中性脂肪対策の食事の基本

中性脂肪が高い人は油よりも炭水化物の摂り過ぎが一番の原因!?

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shokuji08

健康診断で「中性脂肪が高いので食生活を改善して下さい。」と言われたら、”脂肪”という言葉なだけに、なんとなく「油を減らさなきゃかな」と思う人も多いのではないでしょうか。

しかし実際は油の摂り過ぎだけが原因ではないのです。

中性脂肪を高くしてしまう原因は、”エネルギーの摂り過ぎ”がありますが、そのエネルギー源として役立つ炭水化物・糖質の摂り過ぎが原因となっているケースも多いようです。

 

そもそも中性脂肪って何ですか?

一般に、中性脂肪のことを脂肪と言うことが多いです。中性脂肪やコレステロール、リン脂質など、生体成分のうち水に溶けず、有機溶媒に溶けるものを脂質と呼びます。

中性脂肪はヒトや動物にとって重要なエネルギー源として働きますが、必要以上に摂りすぎたエネルギーの余剰分は中性脂肪につくり変えられて皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。エネルギー源となる栄養素には糖質、タンパク質、脂質があります。

ここで押さえておきたいことは、食事から摂取した脂肪だけが中性脂肪になるわけではないということです。

どんなものでも食べ過ぎて、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば、脂肪となって体内に蓄えられてしまうのです。

 

エネルギー源となる糖質

糖質と食物繊維をまとめて炭水化物と呼びます。糖質は穀類、芋類、砂糖類などに多く含まれ、これらの大部分は人体の主要なエネルギー源となります。

体内に吸収された糖質は1g 4kcalのエネルギー源となる他、糖質の最小単位であるグルコースから肝臓や筋肉でグリコーゲンに変えられ、貯蔵されます。

このグリコーゲンは、食間期など腸管からの糖質の供給がなくなると、分解されてグルコースを血中に放出し、筋肉や脳でエネルギー源として利用されます。

このように、食事から摂取された糖質はグリコーゲンという形も用いて、エネルギー源として使われています。

 

血糖値を下げるホルモン、インスリンと中性脂肪の関係

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。運動不足や食べ過ぎ、肥満はインスリン受容体の働きを悪くし、血糖値のコントロールに影響が出てしまいます。

このインスリンと中性脂肪がどのように関係があるかというと、インスリンには中性脂肪合成を促進して血糖値を下げる働きがあるのです。

血液中には必ずグルコースが含まれており、グルコースは絶えず供給され、そして消費され、空腹時も血糖値を保っています。食事をすれば血糖値は上昇しますが、ホルモンによって調節されているので、減少して元に戻ります。

このように、血糖値が上昇したときに活躍するホルモンがインスリンで、血液中の糖は肝臓、筋肉、脂肪組織に取り込まれて、グリコーゲンや脂肪に変えて貯蔵することで、血糖を低下させています。

そして、このとき糖質が多すぎれば、インスリンによって中性脂肪の合成が促進されるのです。このように、インスリンによる血糖値コントロールという形でも、中性脂肪は増えてしまいます。

 

糖質、タンパク質と脂質の関係

そもそも、体内の中性脂肪が増えるのはエネルギーの過剰摂取が原因です。食事から摂取する脂肪は1g9kcalと高エネルギーにも関わらず、1g4kcalの糖質が中性脂肪を上げる原因となるには、インスリンの働きだけではない理由があります。

エネルギー源となる栄養素には糖質、タンパク質、そして脂質がありますが、これらは体内で互いに変換が可能なものがあります。例えば、飢餓などで糖質が不足した場合には、一部のアミノ酸からグルコース(糖質)が合成されるのです。

このように、糖質と一部のアミノ酸は相互に変換できる他、糖質とタンパク質は脂質に変換できます。ただし、脂質(脂肪酸)は糖質、タンパク質へ変換できないのです。つまり、糖質やタンパク質は必要以上に摂り過ぎて余れば、脂肪となってしまうのです。

そして蓄えられた脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられ、必要なときにエネルギーとして利用されます。

また、脳は糖質をエネルギーとして使うことができますが、脂肪をエネルギー源とすることができません。頭を使っても、体を動かさないと脂肪は減らないということなのです。

 

食事調査から見る糖質摂取量

一般的な日本人の食事形式では、エネルギー比で見てみると、糖質から摂取するエネルギーが50~60%と最も多く、次いで脂質が20~25%、タンパク質が15%程度です。

近年は脂質のエネルギー比が増えていると言われていますが、糖質を上回るようなエネルギー摂取量ではないようです。

もちろん、脂質を大量に摂取すれば、それはエネルギーの過剰摂取になりますから、肥満を招き、中性脂肪も増えてしまうでしょう。ですが、私たち人間が糖質を最も多く摂取しているという点も、中性脂肪を増やすことと関係しているのではないでしょうか。

もともと人類は糖質が好物とされています。飲食店では「ごはん大盛り無料」や「替え玉サービス」などの言葉も見かけますし、間食などで何か食べる時も、「油を食べる」という人はいませんが、「おせんべいや和菓子、洋菓子を食べる」という人は多いはずです。空腹を見たし、心身ともに満足度を与えてくれる糖質は、過剰に摂取する機会が多いのも事実です。

糖質は脳や全身のエネルギー源として役立つ大切な栄養素です。しかし、必要以上に摂り過ぎれば中性脂肪を増やしてしまうということを、心に留めておきましょう。

 

<参考資料>
『基礎栄養学』五明紀春(朝倉書店)

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