お酒の飲み過ぎは中性脂肪を増やす原因になります。
「毎日の晩酌が楽しみだけど、中性脂肪が高いからお酒はやめたほうがいいのかな?」「量を減らせば飲んでもいいのかな?」「飲んでも良いお酒てあるのかな?」など、悩んでいる方もいらっしゃると思います。
また、自分が飲んでいる量が飲み過ぎているのかわからないという方もおられると思います。
これから、アルコール量の目安、お酒を飲む量の減らし方、お酒の種類と選び方など、お酒との上手な付き合い方についてお伝えしていきます。
お酒の飲み過ぎは中性脂肪を増やすもと?!
お酒を飲み過ぎるとなぜ中性脂肪が増えるのでしょうか。
お酒に入っているアルコールは、からだに入ると「肝臓」で代謝(分解)されます。肝臓は、とても大切な臓器で、私たちが健康な体を維持するためにいろいろな働きをしてくれています。
アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」に分解され、最終的には水と炭酸ガスになり、尿となって排泄されます。
一方、肝臓は中性脂肪の構成成分である遊離脂肪酸を処理する役割もあります。
お酒をたくさん飲むと、肝臓はアルコールの分解に追われ、遊離脂肪酸の処理が追いつかなくなります。その結果、中性脂肪の増加を招いてしまいます。
そのため、中性脂肪を下げるためにはお酒との付き合い方を見直す必要があります。
お酒の適量とはどれぐらい?!
あなたは毎日どれぐらいのアルコールを飲んでいるか把握されてますでしょうか?また、缶ビール1本にどれぐらいのアルコールが入っているかご存知でしょうか?
健康診断で中性脂肪の数値が高かった方は、「お酒の量を減らしましょう。」「節酒しましょう。」と言われたけどどれぐらい減らせばいいの?と疑問が残りますよね。
これから、お酒の目安量や含まれるアルコール量について詳しく説明していきます。
お酒の適量は、1日平均アルコールで20gと言われています。では、アルコール20gを含むお酒の種類や量をみていきましょう。
よく飲まれているお酒では、
- ビール 大瓶1本(633ml)
- 日本酒 1合(180ml)
- 焼酎 お湯割り1杯(ストレート110ml)
- ワイン グラス1杯(200ml)
- ウイスキー ダブル1杯(60ml)
になります。
また、自分はいつもどれぐらいの量のアルコールを摂取しているのか正確に把握したい方は、下記の式でアルコール量を求めてみましょう。
アルコール量(g)=飲んだお酒の量(ml)×(アルコール度数(%)/100)×0.8
アルコール量20gはあくまでも目安です。体質によってアルコールの代謝が苦手な方もいます。
また、一般に女性や高齢者の方はアルコール代謝が低いと言われています。該当する方は少なめにしておきましょう。
禁酒することも考えてみましょう
中性脂肪が高い方は「お酒の飲む量を減らしましょう!」とアドバイスをもらった方も多いと思います。
ただ、今までお酒をたくさん飲むことが習慣になっている方が急にお酒を減らそうと思っても、物足りなさが残って長く続かないケースもあります。
アルコールをもっと飲みたいと思ってしまう原因として、アルコールには依存性があるためです。
そのため、アルコールを減らすと「もっと飲みたい」という気持ちが抑えることができないという方は「禁酒」をおススメします。
禁酒を始めると、はじめは飲みたいという欲求がありますが、その期間を乗り越えると次第におさまってきます。
お酒を飲みたいと我慢できないときは、カロリーオフのノンアルコールや炭酸水など、代わりになる飲み物を用意しておくのもいいですね。
他にも、体を動かしたり趣味に没頭するなど、気持ちを紛らわす方法を持つこともおススメです。
また、近くに飲んでいる人がいたり家にお酒を置いておくと誘惑に負けやすいですよね。ですから、お酒が目に入りにくい環境を整えることも大事です。
そして、周りに禁酒することを宣言しましょう。周りの人にも協力してもらうと禁酒を成功させやすいです。
また、中性脂肪の数値が高すぎる高カイロミクロン血症の方や医療機関の方に禁酒の指示を受けた方は、禁酒が必要になります。
お酒の選び方
お酒の種類によって糖質の量に違いがあります。過剰に糖質を摂ることは中性脂肪が増加する原因の1つです。
そこで、中性脂肪を下げたい方のための、上手なお酒の選び方のポイントをお伝えしていきます。
お酒は、大きく醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つの種類に分けられます。
醸造酒は、糖質であるお米、麦、果実を原料として作られるため、糖質が多いお酒になります。ビール、日本酒などがあります。ワインもこのグループですが、ワインは他のお酒に比べると糖質が少なめのお酒になります。
ワインを飲むとき、赤か白で悩んだときは赤ワインをおススメします。
赤ワインはぶどうが皮ごと原料として使われていますが、ぶどうの皮には「ポリフェノール」という抗酸化作用をもつ栄養成分が多く含まれています。この抗酸化作用によって脂質の酸化を抑え、動脈硬化の予防効果があります。ポリフェノールは中性脂肪が高い方にはぜひ摂っていただきたい栄養成分です。
蒸留酒はアルコール発酵したもろみを蒸留して得られるため、糖質が少なめのお酒です。焼酎、ウイスキーなどがあります。
混成酒は、醸造酒、蒸留酒などに、果実、甘味料などを加えて作られたお酒で、糖質が多めのお酒になります。梅酒やリキュールなどがあります。
以上のことから、中性脂肪が高い方は、ワイン(特に赤ワイン)、焼酎、ウイスキーなどを選ぶことをおススメします。
お酒の量を減らし方
次に、お酒の飲む量を減らすコツについてお伝えしていきましょう。
買い置きをしない
家に必要以上にお酒があると、つい「もう少しだけ」と飲み過ぎてしまいます。特に、自分は、お酒をみると、つい飲みたくなって、我慢ができない性格だと思う方は、その日、または1週間に飲む分だけ買うようにしましょう。家になければ、すぐ飲むことができないので、誘惑に負けることがなくなります。
食後に飲む
空腹時だと、お酒も美味しく感じ、つい飲み過ぎてしまいがちです。また、空腹時に飲むと、胃腸にも負担がかかるので、食事を食べてから、飲むようにしましょう!また、お酒を先に飲むと、お酒でお腹がいっぱいになって、食事がおろそかになりがちです。そのせいで、栄養バランスが乱れ、お酒の代謝が上手くいかず、中性脂肪を増やす原因になります。
飲む日を決める
週2回程度、休肝日を設けましょう。肝臓を休ませることで、肝機能の低下を抑えることができます。また、飲める日が楽しみになり、生活にもメリハリがつきやすいです。
飲む前に飲む量を決めておく
飲み会などで、話しながら飲んでいたら、いつの間にか飲み過ぎていたという経験はありませんか?そのような状況を防ぐためにも、「今日はこの1杯だけ」と決めておくと、その1杯をじっくりと味わって飲むことができ、飲み過ぎを防ぐことができます。
温かいお酒を飲む
熱燗やお湯わりなどの熱いお酒は、一気に飲むことができませんよね。ゆっくりと飲む習慣をつけたい方は、温かいお酒を、ゆっくりと味わいながら飲むようにしましょう。
まとめ
今まで長い間お酒を飲む習慣ができていると、なかなかお酒の量を減らしたり、休肝日を作ることに抵抗を感じてしまいますよね。
しかし、お酒の飲み過ぎは中性脂肪が増加する原因になります。
まずは今、自分がどれぐらいのアルコールを飲んでいるか確認しましょう。そして、適量まで減らす、または減らすことが難しい場合は、一度禁酒を試してみることを検討しましょう。
お酒を飲むことでストレス発散しているという方は、お酒以外でのストレス解消方法をみつけてみましょう。
お酒との上手な付き合い方をすることでも中性脂肪を減らすことができますよ!
◆参考文献◆
この記事を書いた人
保有資格:管理栄養士
大学・大学院で生活習慣病について研究、卒業後は製薬会社に勤務。
栄養学に興味を持ち、管理栄養士資格を取得。
現在はダイエット向けの食事指導を行っている。