)
  • 水菜(3.0g)
  • ほうれん草(2.8g)
  • たけのこ(2.8g)

これ以外の野菜も食物繊維を多く含むものがありますが、同じ100gあたりであれば、水分が多いトマトやきゅうり、大根などは、比較的少なめです。

しかし、野菜の栄養素やおいしさはそれぞれ異なります。トマトからはビタミンCやリコピンなども摂取できるメリットがあり、トマトならではのおいしさがあります。食物繊維が少ない野菜は摂らなくていい……ではなく、食物繊維を意識しながら、色々な野菜を取り入れていくとよいでしょう。

 

食物繊維に加えて、抗酸化作用も期待できる!

野菜をたっぷり摂取するメリットは、食物繊維以外にもビタミンやミネラルなどの栄養素も摂取できることです。これらは体内で代謝の補酵素として働くなど、体の調子を整えたり、骨や歯の材料となるなど、様々な役割を果たしています。

そして、それだけでなく、野菜や果物からはビタミンCやビタミンE,カロテン(体内でビタミンAとなる物質)や、ポリフェノール類のような抗酸化物質を摂取することもできます。これらは活性酸素を抑える役割があり、体内での過酸化脂質を減らすために役立ちます。

過酸化脂質は中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素によって酸化されたもので、がんや老化、動脈硬化などを引き起こし、体に有毒とされています。中性脂肪が活性酸素によって酸化された過酸化脂質は細胞の中で新たに活性酸素を作るなど、さらなる過酸化脂質を発生させます。

また血管内にたまったLDL-コレステロールが酸化して発生した過酸化脂質は動脈硬化などの原因となります。このような恐ろしい事態を防ぐためにも、抗酸化物質を積極的に摂取すること、すなわち野菜をたっぷりと摂ることが大切なのです。

食物繊維と野菜の魅力をお伝えしました。
1日野菜350g以上と言われていますが、季節の色々な野菜を取り入れて、これをクリアして、食物繊維をたっぷりと摂取しましょう。

 

<参考資料>
『健康・調理の科学』和田淑子、大越ひろ(建帛社)
『標準食品学総論第二版』青柳康夫・筒井知己(医歯薬出版株式会社)
e-ヘルスネット(厚生労働省)
食事摂取基準2015(厚生労働省)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン(動脈硬化学会)
日本栄養士会HP
食品成分表(女子栄養大学出版部)

このレシピor記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

注目のおすすめ記事

1

  中性脂肪の数値を下げて正常値に戻すために必要なのは、「食生活の改善」と「適度な運動」です。 でも、これらをちゃんと毎日できますか? きっと毎日きちっちりできる人なんてそうそういません(笑 ...

-中性脂肪対策の食事の基本

Copyright© 中性脂肪対策食堂 , 2024 All Rights Reserved.